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  11. 沙石集

沙石集

ジャパンナレッジで閲覧できる『沙石集』の日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集のサンプルページ

日本大百科全書
沙石集
しゃせきしゅう

鎌倉時代の仏教説話集。「させきしゅう」とも読む。10巻。無住(むじゅう)の著。1283年(弘安6)成立。説話を方便として読者を正しい仏教理解へ導こうとするもの。初稿本成立後も数次にわたって添削を加えているため、諸本により内容に若干の差があるが、おおむね、本地垂迹(ほんじすいじゃく)説話、諸仏霊験説話、因果応報説話、遁世(とんせい)往生説話など仏教説話集らしい説話を集めている。それらの間に、滑稽譚(こっけいたん)や艶笑譚(えんしょうたん)などが混在し、ときとして、著者の意図を超えておもしろくなりすぎたためか、添削を経てしだいに堅苦しい話中心の説話集へと変質していった趣(おもむき)がある。同時代の地方(とりわけ東国)の民衆の生活や心情を反映した世間話や、後世、噺本(はなしぼん)の源流のようにもみられた笑話を収録している点に、最大の意義と魅力があるといえる。
[小島孝之]


『沙石集』[百科マルチメディア]
『沙石集』[百科マルチメディア]
古活字版 第1 無住(むじゅう)著 1618年(元和4)刊 国立国会図書館所蔵


改訂新版・世界大百科事典
沙石集
しゃせきしゅう

説話集。無住編。10巻。1279年(弘安2)に起筆し,83年に脱稿したが,その後も編者自身の手で数次にわたる加筆補訂が施された。序文によると,狂言綺語(きようげんきご)も仏果菩提の縁とする平安時代以来の伝統的文学観に立ち,卑近な世俗的話題を通して深遠な仏教の教義を平易に説き明かそうとしたもので,書名も,沙(いさご)を集めて金(こがね)を求め,石を拾って玉を磨く世人の所行になぞらえたものという。特定の編目も立てず,一見雑纂的であるが,巻一に神仏習合思想に基づく神明説話を収め,巻二に諸仏菩薩の霊験利益談を一括するなど,構成的にも配慮の跡がうかがわれ,説話の収録にも類纂的傾向が認められる。各巻の記事内容は,大別して説話部分と,それを例証とした啓蒙的解説部分とから成るが,その意味では仏教説話集であると同時に,法話文学ないし評論文学的側面をも兼備した作品といえよう。収載説話はインド,中国,日本の3国にわたり,その内容は,三宝称讃の説話から滑稽卑俗な巷間の話題に至るまで,きわめて多種多彩である。それらは先出の内外の文献を原拠としたものも多いが,珍重すべきは,編者の見聞を記した独自の話群である。特に編者と地縁の深い東国種の説話,編者周辺の僧俗の話題,編者の趣味・教養に発した多数の和歌説話などには興味深いものが多く,それを通して編者を含む中世の各階層の人々の生態や思想感情にも触れることができる。一方,啓蒙的解説や法話部分も一種の評論・論説文学として注目すべきもので,そこには一宗に偏しない編者の仏教理解の姿勢や,文学(和歌)と仏教の関係という中世文学的テーマに対する編者の見解などが示されている。

本書の後代への影響は多大で,それは特に説話文学や唱導説教の領域において顕著であるが,近世に入って何度も上梓され,広範な流布を見るに及んでその影響圏もいちだんと拡大し,噺本(はなしぼん)の類はもとより,仮名草子,浮世草子にまで取材されるようになった。近世初中期の間に,《礦石集(こうせきしゆう)》正続,《続沙石集》のごとき類書が制作刊行されたのも,《沙石集》に対する人気の表れにほかならない。
[今野 達]

