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液体を内部に収め、それを注ぐための管状の注口部をもつ土器。縄文時代の初期には注口部が未発達で小さかったり、片口状の注口部がつくられたりするものがあったが、後期以降になると今日の土瓶(どびん)に似た形をした注口土器が現れ、とくに東北、関東地方でさかんにつくられた。弥生(やよい)土器やそれに続く土師器(はじき)ではほとんどつくられなかったが、須恵器(すえき)の(はそう)は注口土器としての機能をもっていたとみられる。縄文時代の注口土器の多くは入念に製作され、美しい文様を施されたものが多く、またその容積もさほど大きくないことからみて、日常の生活に用いられたのではなく、特別な儀礼上の目的に利用された土器とみられる。