(ジツゾンシュギ)
ポール・フールキエ 著/矢内原伊作、田島節夫 訳
合理主義的な観念論に叛旗を翻すように、二十世紀という危機の時代における人間の自覚の先鋭な表われとして登場し、主体的な自己を認識し、回復させるために起こった実存主義の思潮の流れを、サルトルとメルロ=ポンティの行動を中心にすえ、西欧思想の伝統に深く根ざす苦悩の意味を平易に解き明かす。
(マルクスシュギ)
アンリ・ルフェーヴル 著/竹内良知 訳
弁証法的唯物論を固定したドグマから解放し、自己の実践を支える「生きた方法論」としてマルクス主義をとらえる著者が、その哲学的・思弁的な概説をはるかに超えて現実的な諸問題を綿密に検証し、具体的領域において展開しつつ、真のマルクス主義の方法論を高度な理論的水準にまで高めた、格好の書。
(セカイテツガクシ)
ピエール・デュカセ 著/串田孫一・渡辺 秀 共訳
「哲学の起源」「ギリシャ哲学」「中世のルネサンス」「近代哲学」「現代の思想」の五章からなる。多くの哲学の流れを歴史に対する正しい関心と知識とによってこの小冊子の中にきわめて多くの思想を、公平に、明晰に扱った、一般人のための好個の哲学入門書であると言えよう。
(プロテスタントノレキシ)
エミール=G.レオナール 著/渡辺信夫 訳
プロテスタンティズムの出現は、近世以後の世界史に決定的な影響を与えた。本書は、ルターの改革を出発点とし、カルヴァンにより組織化と発展をみたプロテスタンティズムを、時代の要求が生みだした世界像として克明に叙述し、現代までの進展をたどることで、その精神的核心を明らかにする。
(カトリックノレキシ)
J=B.デュロゼル 著/大岩誠・岡田徳一 共訳
二千年にわたるカトリック教会の流れを要約する本書は、抽象的な神学理論に立ち入ることを最小限にとどめ、教会史上の主要な事件を一般文化史・社会史との関連をふまえながら跡づけ、その組織活動の全体、国際性と民族主義的傾向との関連を明らかにしてゆく。
(テツガクニュウモン)
フランソワ・グレゴワール 著/中村雄二郎 訳
この本は哲学者の名前を年代的に並べた哲学史や学説を羅列した哲学概論ではなく、問題別に思想を概観した待望の解説書である。西洋における哲学の根本問題である「認識の問題」「外界の存在」「物質とはなにか」「生命の問題」「肉体と魂」「自由の問題」「神の問題」などを取り上げ、綿密な検討を加えている。
(ドウトクシソウシ)
フランソワ・グレゴワール 著/宇佐見英治 訳
「この世にありていまも大きな意義と生命をもつモラルについての古今東西の偉大な思想」を検討した倫理学の基本図書。「いかに生くべきか」「何が善であり、何が悪であるか」という永遠のテーマの展望を語る。
(ヒミツケッシャ)
セルジュ・ユタン 著/小関藤一郎 訳
秘密結社といえばフリーメーソン、クラックス・クラン、カルボナリ党、マフィアなどがすぐ思い浮かぶ。本書は、こういった西欧社会における秘密結社の歴史を語った概説書であり、科学の発達した今日の社会に秘密団体はなぜ存在するのかを問い、人間の非合理性の一面に社会学的な考察を加える。
(ゲンゴトシコウ)
ポール・ショシャール 著/吉倉範光 訳
言語は思考の基盤をなす。また言語は社会に規定され、思考も社会の枠からはみ出すことはできない。この「言語と思考」の根底をなす事実の総合を試みながら、本書は、言語の起源(動物の言語と小児の言葉の比較)、言語に関する大脳の構造と機構、言語の病態(精神分裂症・失語症)について解説する。
(シンピシュギ)
アンリ・セルーヤ 著/深谷 哲 訳
神秘主義は、神秘的な体験が中心的意義をもつ宗教的・哲学的立場であるだけに、迷走と誤解がつねにつきまとう。本書はその形態、恍惚感、精神生理などの一般的性質に加え、ユダヤ教、キリスト教、回教、ヒンズー教など、種々の人間集団における諸傾向を分析しながら実態を明らかにする、格好の書である。