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  11. ソクラテス以前の哲学

ソクラテス以前の哲学

ジャパンナレッジで閲覧できる『ソクラテス以前の哲学』の文庫クセジュ ベストセレクションのサンプルページ

ソクラテス以前の哲学
文庫クセジュ487 ジャン・ブラン / 鈴木 幹也
哲学・心理学・宗教
序論
ソクラテス以前の哲学をいかなる意味で語ることができるか
présocratique〔ソクテス以前の〕という熟した表現は、歴史上のひとつの目印を与える、好都合な一慣用語にすぎないのか。それとも、わたしどもは、この時代のさまざまな学派に共通するきわだった特徴を、認めることができるのか。この問いにかんして、ニーチェやハイデッガーを信頼すべきであるなら、ソクラテス以後なにものかが変わったのであって、ソクラテス以前の哲学者たちは、今日では失われてしまっている正真正銘の哲学的な伝統を、形づくっていたのである。
さしあたってまず、これらすべての、ないしはほとんどの哲学者が、予言者として語り、託宣をおこなっていることを、銘記することができるのであるが、かれらは神の言葉の受託者であると自任し、神からかれらのもとへ届いたその言葉を、人間に伝達することを使命としている。したがって、かれらによると、われわれを根拠づけているのは、存在のまなざしであって、われわれがわれわれのまなざしによって、存在を根拠づけているのではない。意味はつくりだされるべきではなく、それは解読さるべきなのである。そのうえ、ソクラテス以前の哲学者のたいはんは、『自然について(1)』という表題の作品を書き綴ったし、アリストテレスは、かれらを自然論者(2)ないしは自然学者(physiciens(3))と呼んでもいる。しかし、かれらに言葉の近代的な意味におけるphysiciens〔物理学者〕をみることは、たいへんな誤りであって、それというのも、わたしどもが今日、その理論や法則や測定や装置によって理解するような物理学の概念は、かれらにはまるきり異質な観念なのである。かれらにとっては、自然は発育途上にある力であり、それは、人間がその支配者や所有者となるために服従することをめがける、資料の貯蔵庫でも、エネルギーの貯蔵庫でもないのである。測定はといえば、それはかれらにあっては量化する作業の結果ではなく、まさしく部分と全体とのあいだの諧調の表現なのであって、測定というのは、したがって美学や倫理学や存在論の(いい)なのである。

