会田倉吉 著
幕末より明治へ。──日本の近代化への脱皮の時にあたり、新時代の担い手となるべき人材と独立市民の育成に献身し、西洋事情・学問のすすめ・文明論之概略等々、めざましい著述活動によって広く西欧文明を紹介し、一世に甚大な感化影響を与えた偉大な先覚者・大教育者の生涯とその事績を、広範な資料にもとづいて最も精確に描いた。
[江戸|明治][思想家|教育家|武人・軍人]
住谷悦治 著
マルクス主義社会科学者である一方、貴い“体験”にひらめく宗教的真理を確信し、非転向を貫徹した求道の戦士。本書は、博士の人物・生涯・思想を、多くの学問的著書・論文・『自叙伝』などをたどって、必然の姿において捉え、その精神構造を分析し、東洋的マルクス主義者としての博士の特質・面目を躍如たらしめた力編。
[明治|大正|昭和][学者|思想家]
吉田久一 著
清沢満之は近代信仰の第一の樹立者であり、また日本哲学の基礎を築いた傑人でもある。本書は、日本近代思想史研究の立場から、彼の生涯をたどり、従来真宗教団内に孤立しがちだった満之を、本来あるべき位置に正しくすえただけでなく、宗教信仰や哲学的思索の難問を、実地踏査と適正な史料操作によって見事に解決している。
[明治][宗教者|思想家]
斎藤隆三 著
“アジアは一つなり”という名言をもって戦時中大いにもてはやされた天心は、戦後、あまり顧みられなくなってしまった。しかし明治の美術界をリードし、日本の美術を今日の隆盛に導いた彼の業績は、いまこそ改めて考究されるべきである。近代美術の生みの親ともいうべき天心の生涯を委細にわたって知り尽した著者による労作。
[明治|大正][学者|文化人|思想家]
田畑忍 著
初代の東京大学学長、学士院院長などの肩書をもち思想界・法曹界に君臨、一世に感化を与えた明治時代最大の学傑。その論争家としての立場は官界・政界をバックとし、天賦人権論からダーヴィニズムへの転向は、明治政治史の動向を側面からみるものとして興味深い。人物史としても思想史としても好適。
[江戸|明治|大正][思想家|教育家]
犬塚孝明 著
わが国初代文部大臣森有礼は、近代教育制度の創始者として優れた文政家であるだけでなく、黎明日本の国際的地位向上に努力した外交官であり、近代的国民の創出をめざして東西縦横の活躍をした啓蒙思想家でもあった。本書は内外の新史料を駆使して、国際人としての新しい視点から政治家森を描き、その国家主義思想にも新たな究明を試みた意欲作。
[明治][政治家|思想家|教育家]
高橋昌郎 著
敬宇中村正直は明治啓蒙思想界において逸することのできない偉才であった。儒学についで蘭学を修め、英国に留学。維新のさい帰国、教鞭を執るかたわら、明六社創立に参画し、また『西国立志編』『自由之理』を訳述して新思想の普及に努め、さらに女子教育・幼児教育・盲啞教育に尽した功業は大きい。再評価すべき人物の正確な実伝。
[江戸|明治][教育家|思想家]
高橋昌郎 著
明治初期、明六社員として啓蒙活動を行うとともに、文部省編書課長として新しい教科書の編集を担当。そのさい、伝統を生かしながら欧米文化を吸収することを主張した。明治二十年ころからは、社会人を目標に、道徳教育を中心とする生涯教育を志して日本弘道会を結成し全国運動を展開。英学者であり儒学者で、現実を重視した思想家。
[江戸|明治][思想家|教育家]
圭室諦成 著
佐久間象山と共に幕末期における開明的思想家として世界的視野に立ち、新日本の進路を明示した維新の英傑。出身の肥後藩の容れるところとならず、越前藩に迎えられて最高顧問となり、幕政の改革にも参加、さらに明治新政府に入っては参与となったが兇刃に倒れたその生涯。小楠に対する愛着切なる著者が情熱を傾注して綴った好伝記。
[江戸|明治][思想家|政治家]
飛鳥井雅道 著
高知生まれの自由民権思想家。明治国家建設にあたり、『民約訳解』などルソーの厳密な翻訳を著し、フランス革命の文明論的原理を追求、フランス学派の代表と目された。民権理論の中核にありながら運動ではほとんど常に孤立。野党統一を求めつつ果たせなかった、奇人として知られる彼の理想とは何だったのか。挫折と苦悩の生涯を大胆かつ精密に描く。
[明治][思想家|文化人]