小高根太郎 著
鉄斎はセザンヌ、ゴッホにも比すべき近代の世界的大芸術家であり、大学者でもあった。著者は鉄斎に傾倒すること20数年、一万点に及ぶ作品、数百巻にのぼる鉄斎自筆の記録、明治・大正期のあらゆる美術文献などを精査して、従来の謬説を正し、正確な鉄斎像を描き出した。鉄斎伝の決定版であり、欠くことのできない好指針である。
[江戸|明治|大正][文化人]
斎藤隆三 著
“アジアは一つなり”という名言をもって戦時中大いにもてはやされた天心は、戦後、あまり顧みられなくなってしまった。しかし明治の美術界をリードし、日本の美術を今日の隆盛に導いた彼の業績は、いまこそ改めて考究されるべきである。近代美術の生みの親ともいうべき天心の生涯を委細にわたって知り尽した著者による労作。
[明治|大正][学者|文化人|思想家]
西山松之助 著
江戸荒事歌舞伎の源流初代市川団十郎より、明治中期の団・菊・左時代を飾った九代目団十郎までの成田屋歴代の芸道精進のあとと、その演劇界における位置を、厳密な史料批判を基礎にまとめた好篇。豊富な引例とエピソードとによって興味深く説き、思わず読みつづけさせる。新装版にあたって、現代に至る十・十一・十二代目の章を増補し一層の充実を期した。
[江戸|明治|大正|昭和][文化人]
大村弘毅 著
明治・大正期の文壇に君臨した大文豪・教育家の生涯を、逍遙自編の年譜をはじめ最も正確な資料をもとにして、編年的にまとめた精密な決定版。演劇の改良、小説の革新、シェークスピアの全訳、文芸協会の設立など、光彩を放つ文芸活動に合わせて、その家庭生活をも丹念に描く。逍遙研究のみならず、近代文学者の伝記の規範として絶讃の書。
[明治|大正|昭和][文化人|教育家]
栗田直樹 著
朝日新聞社主筆から転身し、戦後の55年体制の礎を築いた政党政治家。その前年、吉田茂に代わって自由党総裁となると、翌年に民主党の鳩山一郎との対立を超えて自由民主党を成立させた。自らの経験と人脈を生かす、「情報組織の主宰者」とも呼ぶべき政治手法によって首相の座を目前にしながら急逝。いま埋もれつつあるその足跡を明らかにする。
[大正|昭和][文化人|政治家]