[索引語]
無住


新編 日本古典文学全集
沙石集
しゃせきしゅう
【閲覧画面サンプル】
沙石集 全体

【上記の拡大画像】
沙石集 拡大

【現代語訳】
〔序文〕 
そもそも、粗野なものであれ穏和なものであれ、言葉というものは皆、仏法という最上の真理に帰一し、この世の事はすべて真理に矛盾しない。したがって、私は虚偽虚飾の言葉の空しい戯れを縁として、人々に仏道の精妙な道理を知らしめ、世間の卑近な事柄を喩えとして、仏道のすぐれた深遠な道理に導き入れようと思う。それゆえ、老いの身の眠りを覚まし、とりとめなく手すさびに、見たこと聞いたことを、思い出すままに、話題のよしあしを区別せず、筆にまかせて書き集めました。

私のような老法師は、無常が刻々と身に迫ることを悟り、あの世が一歩一歩近づいていることに気づいて、死後の世界への長い旅の準備をし、この世を渡り切る支度をすべきなのに、いたずらな興味本位の話を集め、卑しい俗事を記している。執筆に当っては時間を惜しまず、書いた後で賢人・哲人に恥じることもない。よしない行為に似ているが、愚かな人が、仏法の大きな利益にも気づかず、仏菩薩の化身たる神々の深い心も知らず、賢と愚との区別もわきまえず、因果の理の必然であることをも信じないでいるので、経論の明快な文を引き、

【目次】
目次
古典への招待
凡例

沙石集 巻第一(扉)
沙石集第一 神祇
一 太神宮の御事
二 解脱房の上人の参宮の事
三 出離を神明に祈りたる事
四 神明は慈悲を貴び給ひて物を忌み給はぬ事
五 慈悲と智とある人を神明も貴び給ふ事
六 和光の利益の事
七 神明は道心を貴び給ふ事
八 生類を神に供ずる不審の事
九 和光の方便にて妄念を止めたる事
十 浄土宗の人、神明を軽しむべからざる事
沙石集 巻第二(扉)
一 仏舎利を感得したる人の事
二 薬師の利益の事
三 弥陀の利益の事
四 薬師・観音の利益によりて命を全くする事
五 地蔵の利益の事
六 不動を念じて魔障を払ひたる事
七 弥勒の行者の事
八 仏法の結縁空しからざる事
沙石集 巻第三(扉)
一 癲狂人が利口の事
二 問注に我れと負けたる人の事
三 訴訟人の恩を蒙る事
四 幼稚の童子の美言の事
五 ある学生、在家の女房に責めらるる事
六 道人の仏法問答せる事
七 律師の、言は是にして行は非なる事
八 南都の児の利口の事
九 女童利口の事
十 孔子の至言の事
沙石集 巻第四(扉)
一 無言上人の事
二 上人の妻に後れたる事
三 聖の子持てる事
四 婦人、臨終を障へたる事
五 臨終に執心を畏るべき事
六 入水したる上人の事
七 道に入りては執著を棄つべき事
八 上人を女看病したる事
九 上人、妻せよと人に勧めたる事
十 上人の、妻に殺されたる事
十一 遁世人の風情を学ぶべき事
十二 道人の戒めの事
沙石集 巻第五本(扉)
一 円頓の学者の鬼病免れたる事
二 円頓学解の益の事
三 学生の畜類に生れたる事
四 慈心ある者の鬼病を免るる事
五 学生の怨心を解きたる事
