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いまどきの英語

2015-03-17

10年もすれば優秀な翻訳ツールができるはずだから英語の勉強はしない~ と豪語する友人が大学にいた。

中学校から大学までとして10年も勉強するのにとんと身につかないと言わ れるが、それは当たり前らしい。外国語の習得には3500~5000時間が必要 で日本語と英語といった言語の距離が遠い場合は8000時間とも言われてい る。5000時間として、1日24時間、つまり米国なり英国なりに乗り込んだ としても200日、日中の8時間で換算すれば2年弱の<英語漬け>が必要とい うことになる。なるほど週に何日か授業を受けたところで身につかないわ けだ。

そんな英語教育の話を、日本の子どもに適した英語学習メソッドとして 「ストーリーベースカリキュラム」を開発・実践している青山学院大学・ アレン玉井光江教授の講演会で伺った。ストーリーベースカリキュラムで は<意味のある文脈>として童謡や昔話などを使うことにより自然に英語を 身につけることができるのだと言う。

ちなみにこれは幼児・児童向けの学習法なので悪しからず。大人でも実践 できると思うが心がピュアじゃないとなかなか受け入れがたいのでは。歳 を重ねるとよくも悪くも思考が複雑になり、それを英訳しようものなら、 何を言っているのだかさっぱりわからなくなる、という経験をお持ちでな いだろうか。あるいは思考が語彙の制約を受け、自分がバカに思えてくる (それが真実かもしれないが)など、大人になってからの言語習得はなに かと余計な心配事が多い。

閑話休題。

<意味のある文脈>とはすなわち理解できる、あるいは実際に使う可能性の あるフレーズということだ。内容を知っているから英語の意味が理解・推 測しやすく、使えるフレーズだから身につきやすい。120%納得である。む しろ今までやっていなかったことが不思議なくらいで思えば巷の英会話学 校では自然にそうなっているような気がする。しかしながら最近はどの子 も知っているというような昔話が減っているという事情もあり、さらなる 工夫が必要になるようだ。

現在の学校教育では英語を身につけるのは厳しいと先に書いたが、ゆえに <自立した学習者を育てる>ことが重要で、そのひとつのキーワードとして <あいまいさに耐える力>を身につける必要があることを説いていた。 20%ほどわからない単語があっても読めるはずという話を以前聞いて、英 語の小説にチャレンジしたことがある。もちろん頓挫した。まさに<あい まいさ>に耐えられなかったのである。

講演会の最後は、やってみましょう!ということで童謡「桃太郎」の冒頭 を先生指導のもと英語で歌うことに。

♪もーもたろさん、ももたろさん。Can you give me きびだんごー ♪Then let's go to おにがしまー

助動詞がどうしたとか、SVOCだとか、そういうことじゃなくてまるごと理 解するようなイメージ。

某友人が妄想するスーパー翻訳機はもう少し先の話と思われるので、わが 子に使える英語をと考えるなら、ストーリーベースカリキュラムを調べて みてはどうだろうか。ちなみに小学館の英語教室「イーコラボ」もアレン 先生が監修されているのでご案内しておく。

小学館の英語教室 イーコラボ

2015-03-17 written by テツマザキ
女子率が高い講演会だったのですが、桃太郎のキーが高くて歌いづらいん ですよね。教会の結婚式で賛美歌が歌いづらいのと同じ。でも文句はいけ ません。男子率が高いところでの女子はもっといろいろと苦労されている でしょうから。