入交好脩 著
鐘紡を舞台として日本産業資本の指導者となり実業同志会を結成して政治に新風を注ぎ、更に時事新報に迎えられて言論界に活躍した武藤山治は、可惜不慮の兇弾に仆れた。しかしその高潔な人格と卓越した識見とは、福沢精神の実践者として不滅の光を放っている。本書はその生涯を叙して余すところなく真骨頂を浮彫りにした。
[明治|大正|昭和][実業家|政治家]
伊佐秀雄 著
明治・大正・昭和の三代にわたり、常に自由主義者として閥族的専制政治に反対しつづけた政治家。1890年以来、連続して衆議院に当選、東京市長・文相などを歴任、人称して“憲政の神様”という。著者は尾崎の後半生に親しくその謦咳に接しながら、その恩顧に溺れることなく、よくその性格と政界に苦闘する過程をたどる。
[明治|大正|昭和][政治家]
猪俣敬太郎 著
中野正剛にたいする見方は「ファシスト」から「秘密共産党員」説までさまざまである。さらに劇的な最期のため、すでに伝説化さえしている。本書は彼の全生涯にわたる伝記として最初のものであるばかりか伝説や俗説を排してその政治的・思想的遍歴を追究し、東条政権と対決して自刃するまでの反逆の生涯を鮮かに浮彫している。
[大正|昭和][政治家]
大林日出雄 著
“真珠王”御木本幸吉は、これまでいわれてきたような真円真珠の発明家ではなく、養殖真珠の逞ましい企業家であり、技術と漁場の独占に辣腕をふるい、巧みな演出と商魂によって全世界に“ミキモト・パール”の名を売り込んだ偉大な商人であった。本書は幾多の新資料を駆使して、伝説化された既往の“真珠王伝”を大きく書き改めた力篇。
[明治|大正|昭和][実業家|政治家]
栗田直樹 著
朝日新聞社主筆から転身し、戦後の55年体制の礎を築いた政党政治家。その前年、吉田茂に代わって自由党総裁となると、翌年に民主党の鳩山一郎との対立を超えて自由民主党を成立させた。自らの経験と人脈を生かす、「情報組織の主宰者」とも呼ぶべき政治手法によって首相の座を目前にしながら急逝。いま埋もれつつあるその足跡を明らかにする。
[大正|昭和][文化人|政治家]
茶谷誠一 著
昭和天皇の側近を務めた政治家。大久保利通の次男に生まれ、岩倉遣欧使節団に随行し米国留学。第一次大戦後のパリ講和会議では、次席全権大使として活躍する。協調外交や穏健な政治を支持する立場から、内大臣として昭和天皇の信任を得るが、軍部や右翼の批判を受け隠退する。激動の時代を生きた生涯を通して、近代日本の繁栄と挫折の歴史を描く。
[明治|大正|昭和][政治家|外交官]