須玉町の最北部にある山。標高二二三〇・二メートル。金峰(きんぷ)山は尾根伝いに六・七キロほど南東方面にあたる。全山が黒雲母花崗岩からなり、一大岩山の容貌を示す。地元ではコブ岩の名でもよばれていた。とくに南部から西部にかけては浸食や風化が激しく、無数の岩峰や岩柱がみられる。西方山麓からの景観は異様な雰囲気すら漂わせる。山名の由来は、山稜を三分する「みつなぎ」の転訛ではないかとするものもあるが、地形的な特徴から「がき」は崖を意味すると考えるのが自然であろう。「甲斐国志」では金峰山が玉塁(たまがき)と称されたのに対して、小尾(おび)・比志(ひし)の里人が瑞塁とよび習わしていたと記すが、山名の採用にあたって修験者などの介在も予測される。山頂西峰には弘法(こうぼう)岩がそびえ、大師開山の伝説も残る。また山中の洞窟には今も修験の修行の痕跡が残り、洞(どう)の岩と称する所には「カンマンポロン」の梵字が刻字されているともいう。
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