高谷道男 著
ヘボンといえばローマ字と誰しも思い浮べるであろうが、実は明治文明開化の大恩人であったことは案外見落されている。在日生活33年、医療に、伝道に、教育に、その足跡は極めて大であった。本書は多年の蒐集になる貴重な史料をもとに、ヘボン自身の書翰類をあわせ、ヘボン自身が語りかけるように巧みな筆を運んでいる。
[江戸|明治][宗教者|医師]
原敬吾 著
宗派神道のさきがけをなす黒住教の教祖。平凡に生まれながら、天照大神の天命を受けて自らの病をいやし、やがて周囲の人々に及ぼしてその教えをひろめる。著者はキリスト教における奇蹟と対比しつつ、黒住教における数々の霊能を述べるとともに宗忠その人の人格完成のあとを追求した。特異な宗派神道―黒住教教祖の実伝。
[江戸][宗教者]
友松圓諦 著
西郷隆盛と薩摩の海に入水した悲劇によって有名な、幕末の憂国僧月照の史伝は伝説悲歌の小説的人物に祭り上げられることが少なくない。月照の住職した清水寺成就院に所蔵する数百冊の寺録や、自筆の遺稿などを巨細に点検・整理し、その史実と思想学説を明らかにした、著者二十余年の研鑽によるはじめての本格的な月照伝。
[江戸][宗教者]
平久保章 著
祖国衰亡の悲哀を体験した明僧隠元は、招きに応じて齢六十三にして東渡し、忽ち朝野の尊崇を受けてはからずも日本に永住し、禅宗黄檗派の開祖となった。彼に対する毀誉褒貶はさまざまであるが、果してその真骨頂は如何。本書は隠元の生涯・人物を丹念に描き、さらにその法系に及ぶ、公正な立場から叙述されたはじめての隠元伝。
[江戸][宗教者]
久松潜一 著
近世国学の先蹤をなす契沖の生涯と、その学問・和歌とを全体として扱ったもので、著者多年の研究成果の精髄ともいうべき好著。契沖自身の誠実な人間としての生き方を追求するとともに、その学問の歴史的意義や高く評価される次代への影響の解明に力点をおき、さらに彼を取巻く人間関係や社会的背景をも描いてあますところがない。
[江戸][宗教者|学者]
五野井隆史 著
江戸時代初期、慶長遣欧使節の大使を務めた仙台藩士。伊達政宗に若くして見出だされ、メキシコとの通商を求めて欧州へ渡った。スペインで洗礼を受けてキリスト教に改宗し、ローマで教皇パウロ五世に謁見したが、使命を果せず禁教令施行の中帰国した。約250年封印され、明治の欧化政策の中で蘇った常長の足跡を再評価し、実像とその時代に迫る。
[江戸][武人・軍人|文化人|宗教者]