日本大百科全書(ニッポニカ)

自己資本利益率
じこしほんりえきりつ
return on equity 英語

企業が株主から預かっている資本でどれだけ利益をあげたかを示す指標。英語の頭文字をとってROEと略称する。企業の稼ぐ力(収益性)を測る指標の一つで、数値が大きいほど効率よく利益をあげていることを表す。「純利益÷自己資本×100」で算出するのが一般的である。株主が拠出した資金で株主が要求する利益をあげたかどうかを判断する株主視点にたった指標といえ、株価と一定の相関関係があるとされている。
 アメリカでは1980年代から、企業の稼ぐ力を評価する指標として、PER(株価収益率:時価総額が純利益の何倍あるかを示す指標)と並んでROEが重視されてきた。日本では、外国人投資家の増加にあわせ、1990年代後半からROEが重視されるようになった。アメリカでは、ROEが10%以上あることが優良企業の条件とされ、2015年のアメリカの主要企業の平均ROEは12%である。一方、日本では東証一部上場企業の同年度の平均ROEは7.8%にとどまっている。ROEは借金を増やして利益をあげたり、自社株買いや増配による株主還元で自己資本を圧縮したりすれば、数値の改善が可能になる。ROEには、こうした負債活用や株主還元などの財務テクニック(財務のレバレッジ)に数値が左右される特性がある。このため最近は、ROEと並んで、財務のレバレッジ効果を排除できる投下資本利益率(ROIC)が稼ぐ力をみる指標として注目されるようになり、経営指標として採用する上場企業も増えている。
[矢野 武]2019年1月21日