(カンボジア)
ジャン・デルヴェール 著/石澤良昭、中島節子 訳
アンコール・ワットや敬虔な仏教徒の多いことで知られる「メコンの賜」カンボジア。厳しい自然条件に適応してきたこの農業国も近代に入ってからは、インドシナ戦争、「クメール・ルージュ」による支配など、数多くの辛酸をなめてきた。いまだ謎多きカンボジアの地理、農民生活、政治などを詳述する。
(オナニズムノレキシ)
ディディエ=ジャック・デュシェ 著/金塚貞文 訳
自慰行為の歴史を遡ると、聖書にたどり着く。旧約聖書のオナンの行為(オナニズム)は、はたして自慰行為と呼べるのか? 本書は、マスターベーションという身体行為を神学・精神分析学・倫理学・病理学を視野に入れながら考察し、オナニズムに対する見かたや感じ方の変遷を語る画期的な著作。
(イディッシュゴ)
ジャン・ボームガルテン 著/上田和夫、岡本克人 訳
ユダヤ人の絶えざる移住は、多くの非ユダヤ言語との接触をもたらし、ユダヤ人はそれらを吸収し、変形させ、独自の文化を培ってきた。本書は、彼らの用いてきたイディッシュ語とその文学・文化を通じて、ディアスポラやショーアーの刻まれた、一千年以上にわたるユダヤ人の有為転変の歴史を概説する。
(バロックノセイシン)
アンヌ=ロール・アングールヴァン 著/秋山伸子 訳
もともとは「いびつな真珠」を意味するバロック。その本質は多様な形態にある。本書の目的は、さまざまな表情のもとに現われるバロックの精神を示すことにある。デカルト、パスカル、シェイクスピア、バッハ……。バロック期のヨーロッパ各国の文化的諸相を概説しつつ、近代の探究に立ち会う異次元旅行の書。
(ジャーナリストノリンリ)
ミシェル・マティアン 著/松本伸夫 訳
衛星放送やインターネットが普及し、視聴覚メディアにより加速された文化の中、情報は複合的に消費されてゆく。何をどのように報道すべきか? フランスにおける歴史的現状に即しつつ、ジャーナリストという職業の倫理を問いただす本書は、マスコミ関係者・志願者に長らく待たれていたものである。
(ショウチョウケイノセイジガク)
リュシアン・スフェーズ 著/田中恒寿 訳
政治の鍵は「象徴系」にある。政治は象徴に関わるという観点から「政治的象徴」の理論・実践・未来像を提示する本書は、ルソー、フーリエ、マルクスらを遺伝子記号的に捉え、集合的記憶社会(コンピューター通信網)のイデオロギーをもその視野に収める。政治をポピュラー・サイエンス並みの面白さで解説。
(ゴゲンガク)
シャルル・ブリッュケル 著/内海利朗 訳
うまく引き出されたひとつの語源は、人間がいかに、その知覚している世界を把握しているのかという情報を教えてくれる。本書は、多くの事例に語の起源を求め、抽出・鑑定したうえで語源辞典・語源研究の展望へと踏み込む。ピエール・ギローの業績を継承しつつ、新たな語源学の可能性を探る導きの書。
(ロシア・ソヴィエトテツガクシ)
ルネ・ザパタ 著/原田佳彦 訳
ロシア的霊性は、カント、ヘーゲル、フーリエ、ダーウィンら西欧の哲学・思想からどのような影響を受けてきたのか? ロシア文学と哲学者・思想家との相関関係は? 本書は、ロシア・ソヴィエトの思想の流れを、起源から現代にいたるまでわかりやすく概説した、画期的なインテリゲンツィア列伝。
(ベルギーシ)
ジョルジュ=アンリ・デュモン 著/村上直久 訳
フランドル芸術を育み、「欧州の十字路」として独自の商工業や文化を発達させてきたベルギー王国。本書は自国の言語紛争ゆえに世界でも珍しい君主制連邦国家へといたったベルギーの歴史を、地理的に詳説し、文化的側面から活写する。ヨーロッパ統合を考えるための基礎知識が詰め込まれた一冊。
(アイルランド)
ルネ・フレシェ 著/山口俊章・山口俊洋 共訳
大西洋の大いなる神秘を背に、ケルトの伝統にラテンの血が注ぎ込まれてきたアイルランド。本書は、イギリス諸島やヨーロッパ大陸からの侵入を受けながらも今日まで偉大なる文化を育んできた、その風土的特徴と歴史的事実を語る。不思議を発見する楽しみに満ちた、アイルランドを訪ねる者の基礎知識。