杉本尚雄 著
南朝派の抵抗は、かつて勤王史観によって尽忠報国とされ、戦後は全く逆に反動として取扱われた。本書は、建武新政の先駆としての武時、その後継者で、一族を組織化した武重、征西将軍宮を迎えて九州宮方の全盛を現出した武光、この三人の人間性に注目し、新しい角度から、数多くの知見を示し、一族をあげての実態を再現している。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
川添昭二 著
今川了俊は本名貞世、室町幕府の重臣として九州探題となり、南北朝期に活躍した武将である。しかし了俊は同時に歌人であり、当時の文化を究明する上に、彼の存在は極めて大きい。著者は全国的に了俊関係の資料を博捜し、これを縦横に駆使して、初めて了俊の全体像を浮彫にした。動乱期の政治と文学を鋭く追求した力篇である。
[南北朝][武将・将軍|文化人]
高坂好 著
建武の中興と足利政権の樹立に対して赤松円心の果した役割は大きかった。やがて赤松氏は播磨・備前・美作・摂津を併領する大守護となり幕府柱石の一家となったが、満祐のとき将軍義教の強圧に反撥してこれを弑逆した(嘉吉の変)。その後零落した家運が政則によって再興されるまでの転変の歴史を、地理及び文化史等の面と併せ描いて興味深い。
[鎌倉|南北朝|室町][武将・将軍]
小川信 著
若年より四国・中国の戦陣に活躍し、壮年義詮の遺托により幼将軍義満を輔佐し室町幕府の基礎を固む。一旦政争に敗れ四国に退去したが、分国経営に専念して一族繁栄の基盤を築き、のち再び幕府に迎えられて管領に復帰。幕政を主導し南北朝内乱の終熄に尽した誠実な大政治家・第一級武将の生涯を克明に描き、その豊かな教養等をも併せ説いた好著。
[南北朝|室町][武将・将軍]
森茂暁 著
佐々木導誉(高氏)は佐々木氏の庶流京極家の出で、近江に本拠を据え、初め北条高時に仕えたが、南北朝動乱期に活躍し、足利尊氏を補佐して幕府の基礎固めに尽力した。多くの国の守護を兼ね、旧来の権威を軽視する「ばさら大名」の典型とされた反面、芸能・文芸に堪能な風流の武将であった。文武両道に秀でた魅力的な風雲児の生涯を描く。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
峰岸純夫 著
鎌倉幕府を滅ぼした武将。後醍醐(ごだいご)天皇の計画に呼応して倒幕を果たし、建武(けんむ)政府の一翼を担う。足利尊氏(あしかがたかうじ)との対立を深め、南北朝動乱の中で、転戦の末、越前国藤島で不慮の戦死を遂げる。信頼し得る古文書を博捜し、義貞(よしさだ)を支えた人的基盤を探るとともに、『太平記』によって創り出された凡将・愚将観を見直す。その実像を活写する義貞伝の決定版。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
瀬野精一郎 著
南北朝時代の武将。足利尊氏(たかうじ)の子に生まれながら認知されず、長門探題(ながとたんだい)に任じられて下向途中で父尊氏の命を受けた軍勢に襲撃され、九州に逃亡。尊氏が誅伐命令を出すなか、九州・中国地方を転戦。一度は尊氏を京都から追い出したが、敗れて再び中国地方を流浪し、石見(いわみ)での長い隠棲(いんせい)生活の果て没した。その波瀾の生涯と激動の時代を描き出す本格的実伝。
[南北朝|室町][武将・将軍]