六 学生の魔道に堕ちたる事
七 学生の見、僻みたる事
八 学生の世間の事無沙汰なる事
九 学生なる蟻とたにとの問答の事
十 学生の歌を詠みたる事
十一 学生の万事を論義に心得る事
十二 学生の歌物語の事
十三 学生の歌好みたる事
十四 和歌の徳甚深なる事
沙石集 巻第五末(扉)
一 神明、歌を感じて人を助け給ふ事
二 人の感有る和歌の事
三 夢の中の歌の事
四 歌故に命を失ふ事
五 有心の歌の事
六 哀傷之歌の事
七 権化の和歌翫び給ふ事
沙石集 巻第六(扉)
一 説経師の施主分聞き悪き事
二 ある禅尼の説経師を讃めたる事
三 説経師の言のいやしき事
四 長説法の事
五 随機の施主分の事
六 説戒に悪口して利益せる事
七 説経師の盗賊に値へる事
八 下法師の堂供養したる事
九 嵯峨の説法の事
十 聖覚の施主分の事
十一 能説房の事
十二 有所得の説法の事
十三 袈裟の徳の事
強盗の法門を問ふ事
沙石集 巻第七(扉)
一 正直の女人の事
二 正直の俗士の事
三 正直にして宝を得たる事
四 芳心ある人の事
五 亡父夢に子に告げて借物返したる事
六 幼少の子息、父の敵を打ちたる事
七 母の為に忠孝ある人の事
八 盲目の母を養へる童の事
九 身を売りて母を養ひたる事
十 祈請して母の生所を知る事
十一 君に忠有りて栄えたる事
十二 共に義有りて富みたる事
十三 師に礼有る事
沙石集 巻第八  無常句書加(扉)
一 眠り正信房の事
二 嗚呼がましき人の事
三 愚痴の僧文字知らざる事
四 老僧の年隠したる事
五 死の道知らざる人の事
六 無常の句
沙石集 巻第九(扉)
一 嫉妬の心無き人の事
二 愛執によりて蛇に成りたる事
三 継女を蛇に合はせんとしたる事
四 蛇の人の妻を犯したる事
五 蛇を害して頓死したる事
六 嫉妬の人の霊の事
七 人を殺して報ひたる事
八 僻事する物の報ひたる事
九 僻事の報ひたる事
十 前業の報ひたる事
十一 先生の父の雉になりたるを殺したる事
十二 慳貪なる百姓の事
十三 鷹飼、雉に食はれたる事
十四 鶏の子を殺して報ひたる事
十五 畜類も心ある事
十六 経焼きたる事
十七 仏の鼻薫じたる事
十八 愚痴の僧の牛に成りたる事
十九 真言の罰ある事
二十 天狗、人に真言教へたる事
二十一 執心の、仏法故に解けたる事
二十二 貧窮追ひたる事
二十三 耳売りたる事
二十四 真言の功能の事
二十五 先世坊の事
沙石集 巻第十本(扉)
一 浄土房遁世の事
二 吉野の執行遁世の事
三 宗春坊遁世の事
四 俗士、遁世したりし事
五 観勝寺上人の事
六 強盗法師道心有る事
七 悪を縁として発心したる事
八 証月房遁世の事
九 迎講の事
十 妄執に依りて魔道に落つる人の事
沙石集 巻第十末(扉)
十一 霊の託して仏法を意得たる事
十二 諸宗の旨を自得したる事
十三 臨終目出き人々の事
行仙上人の事
建仁寺の門徒の中に臨終目出き事
法心房の上人の事
蘭渓の事
聖一和尚の事
明上院豪長老の事
述懐の事

