坂本太郎 著
日本史上不世出の偉人。──推古女帝の摂政として不滅の足跡を残し、また仏教文化の基を築いた哲人政治家。古来聖徳太子伝は多いが、真の太子像に迫るものはない。古代史学の耆宿・太子研究の第一人者が透徹の史眼をもって史実と伝説を峻別切断し、流麗達意の筆で描く太子伝の決定版。
[飛鳥][政治家|天皇・皇族]
直木孝次郎 著
古代国家の完成期として、また文化の興隆期として、日本史上きわめて重要な意味をもつ白鳳時代を指導した持統女帝の波瀾にみちた生涯を、愛情をもって浮彫りにした力作。とくに律令体制の形成過程に焦点をおき、天皇が、父天智、夫天武の遺業を承けついで、これを完成させるに至る栄光と苦難の半世紀を巧みに解明した好書。
[飛鳥][天皇・皇族]
上田正昭 著
日本武尊について、ある人は「英雄時代」の英雄とみ、また他の人は古典に作り出された作為の人間であるという。著者は『記・紀』に描かれた尊の行動を史料を総合して丹念に掘り下げ、伝承成立の過程を新しく分析する。尊の悲劇性とその土くさい香りをめぐる謎を、一皮一皮はがして、日本古代国家の実相解明に肉迫する力作。
[飛鳥][天皇・皇族]
寺崎保広 著
奈良時代の皇族政治家。政府の首班として権勢を振るうが、藤原氏の陰謀によって自尽に追込まれる。文化・知識人としても勝れ、和銅経・神亀経を残す。なぜ「長屋王の変」は起きたのか。邸宅跡の発掘に立会った著者が、出土した大量の木簡や資料を基に政変の真相を探り、王家の生活を復元。これまでの研究史と最新の研究成果を活かして生涯を描く。
[飛鳥|奈良][政治家|天皇・皇族]
直木孝次郎 著
『万葉集』の女流歌人。大海人(おおあま)皇子との間に十市(とおち)皇女を生むが、後に中大兄(なかのおおえ)皇子に娶(めと)られたとされる。中大兄の大和三山歌をはじめ、熟田津(にぎたつ)船出の歌、三輪(みわ)山別れの歌、大海人との蒲生野(がもうの)贈答歌など、『万葉集』に残る名歌の解釈をめぐる諸説を検証。王の呼称に対する新説を提起するなど、従来の評価を見直しつつ、額田の個性と内外の緊張が高まる時代を描く。
[飛鳥][文化人|天皇・皇族|女性]