滞在国の慣習や文化を理解し、日本人として恥ずかしくないふるまいを。
◆チップを払うシーンと目安
金額の相場は国によって異なるため、添乗員に聞くか事前に調べる。
【荷物を運んでもらったとき】
ホテルでポーターに荷物を部屋まで運んでもらったら、日本円で100円。
【ルームサービスを頼んだとき】
部屋に持ってきてもらったときに、飲み物なら100円、食事なら200円。
【コンシェルジュに頼み事をしたとき】
チケット予約やレストラン予約をお願いしたら1件につき200〜500円。
【係りの人がいるトイレを使ったとき】
男性が50円、女性が100円程度。
【タクシーに乗ったとき】
料金の15%が相場。トランクに大きな荷物を運んでもらったときは200〜300円を上乗せする。
【レストランの支払いのとき】
クレジットカードの計算書のチップ欄に金額を書いて払う。サービス料が合計額に入っている場合は不要。
◆安全・確実を第一に準備を
海外旅行に行く場合は、空港でのチェックインを始め、税関手続き、出国審査など、出国に関わる手続きに1時間以上かかります。遅刻はほかの乗客に迷惑がかかりますから、交通事情等で遅れる可能性も考慮して、出発時間の2〜3時間前には空港に到着するようにしましょう。
また、外国は日本ほど安全が保証されていません。予備知識として旅先の治安情勢、貴重品の管理法、トラブル回避術などを調べ、ある程度自分の身は自分で守る心構えを持つことが大切です。
◆機内で快適に過ごすために
機内での基本的なマナー(→「飛行機でのマナー」)を守るとともに、海外旅行では、長時間機内にいるわけですから体調管理にも気を配る必要があります。
なかでも、ずっと同じ姿勢で座っていたために脚の血流が悪くなり、血管を詰まらせることが原因で起こる「エコノミークラス症候群」には注意を。フライト後、急に胸が苦しくなり倒れてしまう病気です。予防のために、1時間にコップ1杯ほどの水分(カフェイン入りドリンク、アルコールを除く)をこまめに飲むとよいでしょう。ときどき機内を歩く、かかとを回す、つま先を動かすことも有効です。
◆チップの習慣を知る
海外では、ホテルやレストラン、タクシーなどでサービスを受けたら、チップを渡す習慣のある国が大半です。チップをもらうことを想定して基本給が低く設定されている職種も多いですから、渡し忘れのないように。ホテルなどでサービスを受けたら、「Thank you」と言いながら、握手するようにさりげなく渡すとよいでしょう。
◆これだけは絶対ダメ!!
×機内でアルコールの飲みすぎ
気圧の関係で、機内は少量のアルコールでも地上より酔いやすい。悪酔いして乗務員に絡んだり、大声を上げて騒ぐのは日本人の恥。酔いそうと思ったら早めに水をもらう。
×貴重品に無防備
事実はどうであれ、海外では「日本人は金持ち」のイメージが強いため、スリや強盗に狙われやすい。貴重品はひとつのバッグにまとめず、分散させて持つこと。また、女性に多いのがハンドバッグの持ち手を腕にかけて持つスタイル。これは日本人特有といわれ、彼らのターゲットにされやすくなる。男性がお尻や胸ポケットに財布を入れるのも同様。
×ホテルの備品を持ち帰る
「記念に」と灰皿やタオルをこっそり持ち帰る日本人が多いとか。調べればわかることなので絶対にしないこと。
◆こんなとき、どうする?
Q:パスポートをなくした
A:地元の警察に届けて紛失または盗難証明書をもらいます。次に地元の日本大使館か領事館へ行き、再発行の手続きを。その際、写真2枚も必要です。出国前にパスポートの番号と発行年月日を控えるか、顔写真のページのコピーがあると、手続きがスムーズです。また、再発行までに1〜2週間ほどかかるため、帰国までに間に合わない場合は緊急帰国の手続きをすることも。大使館の人に相談しましょう。
Q:クレジットカードをなくした
A:盗難、紛失に気づいた時点でカード会社の緊急連絡先に電話して、カードを無効にしてもらい、再発行の手続きを。出国前に緊急時の連絡先とクレジットカードの番号は控えておくと安心です。保険の適用を受けられるように、警察へ盗難(紛失)届けを出すのを忘れずに。
Q:航空券をなくした
A:旅行会社に電話して、再発行の手続きの問い合わせを。警察の盗難(紛失)証明書があれば、通常は代替航空券が発行されます。ただし、格安航空券の場合は、再発行が難しい場合も。
Q:荷物がない
A:空港で荷物が出てこないときは、預り証(クレイム・タグ)を航空会社の係員に見せ、手続きすればホテルに届けられます。保障もあります。空港外で失くした場合は、保険をかけているなら警察に届け、盗難(紛失)証明書をもらいましょう。
◆トラベラーズチェックの扱い方
トラベラーズチェック(T/C)は、旅行者用小切手のこと。署名する場所が2箇所あり、1箇所にはすべて自分の氏名を署名しておき、もうひとつの欄にサインしてはじめて、現金として使うことができる。2つめのサインをしなければ効力を持たないので、盗難・紛失されても現金よりは安全性が高いといわれる。紛失しても、警察の盗難証明書があれば未使用分は再発行される。
購入は日本の銀行かカード会社で。旅先の店やレストランで、支払い時に必要な額面にサインをすればOK。ただし、そのまま使える店が多い国とほとんど使えない国があるので注意する。また、小額のものを高額のT/Cで買うのはお店によって嫌がられることもある。使う際にはパスポートの提示を求められる。
また、両替して現地通貨に換金することもでき、その際、手数料がかかることがある。提携している銀行かカード会社のオフィスなら、手数料は無料。
【マナーと常識事典】(現代用語の基礎知識2007年版付録)
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