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検索コンテンツ
1. ソクラテス以前の哲学
文庫クセジュ
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8. ソクラテス以前の哲学 2ページ
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9. ソクラテス以前の哲学 5ページ
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10. ソクラテス以前の哲学 6ページ
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序論 一 ソクラテス以前の哲学をいかなる意味で語ることができるか présocratique〔ソクテス以前の〕という熟した表現は、歴史上のひとつの目印を与える ...
11. ソクラテス以前の哲学 7ページ
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ソクラテス以前の哲学の読書は、その読書が、われわれは科学的-技術的文明のなかで学殖の半神となったが、それは同時に、わたしどもを存在の被奪者にしてしまったのでは ...
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二 オリエントの影響の問題 ソクラテス以前の哲学のたいはんは、小アジア起源であって、多くの歴史家は、その哲学がオリエントの宗教や哲学の分野から、いちじるしい影 ...
13. ソクラテス以前の哲学 13ページ
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三 原典と資料 ソクラテス以前の哲学者たちの作品はみな、こんにち湮滅している。ただ、多少とも重要な断片のみが、幾星霜をへてさまざまな経路で、わたしどもに伝えら ...
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によって開かれた学派。とくに古ストアのクリュシッポス(ストアの教説の体系的組織者)は、ソクラテス以前の哲学者に注意をはらった。 (2) 前三三五年、アリストテレ ...
15. ソクラテス以前の哲学 18ページ
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16. ソクラテス以前の哲学 19ページ
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ソクラテス以前の哲学史の歴史 哲学史家のなかで、哲学者であるよりも歴史家であるひとびとと、歴史家であるよりも哲学者であるひとびととを、区別しなければならな ...
17. ソクラテス以前の哲学 20ページ
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1 疑似実証主義的解釈 ―― ひとはソクラテス以前の哲学者を一流のオリエント学者にしたてることを望み、またかれらを神話と理性とを区別して神話学から身をひいたひ ...
18. ソクラテス以前の哲学 21ページ
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19. ソクラテス以前の哲学 22ページ
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3 存在論的解釈 ―― この解釈は、ソクラテス以前の哲学者を、存在の問題を課せられた悲劇的な思想家にしたてあげる。ソクラテス以前の哲学者たちを、学識にたいする ...
20. ソクラテス以前の哲学 23ページ
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21. ソクラテス以前の哲学 24ページ
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実証主義者が、ソクラテス以前の哲学者たちから出発しようと望んだのに反して、いま語ったばかりの諸解釈は、わたしどもが一種の郷愁を抱きつづけるであろう源泉へとたち帰 ...
22. ソクラテス以前の哲学 96ページ
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六 自然 ヘラクレイトスの著作は、ソクラテス以前の哲学者によっていっぱんに利用され、あるいは、少なくともしょっちゅうかれらの作品に付与された表題『自然について ...
23. ソクラテス以前の哲学 125ページ
文庫クセジュ
とも独創的ではあるひとつの新しい解釈を提供している(五〇)。ハイデッガーは、ふたりともソクラテス以前の哲学者であって、ソクラテス以後に忘れられた思惟の一形式の所 ...
24. ソクラテス以前の哲学 178ページ
文庫クセジュ
単純な意味をもっているかどうかをも、自問しなければならないのである。わたしたちは一般にソクラテス以前の哲学者たちを、そして特にアナクサゴラスを、今日われわれのも ...
25. ソクラテス以前の哲学 235ページ
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26. ソクラテス以前の哲学 237ページ
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ソクラテス以前の哲学 一九七一年二月五日第一刷発行 二〇〇六年六月一〇日第一五刷発行 訳者 © 鈴木幹也 発行者 川村雅之 印刷所 株式会社 理想社 発行所 株 ...
27. ソフィスト列伝 112ページ
文庫クセジュ
は、原文を極度に歪曲するものであると思われる(『集成』第二巻五八頁)。K・ゲーベル〔『ソクラテス以前の哲学』ボン、一九一〇〕は、断片B一〇の主語はコスモスである ...
28. ソフィスト列伝 150ページ
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引用文中の断片の番号は、「ソクラテス以前の哲学者」に関しては、ディールス・クランツ編集による集成の番号に従った。これにはDKの略号を用い、Aは「証言」を、Bは ...
29. テオフラストス
日本大百科全書
』)で、後世の文学者にしばしば模倣された。さらに、断片として残る『自然学者学説集』が、ソクラテス以前の哲学史の主要資料として貴重であり、『法律』はギリシアの法制 ...
30. ディールス(Hermann Diels)
世界大百科事典
ストテレス注釈》26巻(1882-1909)の刊行に指導的役割を果たした。しかし本領はソクラテス以前の哲学史研究で,《ギリシア学説誌家》(1879),《前ソクラ ...
31. トマス哲学入門 33ページ
文庫クセジュ
(C) 実体と作用能力の複合 ―― 有と多の二律背反と同じく、有と生成のそれも、ソクラテス以前の哲学者たちを対立させた。有は恒久性と、持続における同一性を内含 ...
32. ニーチェ フリードリヒ・ヴィルヘルム
世界文学大事典
となる。 〔影響ならびに被影響〕 ソクラテスやプラトンに思想的に反発したニーチェは,〈ソクラテス以前の哲学者〉,なかでもヘラクレイトスとエンペドクレスに親近感を ...
33. パスカルの哲学 187ページ
文庫クセジュ
学に関する七点を上梓しているから、いわば本叢書の常連執筆者であろう。そのうち、すでに『ソクラテス以前の哲学』『ソクラテス』『プラトン』等六点が日本版『クセジュ』 ...
34. フュシス
世界大百科事典
があることもたしかだが,〈なる〉もまた,もののあるがままの姿であり,ものの自然である。ソクラテス以前の哲学者たちのほとんどが《ペリ・フュセオス(自然について)》 ...
35. プラトン 174ページ
文庫クセジュ
プラトンの哲学は、ソフィストがその責を負わねばならぬ、ロゴスの危機を救うことを企図している。ソクラテス以前の哲学者においは、ロゴスは人間に語りかける言葉、また、 ...
「ソクラテス以前の哲学」の情報だけではなく、「ソクラテス以前の哲学」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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