会田倉吉 著
幕末より明治へ。──日本の近代化への脱皮の時にあたり、新時代の担い手となるべき人材と独立市民の育成に献身し、西洋事情・学問のすすめ・文明論之概略等々、めざましい著述活動によって広く西欧文明を紹介し、一世に甚大な感化影響を与えた偉大な先覚者・大教育者の生涯とその事績を、広範な資料にもとづいて最も精確に描いた。
[江戸|明治][思想家|教育家|武人・軍人]
仲田正之 著
代官として有能な江川坦庵(太郎左衛門)は、蘭学者・外交官・芸術家・軍学者・教育者にして剣客でもある。幕末の生んだ多芸多能の先覚者といえよう。その幅広い交際から、渡辺崋山・高島秋帆らの力を幕政に反映せしめんとして果せず、晩年は、ペリー来航より登用され、二年余の奔走のすえに没した。著名な人物だが本格的研究がなかった坦庵像に初めて迫る。
[江戸][武人・軍人|文化人|外交官|学者|教育家]
田畑忍 著
初代の東京大学学長、学士院院長などの肩書をもち思想界・法曹界に君臨、一世に感化を与えた明治時代最大の学傑。その論争家としての立場は官界・政界をバックとし、天賦人権論からダーヴィニズムへの転向は、明治政治史の動向を側面からみるものとして興味深い。人物史としても思想史としても好適。
[江戸|明治|大正][思想家|教育家]
犬塚孝明 著
わが国初代文部大臣森有礼は、近代教育制度の創始者として優れた文政家であるだけでなく、黎明日本の国際的地位向上に努力した外交官であり、近代的国民の創出をめざして東西縦横の活躍をした啓蒙思想家でもあった。本書は内外の新史料を駆使して、国際人としての新しい視点から政治家森を描き、その国家主義思想にも新たな究明を試みた意欲作。
[明治][政治家|思想家|教育家]
大村弘毅 著
明治・大正期の文壇に君臨した大文豪・教育家の生涯を、逍遙自編の年譜をはじめ最も正確な資料をもとにして、編年的にまとめた精密な決定版。演劇の改良、小説の革新、シェークスピアの全訳、文芸協会の設立など、光彩を放つ文芸活動に合わせて、その家庭生活をも丹念に描く。逍遙研究のみならず、近代文学者の伝記の規範として絶讃の書。
[明治|大正|昭和][文化人|教育家]
高橋昌郎 著
敬宇中村正直は明治啓蒙思想界において逸することのできない偉才であった。儒学についで蘭学を修め、英国に留学。維新のさい帰国、教鞭を執るかたわら、明六社創立に参画し、また『西国立志編』『自由之理』を訳述して新思想の普及に努め、さらに女子教育・幼児教育・盲啞教育に尽した功業は大きい。再評価すべき人物の正確な実伝。
[江戸|明治][教育家|思想家]
高橋昌郎 著
明治初期、明六社員として啓蒙活動を行うとともに、文部省編書課長として新しい教科書の編集を担当。そのさい、伝統を生かしながら欧米文化を吸収することを主張した。明治二十年ころからは、社会人を目標に、道徳教育を中心とする生涯教育を志して日本弘道会を結成し全国運動を展開。英学者であり儒学者で、現実を重視した思想家。
[江戸|明治][思想家|教育家]
山崎孝子 著
明治四年、岩倉大使一行にまじって満七歳の振袖・稚児髷姿で渡米留学した津田梅子は、不自由な異国の生活を克服して、勉学に励み、長じて帰国後は、女性の解放と女子高等教育の開拓に精魂を尽した。本書は厳密な資料操作に基づき、細やかな愛情を投げかけつつ、梅子の生涯と社会環境とを鮮やかに展開した感動を呼ぶ一編である。
[明治|大正|昭和][教育家|女性]
上沼八郎 著
常に人に先んじ、鋭い推進力となって、近代教育の基礎工事を完成した伊沢修二の生涯は、特異な個性と叛骨に貫かれ、摩擦・挫折・転回と激しく旋転した。本書は失われつつある伊沢の資料を博捜し、その活動力の源泉と、思想的構造の分析に力点をおき、彼の果した役割を再評価するとともに、明治教育思想の断面図を描き出した。
[明治][教育家|官吏・官僚]
井上忠 著
元禄前後の実証的学風にたち「民生日用の学」を唱えた益軒の著述は、『養生訓』その他今なお多くの読者をもっている。しかし益軒は西南の雄藩筑前の文治政策の推進者として活躍めざましく、また上方・江戸の刺戟を得て自然科学・儒学の研究を大成した。著者十余年の研鑽と収集とによる豊富な史料に裏付けられた益軒伝の全貌。
[江戸][学者|教育家]
中嶌邦 著
近代女子教育の発展に尽力した日本女子大学の創立者。長州藩士の家に生まれ、幕末の動乱期から明治・大正にかけて生き抜いた生涯を追う。キリスト教と出会って女性観を変え伝道に力を尽くし、米国留学を経て女子高等教育に向かった。なぜ、男子の教育でなかったのか。あるべき社会を問い続けた教育実践と、世界平和を願った実像を浮き彫りにする。
[明治|大正][教育家]