秋になり、不用となった扇。また、男の愛を失った女のたとえ。前漢の成帝の宮女班婕妤(はんしょうよ)が、君寵の衰えたわが身を秋の扇にたとえて詩を作った「文選‐怨歌行」の故事による。班女が扇。
*和漢朗詠(1018頃)上・雪「班女が閨の中(うち)の秋(アキ)の扇(アフギ)の色 楚王が台(うてな)の上の夜の琴の声〈橘在列〉」
*謡曲・班女(1435頃)「古言までも思ひぞ出づる、班女が閨(ねや)の中には秋の扇の色、楚王の台(うてな)の上には夜の琴の声」
*人情本・貞操婦女八賢誌(1834~48頃)四・三七回「秋(アキ)の扇(アフギ)と捨てられし、美濃の小山の一つ松」
*国字分類諺語(幕末頃)「秋の扇」
〔日本俚諺大全(1906~08)〕
*劉孝綽‐班婕妤怨「妾身似二秋扇一、君恩絶二履綦一」
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