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ある人の属する戸籍の全部を写しとったもの。人の身分関係を公に証明する重要な文書であり、だれでも一定の手数料を納めて交付を請求できるのが原則であるが、他方、個人の人権、プライバシーを侵すおそれもあるので、戸籍法では、その交付を請求できる者と場合とについて慎重な配慮を加えている。すなわち、戸籍に記載されている者またはその配偶者、直系尊属・卑属が請求する場合、公務員・弁護士・司法書士などが職務上請求する場合を除き、請求者は請求事由を明示しなければならないものとするとともに、その請求が不当な目的によることが明らかな場合には、交付を拒否できることとしている(戸籍法10条・10条の2)。なお、戸籍のコンピュータ化に伴い、戸籍謄本は、正式には、「全部事項証明書」とよばれる。
なお、2019年(令和1)5月24日に成立した戸籍法の一部を改正する法律では、各種の社会保障手続でマイナンバー制度を利用することにより、戸籍謄抄本の提出を省略することができるとした。また、戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付を不要とし、さらに、本籍地以外での戸籍謄抄本の発行を可能とした(2024年運用開始予定)。