日本大百科全書(ニッポニカ)

タール
たーる
tār ペルシア語

イランからカフカスにかけて用いられるリュート属撥弦(はつげん)楽器。おもに古典音楽の歌唱伴奏に使われ、語義は「弦」。木製共鳴胴は2個の心臓を連結したような独特の形をしており、表面には羊の皮膜が張られている。60センチメートルほどの長い棹(さお)には25本の羊腸製可動フレットが巻かれ、1オクターブが15の微小音程に分割される。6本の金属弦の標準的調弦はC3―C4―G3―G3―C4―C4だが、用いる旋法によってしばしば変えられる。真鍮(しんちゅう)製のプレクトラム(義甲)を用いたトレモロ奏法や、左手の指で棹上の弦をたたいたりはじいたりする技法によって、歌唱旋律をなぞったり微細な装飾を加えたりする。
[山田陽一]

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