解説
一 編者無住の生涯
二 無住の文芸生活
三 『沙石集』の構成
四 『沙石集』の伝本
参考文献
無住関係略年表
奥付

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検索コンテンツ
1. しゃせきしふ【沙石集】
全文全訳古語辞典
[書名]鎌倉時代の仏教説話集。無住の編著。一二八三年(弘安六)成立。庶民にわかりやすく仏法を教えるための説話集で、笑話や動物説話などに特色がある。「させきしふ」 ...
2. 『沙石集』
日本史年表
1283年〈弘安6 癸未〉 8・‐ 無住道暁, 『沙石集』 を著す(同書巻一〇末原識語)。  ...
3. 沙石集
日本大百科全書
鎌倉時代の仏教説話集。「させきしゅう」とも読む。10巻。無住(むじゅう)の著。1283年(弘安6)成立。説話を方便として読者を正しい仏教理解へ導こうとするもの。 ...
4. 沙石集
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5. しゃせきしゅう[シャセキシフ]【沙石集】
日本国語大辞典
鎌倉時代の仏教説話集。一〇巻。無住著。弘安二年(一二七九)起稿し、同六年成立。のち、作者により改訂が繰り返された。庶民を教化・啓蒙するために、説話を随所にまじえ ...
6. しゃせきしゅう【沙石集】
国史大辞典
中央に終始した知識人の持ちえないものを含んでおり、それが『沙石集』によく生かされているが、彼が、みずから告白するように(米沢図書館本『沙石集』四)無類の話好きで ...
7. 沙石集
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地方や庶民の生活が活写される。仏教論理を「砂や石」(=沙石)のような卑近な例えで説くという意味で、「沙石集」。著者は臨済宗の僧、無住道暁(無住一円)。1279年 ...
8. させきしゅう【沙石集】
国史大辞典
⇒しゃせきしゅう  ...
9. させきしゅう[サセキシフ]【砂石集・沙石集】
日本国語大辞典
〓しゃせきしゅう(沙石集) ...
10. 『沙石集』[百科マルチメディア]
日本大百科全書
古活字版 第1 無住(むじゅう)著 1618年(元和4)刊 国立国会図書館所蔵 ...
11. ぞくしゃせきしゅう[ゾクシャセキシフ]【続沙石集】
日本国語大辞典
鎌倉時代の仏教説話集。六巻。南冥撰。寛保三年(一七四三)序。延享元年(一七四四)刊。「沙石集」の続編で、神事仏事から世事俗事までを幅広く収めている。 ...
12. あい[あひ]【合・会・相】
日本国語大辞典
院政期点〔1080〜1110頃〕九「紫殿懐ひを慰め、黔首(きむしう)胥(アヒ)悦ぶ」*米沢本沙石集〔1283〕四・九「今すこし若くおはす時(とき)人をも相語らひ ...
13. あい‐い【愛恚】
日本国語大辞典
怒り恨むこと。*愚迷発心集〔1213頃〕「愛恚の妄海は眇眇たり、浪に漂ひて船筏を見ず」*米沢本沙石集〔1283〕五本・一「徒(いたつら)に人畜に向ひ、愛恚(アイ ...
14. あい‐かたら・う[あひかたらふ]【相語】
日本国語大辞典
源氏物語〔1001〜14頃〕明石「入道はかの国の得意にて、年ごろあひかたらひ侍れど」*米沢本沙石集〔1283〕七・一〇「京の者にてありける念仏者に此女相語(アヒ ...
15. あい‐ぎょう【愛楽】
仏教語大辞典
親しみ愛すること。 霊異記 中・一九 「誦心経之音、甚微妙、為諸道俗所愛楽」 3 心から願い求めること。 沙石集 四・一 「仏道に入因縁も、人によりて其愛楽し信 ...
16. あい‐けん【愛見】
日本国語大辞典
(1)愛と見。愛は情意的なとらわれで、愛着の心。見は理知的なとらわれで、間違った見解。*米沢本沙石集〔1283〕一〇末・一一「広(ひろく)貪淫(とんいん)を行じ ...
17. あい‐けん【愛見】
仏教語大辞典
1 愛と見。愛は情意的なとらわれで、愛着の心。見は理知的なとらわれで、間違った見解。 沙石集 一〇末・一 「広貪淫を行じて、善知識として、諸の衆生をして、愛見 ...
18. あい‐しゅう[‥シフ]【愛執】
