日本大百科全書(ニッポニカ)

電力広域的運営推進機関
でんりょくこういきてきうんえいすいしんきかん

全国規模で電力の需給を調整する認可法人。電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づき、2014年(平成26)に認可され、2015年に発足した。略称は広域機関。英語名はOrganization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators, JAPANで、頭文字をとってOCCTO(オクト)ともよばれる。2011年の東日本大震災時に、東日本と西日本の電力融通が十分にできず、東京電力管内で電力使用制限令を発動し計画停電を余儀なくされた教訓から、緊急時でも安定的な供給を維持し、供給システムを効率化する目的で発足した。大手電力会社や新電力事業者など全電気事業者が会員になるよう義務づけられており、2018年10月時点で1186事業者が会員である。
 24時間365日、全国の電力需給を一元的に監視し、大災害など非常時に電力需給が逼迫(ひっぱく)した場合、電気が余っている地域から足りない地域へ電力融通を指示する権限をもつ。従わない事業者には制裁を科すことができる。中長期的な電力の安定供給を確保するため、すべての電気事業者の需給計画や整備計画をとりまとめ、広域活用に必要な周波数変換設備や地域間連系線などの送配電インフラの整備計画を策定する。送配電設備の利用については、電気事業者が守るべき利用指針や利用方法(間接オークション方式:連系線利用をエネルギー市場を介して行う仕組み)を策定し、送配電設備の公平・公正で効率的な利用を促す。電力自由化や再生可能エネルギーの大量導入に対応し、発電能力(供給力)を取引する「容量市場」や、短期間で需給の調整力を市場で調達できる「需給調整市場」の創設を検討し、創設後はその運用を担う。所在地は東京都江東区豊洲(とよす)。トップは理事長職で、初代理事長は経済学者で東京大学名誉教授の金本良嗣(よしつぐ)(1950― )。通常業務を運営する理事会とは別に、中立的立場で重要事項を審議し理事会に提言する評議員会がある。
[矢野 武]2019年5月21日