安田元久 著
鎌倉政権確立期の執権北条義時に対しては、従来史家の批判は厳しかった。しかし義時は果して悪逆者か? 源氏の正統を根絶し、承久の乱には三上皇を遠島に流したことは事実だが、当時の人心に映じた義時の姿はどうか。新しい時代の、透徹した史眼によってのみなし得る義時評とその生涯、繰りひろげる絵巻の如き歴史の妙味を綴る。
[鎌倉][武将・将軍]
渡辺保 著
テレビに演劇に小説に、日本中の人々から愛される義経。しかし一体どこまでが本当なのだろうか。本書は物語・伝説の類を一切省き、確実な史料だけによってその一生をたどり、素材としての正史を綴る。──はじめて描き出された真実の姿。波乱に満ちた悲喜の生涯と、源平・公武の葛藤とは、興味津々として胸に迫る。
[平安|鎌倉][武将・将軍]
福田豊彦 著
千葉常胤は、下総千葉の庄を名字の地とする関東の豪族的領主であり、晩年、頼朝の挙兵に参加して、鎌倉幕府建設の功労者の一人に数えられる。本書は、彼を巨大武士団の首長、御家人中の代表的人物としてとりあげ、その豪族としての成長・発展と、頼朝政権との結びつきを追究しつつ、鎌倉幕府の基盤を解明しようと試みたユニークな伝記である。
[平安|鎌倉][武将・将軍]
貫達人 著
ひよどりごえの坂落しに愛馬を背負って下ったと伝えられるほどの豪力で、しかも誠実、思いやりのある畠山重忠は、鎌倉武士の典型と称せられる。本書はひよどりごえの一件は否定するけれども、重忠に関するあらゆる史料を博捜し、その美談・挿話の数々を検討しつつ、時代背景特に鎌倉武士社会の中に見事に描き出した出色の伝。
[鎌倉][武将・将軍]
高橋富雄 著
僻遠の地奥州に隠然たる藤原政権を建設し、燦然たる平泉文化を築き上げた“北方の王者”たち──清衡・基衡・秀衡・泰衡の父祖四代にわたる伝記。東北開拓の歴史、藤原氏の素性、平泉文化の種々相、京都および頼朝政権との折衝から、その悲劇的滅亡に至るまでの歴史を、四代の伝記に巧みに織り込み、古代東北史を解明する。
[平安|鎌倉][武将・将軍]
杉本尚雄 著
南朝派の抵抗は、かつて勤王史観によって尽忠報国とされ、戦後は全く逆に反動として取扱われた。本書は、建武新政の先駆としての武時、その後継者で、一族を組織化した武重、征西将軍宮を迎えて九州宮方の全盛を現出した武光、この三人の人間性に注目し、新しい角度から、数多くの知見を示し、一族をあげての実態を再現している。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
高坂好 著
建武の中興と足利政権の樹立に対して赤松円心の果した役割は大きかった。やがて赤松氏は播磨・備前・美作・摂津を併領する大守護となり幕府柱石の一家となったが、満祐のとき将軍義教の強圧に反撥してこれを弑逆した(嘉吉の変)。その後零落した家運が政則によって再興されるまでの転変の歴史を、地理及び文化史等の面と併せ描いて興味深い。
[鎌倉|南北朝|室町][武将・将軍]
上横手雅敬 著
日本最初の武家法、御成敗式目の制定者として、また鎌倉時代における稀代の名執権として古来その誉れが高い。北条氏歴代の中で、なぜに泰時ひとりがかくも異数な称讃をかち得たのか。広く関係史料を渉猟し、承久の乱の動揺と武家政権の確立をはかるその時代を背景に、人間泰時の誠実と苦悩の生涯を描き、事績を浮彫りにした好著。
[鎌倉][武将・将軍]
森茂暁 著
佐々木導誉(高氏)は佐々木氏の庶流京極家の出で、近江に本拠を据え、初め北条高時に仕えたが、南北朝動乱期に活躍し、足利尊氏を補佐して幕府の基礎固めに尽力した。多くの国の守護を兼ね、旧来の権威を軽視する「ばさら大名」の典型とされた反面、芸能・文芸に堪能な風流の武将であった。文武両道に秀でた魅力的な風雲児の生涯を描く。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
川添昭二 著
蒙古襲来の時代を生きた第8代鎌倉幕府執権。外圧を背景に、自らの権力確立のため、北条一門の名越氏と異母兄時輔を反得宗(とくそう)とみなして誅殺。34歳の若さで没した生涯を、今まであまり利用されなかった『建治(けんじ)三年記』や無学祖元(むがくそげん)の語録などを通して詳細に描写。蒙古問題の宗教的代弁者、日蓮にも説き及び、歴史の真相を浮き彫りにする。
[鎌倉][武将・将軍]
永井晋 著
鎌倉時代末期の政治家。霜月(しもつき)騒動に連座して不遇の幼少期をおくるが、得宗(とくそう)家の信頼を得て六波羅探題(ろくはらたんだい)・連署(れんしよ)となり、病弱な執権北条高時を支えた。15代執権に就任するが、政争の激化により辞任、幕府の滅亡に殉じた。膨大な貞顕(さだあき)書状から、高時政権を再評価し、称名寺造営や金沢文庫本の充実から、鎌倉の武家文化に足跡を残した権力者の実像に迫る。
[鎌倉][武将・将軍|文化人]
峰岸純夫 著
鎌倉幕府を滅ぼした武将。後醍醐(ごだいご)天皇の計画に呼応して倒幕を果たし、建武(けんむ)政府の一翼を担う。足利尊氏(あしかがたかうじ)との対立を深め、南北朝動乱の中で、転戦の末、越前国藤島で不慮の戦死を遂げる。信頼し得る古文書を博捜し、義貞(よしさだ)を支えた人的基盤を探るとともに、『太平記』によって創り出された凡将・愚将観を見直す。その実像を活写する義貞伝の決定版。
[鎌倉|南北朝][武将・将軍]
森幸夫 著
鎌倉時代中期の政治家。六波羅探題として長期在京し兄泰時の執権政治を支え、朝廷からも絶大な信頼を得ていた。鎌倉帰還後は豊かな政治経験を活かし、連署として若き執権時頼を補佐し幕政を主導した。重時が遺した現存最古の武家家訓は、当時の生活や思想を垣間見ることができて貴重。鎌倉幕府政治の安定化に大きく寄与した重時の生涯を辿る伝記。
[鎌倉][武将・将軍]
高橋慎一朗 著
鎌倉時代中期の政治家。父時氏・兄経時があいついで早世したため、20歳で執権に就任。宝治合戦で三浦氏を滅ぼし、得宗家(とくそうけ)を中心とする幕府体制を完成させる。蘭渓道隆(らんけいどうりゆう)を開山に招き建長寺を創建し、執権を辞任・出家後も、幕府の最高権力者であり続けた。政治家と仏教者のイメージが交錯するところに生まれた伝説の背景にも触れ、その生涯を描く。
[鎌倉][武将・将軍]