日本国語大辞典
物語〔13C前〕一〇・首渡「閻浮(ゑんぶ)愛執の綱つよければ、浄土をねがふも物うし」*貞享版沙石集〔1283〕七・六「これも男子は愛執のうすきならひなるべし」* ...
19. あい‐しゅう[‥シフ]【愛習】
日本国語大辞典
〔1257〕六・一三「人常に生界の無常を観じて愛習(アイシフ)の心に留まること勿れ」*貞享版沙石集〔1283〕八・一六「只愛習怨心のつたなき思ひをやめて、無念寂 ...
20. あい‐しらい[あひしらひ]
日本国語大辞典
二「あひしらひを目がけて、細かに足手を使ひて」(5)連歌で、付句と前句の取り合わせ。*貞享版沙石集〔1283〕五・二二「紅葉の盛りなるを見て〈略〉かまの口こがれ ...
21. あい‐しん【愛心】
日本国語大辞典
鼻虫〓」*貞享版沙石集〔1283〕七・七「此の愛心をたち、此の情欲をやめて、真実に解脱の門に入り」 ...
22. あい‐じょう[‥ジャウ]【愛情】
日本国語大辞典
〔名〕(1)相手をいとしく思う気持。人や物に対するあたたかい心。*貞享版沙石集〔1283〕八・一六「若し愛情なくは生死断絶せん」*花柳春話〔1878〜79〕〈織 ...
23. あいぜん の 法(ほう)
日本国語大辞典
「あいぜんほう(愛染法)」に同じ。*貞享版沙石集〔1283〕八・一〇「愛染の法に付て、敬愛の秘法を習ふ」 ...
24. あい‐て[あひ‥]【相手】
日本国語大辞典
〔名〕(1)物事を一緒にする一方の人。また、働きかけの対象。*米沢本沙石集〔1283〕七・一一「貧しき侍の宮仕しけるが、主の御相手(アヒテ)になりて侍ける」*太 ...
25. あい‐でし[あひ‥]【相弟子】
日本国語大辞典
〔名〕同じ先生や親方について、学んだり、修業したりする人同士。同門のでし。兄弟でし。*米沢本沙石集〔1283〕一〇本・三「宗春坊とて慈悲深き上人有りき。〈略〉師 ...
26. あい‐なら・ぶ[あひ‥]【相並】
日本国語大辞典
(「あい」は接頭語)【一】〔自バ五(四)〕いっしょに並ぶ。*米沢本沙石集〔1283〕五本・三「一つの調子を本として楽を奏する時は、余の四の音は助けとして、自(お ...
27. あい‐ねん【愛念】
日本国語大辞典
、〈略〉着物を飾り、色を好みて、人のあひ念を好み、歌を謡ひても、よく聞かれんと思ふ」*米沢本沙石集〔1283〕九・二「一切の万物は、一心の反するいはれ、始めて不 ...
28. あい‐らし・い【愛─】
日本国語大辞典
る。可憐(かれん)で情を寄せたいようなさまである。小さくて可憐である。かわいらしい。*米沢本沙石集〔1283〕一・一〇「わらはが養ひ姫は、御みめのうつくしくおは ...
29. あい‐わた・る[あひ‥]【相渡・相渉】
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30. あお[アヲ]【襖】
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31. あお・ぐ[あふぐ]【仰】
日本国語大辞典
2C前〕三・兼通「いとくるしげにて御むしおしやりて、あうがれさせ給ける御すがたつき」*梵舜本沙石集〔1283〕六・七「次日又説法しけるが、中間にあをぎて、『ああ ...
32. あお・る[あふる]
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阿布留又夫知」*躬恒集〔924頃〕「遅き馬はあしふちなくてあふれども、心のみこそさきにたちけれ」*梵舜本沙石集〔1283〕八・七「『此馬は尻から渡むと思よ』と心 ...
33. あか‐へい【赤幣】
日本国語大辞典
赤い四手(しで)を篠竹などの細長い木にはさんだもの。赤色の御幣(ごへい)。あかぬさ。*貞享版沙石集〔1283〕一〇・一「年たけたる御子(みこ)、赤幣(あかへい) ...
34. あか‐も【赤裳】
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001〜14頃〕真木柱「あかも垂れひきいにし姿をと、憎げなる古言(ふること)なれど」*梵舜本沙石集〔1283〕五末・七「〓所(ぜそ)の雑仕も赤裳 ...
