(たいへいき)
作者未詳
鎌倉末期から南北朝時代の約50年間の動乱を描いた軍記物語
鎌倉末期、後醍醐天皇の鎌倉幕府倒幕計画から南北朝中期(足利義満の時代)までの約50年間の争乱を、和漢混交文でいきいきと描いた、全40巻の軍記物語。軍記物最大の長編。政治や社会に対する批判も縦横に描かれる。謡曲、浄瑠璃、草双紙類などのちの作品にも影響を与えた。成立には、僧の玄慧(げんね)や恵鎮(えちん)が関わったとされ、小島法師の作とも伝えられるが未詳。
[南北朝時代(1368~75年ごろ成立)][軍記]
《校注・訳者/注解》 長谷川 端
(ようきょくしゅう)
観阿弥、世阿弥、金春禅竹ほか
世界でもっとも長い演劇である「能」の総合的な手引き書
「謡曲」とは、観阿弥、世阿弥らによって室町時代に完成された能楽の詞章のこと。高砂(たかさご)などの「脇能」(初番目物、神)、八島(やしま)などの「修羅物」(二番目物、男)、熊野(ゆや)などの「鬘物」(三番目物、女)、西行桜(さいぎゃうざくら)などの「四番目物」(雑物、狂)、鵺(ぬえ)などの「切能」(五番目物、鬼)約80の代表的な謡曲を収録。上演時の各流派の舞台上の動きも解説。
[南北朝時代~室町時代末期][能狂言]
《校注・訳者/注解》 小山弘志 佐藤健一郎
(きょうげんしゅう)
作者未詳
笑いの芸能として室町時代に成立し発展した狂言
能と深い関係を持ち、南北朝時代に発生した中世的庶民喜劇、狂言。「脇狂言」の末広かり、松楪(まつゆずりは)、「大名狂言」の粟田口(あわたぐち))、「小名狂言」の素袍落(すおうおとし)、附子(ぶす)、「聟女狂言」の貰聟(もらいむこ)、「鬼山伏狂言」の朝比奈、「出家座頭狂言」の宗論、「集(あつめ)狂言」の蜘盗人(くもぬすびと)など、全38番をおさめる。狂言絵や舞台写真、演出面の詳注もあり。
[南北朝時代~江戸時代][能狂言]
《校注・訳者/注解》 北川忠彦 安田 章
(れんがしゅう)
宗祇、宗長、里村紹巴ほか
鎌倉から江戸初期にかけて流行した座の文学、連歌
連歌は和歌から派生し中世に広く流行した。短歌の上の句と下の句を交互に複数人で詠む。南北朝時代の『文和(ぶんな)千句第一百韻』、宗祇(そうぎ)、肖柏(しょうはく)、宗長(そうちょう)による『水無瀬三吟百韻(みなせさんぎんひゃくいん)』や『湯山三吟百韻』、室町末期の連歌師の谷宗養(そうよう)と里村紹巴(じょうは)による『宗養紹巴永原百韻』など、7作品をおさめる。
[南北朝時代~室町時代末期][連歌・俳諧]
《校注・訳者/注解》 金子金治郎
(ぎけいき)
作者未詳
日本歴史上最大の悲劇のヒーロー、九郎判官義経の一代記
源義朝(よしとも)の末子として鞍馬(くらま)寺に預けられた源義経(幼名・牛若)の成長から、弁慶の物語、吉野潜行、奥州落ち、奥州平泉での衣川合戦まで、九郎判官(くろうほうがん)義経の悲劇的な生涯を、伝説や逸話を交えて語る。全8巻の軍記物語。「判官物語」、「義経物語」、「牛若物語」、「よしつね記」ともよばれる。成立年、作者ともに未詳。
[室町時代前期~中期][軍記]
《校注・訳者/注解》 梶原正昭
(むろまちものがたりそうししゅう)
作者未詳
おとぎ話の原形――中世の庶民を魅了した不思議で妖しい絵物語
南北朝時代から江戸時代初期にかけて、平易な散文体の読み物が多くつくられ、「室町物語」や「室町物語草子」、「近古小説」、「御伽草子(おとぎぞうし)」などとよばれる。今日のおとぎ話や昔話の原型となった作品も多い。『文正草子(ぶんしょうそうし)』、『猿源氏草紙』、『ものくさ太郎』、『和泉式部』、『一寸法師』、『浦島の太郎』、『熊野本地絵巻(くまのほんじえまき)』など、13編をおさめる。
[南北朝時代前期~江戸時代初期][物語(御伽草子・短編物語)]
《校注・訳者/注解》 大島建彦 渡 浩一
(れんがろんしゅう)
二条良基、心敬、宗祇ほか
室町時代に花開いた座の文学、連歌の神髄を語る
連歌は南北朝時代に中世詩として確立され、1356年連歌初の撰集、関白・二条良基(よしもと)撰の准勅撰『菟玖波(つくば)集』が成立した。以後、宗祇(そうぎ)や宗長など専門連歌師も登場し、多くの連歌論が書かれた。二条良基の『筑波問答』(1357~72年)、僧・心敬の『ひとりごと』(1468年)、宗祇の『老(おい)のすさみ』(1479年)、宗長の『連歌比況集』(1509年ごろ)など5作品を収録。
[南北朝時代~室町時代][文芸評論(連歌論)]
《校注・訳者/注解》 奥田 勲
(のうがくろんしゅう)
世阿弥
優雅な理想美「幽玄」を追求する世阿弥の芸術論
能役者の世阿弥(ぜあみ)は、室町幕府3代将軍足利義満の庇護のもと、能を大成させた。能の作品を数多く残す傍ら、優れた芸術論である能楽論を書き残した。現存する21編の能楽論のうち、『風姿花伝』(1400年ごろ成立)、『花鏡(かきょう)』(1424年)、『至花道(しかどう)』(1420年)、『三道』(1423年)、『拾玉得花(しゅうぎょくとっか)』(1428年)、『習道書(しゅどうしょ)』(1430年)の6編をおさめる。
[室町時代][文芸評論(能楽論)]
《校注・訳者/注解》 表 章