35. あきごう【秋郷】福岡県:筑前国/宗像郡
日本歴史地名大系
伊勢本・東急本の訓は「安支」、元和古活字本の訓は「安岐」であるが、一字の郷名は異例である。「沙石集」巻三(問注ニ我ト劣タル人事)に登場する鎮西の「秋ノ毛ノ上」を ...
36. あきつ‐しま【秋津島・秋津洲・蜻蛉洲】
日本国語大辞典
筑波山之陰〓」*米沢本沙石集〔1283〕一〇末・一一「是の故に王のいみじき徳を讚には、仁秋津嶋(アキツシマ)の外に流(つたは)る ...
37. あき の 毛(け)
日本国語大辞典
語義未詳。*米沢本沙石集〔1283〕三・三「父の跡よりも大なる所也けるを、秋の毛の上の給て下べきにてありけるに、馬鞍用途なむど沙汰したびけり」稲をいうとするのが ...
38. あく【悪】
日本国語大辞典
孰(どれ)が実か悪(アク)かわかりませぬ」【二】〔接頭〕(1)道徳、正義、法などにそむくことを表わす。*梵舜本沙石集〔1283〕七「善天狗、悪天狗と云て二類あり ...
39. あく‐えん【悪縁】
仏教語大辞典
悪い縁。外的な悪い条件。 沙石集 五本・一 「悪縁たる六塵の境に対すれば」  ...
40. あく‐くう【悪空】
仏教語大辞典
勝手気ままに悪いことをする、その間違った空の理解をいう。 三論大義鈔 一・序 「悪空性相之類、乃等苽亹」 沙石集 拾遺・八三 「空に二有。一には悪空。(略)二に ...
41. あく‐し【悪子】
日本国語大辞典
〔名〕(1)性質のよくない子。*米沢本沙石集〔1283〕九・二五「阿闍世王の悪子にあひて此を縁として裟婆世界をうとみ」*或阿呆の一生〔1927〕〈芥川龍之介〉前 ...
42. あく‐しゅ【悪取】
日本国語大辞典
〔名〕まちがって理解すること。→悪取空(あくしゅくう)。*貞享版沙石集〔1283〕三・一「悪取の空にあらず。偏少の空にあらず。住相の空にあらず。これ第一義諦の真 ...
43. あく‐てんぐ【悪天狗】
仏教語大辞典
よこしまなことに執着し、うぬぼれの強い天狗。 沙石集 七・二〇 「悪天狗は一向憍慢偏執のみ有て」  ...
44. あく の 道(みち)
日本国語大辞典
(1)(「悪道(あくどう)」の訓読)仏語。現世で悪事をした者が、死後におちて苦しみを受ける所。*梵舜本沙石集〔1283〕一〇本・六「悪業あれば悪の道に入り、善業 ...
45. あく‐ひつ【悪筆】
日本国語大辞典
〔名〕(1)粗末な筆。つくりの悪い筆。(2)へたな字。また、字がへたなこと。*貞享版沙石集〔1283〕二・五「満七十の老眼を拭うて、悪筆ながら少々裏書仕り畢ぬ」 ...
46. あさぬまむら【浅沼村】栃木県:佐野市
日本歴史地名大系
[現]佐野市浅沼町 富岡村の南に位置し、西は小屋町。「沙石集」に、「下野国アソ沼」に住み殺生を好む鷹遣が、夢の中で自分が殺した鴛の女房に責められ、翌朝雄に嘴を合 ...
47. あさ‐ね【朝寝】
日本国語大辞典
あさい。〓朝起き。《季・春》*梵舜本沙石集〔1283〕一・七「或時朝ねをしておそくはきけるを」*三体詩素隠抄〔1622〕三・五「はや夜( ...
48. あした の 露(つゆ)
日本国語大辞典
物語〔1001〜14頃〕夕顔「あしたの露にことならぬ世を、何をむさぼる身の祈りにか」*米沢本沙石集〔1283〕七・九「夕の煙とのぼり朝の露と消て、父母を見ずして ...
49. あし を 縒(よ)る
日本国語大辞典
自分の足をからみ合わせる。足をよじる。思案するさまなどにいう。*米沢本沙石集〔1283〕一・四「このかんなぎ柱に立ちそひて、足をよりてほけほけと物思ひ質(すがた ...
50. あ‐じ【阿字】
日本国語大辞典
〕「夫阿字と者、迷悟之十界に亙て、凡聖不二の体性にて候間、善悪始てをどろくべからず」*米沢本沙石集〔1283〕二・七「三僧祇の修行を一念の阿字(アジ)に越ふと云 ...
「沙石集」の情報だけではなく、「沙石集」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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仏陀と称せられる歴史的人物ゴータマの創始した宗教。〔開祖ゴータマの生涯〕仏教の開祖は姓をゴータマGotama(瞿曇(くどん))、個人名をシッダッタSiddhatthaという。前四六三年ごろ(他の学説によるとそれよりも約一世紀以前)に釈迦(パーリPāli語でŚākiya、サンスクリットSanskrit語でSākya)
往生要集(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
平安中期の仏教書。天台宗の僧源信(恵心僧都)の著。43歳の984年(永観2)11月から書き始め、翌年4月に完成したもので、3巻10章からなる。濁世末代の人にとって極楽に往生する道を示す教えこそもっともふさわしいものであるという信念から、そのために必要な念仏について経典や論疏
宝物集(日本大百科全書・世界大百科事典)
鎌倉初期の仏教説話集。平康頼作説が有力。一巻本、二巻本、三巻本、七巻本の各系統に分かれるが、一巻本は1179年(治承3)ごろ、それを増補・改編したと思われる七巻本は1183年(寿永2)ごろの成立かと推定される。京都の嵯峨清凉寺の通夜のおりの座談の聞き書きという形をとっており
正法眼蔵随聞記(国史大辞典・日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典)
道元が門下に示した示誡を孤雲懐奘が聞くに随って記録し、これをその門下が編集したもの。六巻。道元が宋から帰朝してのち、初開の道場である京都深草の興聖寺において、嘉禎年間(一二三五―三八)その門下の僧衆に示した示誡の集録である。明和七年
元亨釈書(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
鎌倉時代末期に虎関師錬が著わした仏教史書。三十巻。仏教の伝来から元亨二年(一三二二)までの約七百余年間にわたる諸宗僧侶の伝記や評論、および仏教関係の諸事蹟などを漢文体で記した日本仏教の略史である。『史記』『漢書』、または『仏祖統記』などの体裁にならって、全体の構成を
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聖書(集英社世界文学大事典・世界大百科事典)
ユダヤ教およびキリスト教の聖典。人類の歴史において,聖書ほど広く世界に行き渡り,人々の心を深く捉え,その社会・文化あるいは思想の形成に多大な影響を与え,また熱心な研究の対象となってきたものはおそらくないであろう。その意味で,聖書は人類の大いなる遺産
閻魔(日本架空伝承人名事典・日本国語大辞典・世界大百科事典)
閻魔は冥府の王として仏教とともに日本に入り、恐ろしいものの代名詞とされたが、地蔵菩薩と習合して信仰対象にもなった。奈良時代には閻羅王と書かれ、まれに閻魔国とも書かれている(『日本霊異記』)。閻羅は閻魔羅闍(えんまらじゃ)の略で、閻魔王の意味である。
信教の自由(日本大百科全書・世界大百科事典)
宗教を信仰し、宗教上の行為を行う自由。宗教の自由ともいう。信教の自由は、宗教的権威から人間精神を解放することにより、近代の精神的自由の確立に大きな役割を果たした。また、信教の自由は、人間の魂の救済にかかわる自由として、精神的自由の源をなし、近代以来の
三宝絵詞(東洋文庫・国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本国語大辞典)
平安中期,出家した尊子内親王に源為憲が献じた仏教入門書。表題には「絵」とあるが,絵は失われて詞書だけがのこる。本生譚,経典の功徳,仏教・年中行事などを内容とする。1990年01月刊
渓嵐拾葉集(国史大辞典・世界大百科事典)
叡山の光宗が応長元年(一三一一)から貞和四年(一三四八)にかけて叡山天台の行事・作法や口伝法門などを集録したもの。もと三百巻あったと伝えるが、現在は百十三巻。顕部・密部・戒部・記録部・医療部・雑記部の六部からなり、当時の天台の顕・密・禅・戒に関する
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