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トモダチの祈り。

2011-04-19

2週間ぶりの登板(当番)です、かおるんです。それにしても日ハムの佑ちゃん、なんとなくプロでやってけんだろうかと、たいそう不安でしたが、やっぱりなんか、彼は「持ってます」ね。5回4失点にもかかわらず、早々プロ初勝利を飾るだなんて。

さて話は変わって。すでに最終回を迎えてしまった、連載「漱石右往左往」の著者、牧村健一郎さん。このたび、会社を定年退職する(といってもまだ嘱託でお仕事は続けられます)ということで、たまったお休みを使い、漱石が英国留学する際、初めてヨーロッパに足を踏み入れた土地、ナポリを見に行こうと、3月5日、イタリアへと旅立っていかれました。

震災の日は、ちょうどそのナポリにいたそうです。翌日、ナポリで有名なサン・カルロ劇場に行くと、あの「カルメン」のチケットが1枚あまっていました。テレビで何度も流される津波の映像にショックを受けていた彼は、少しでも沈んだ気持ちから開放されたい、そしてやはり「カルメン」を味わってみたい、という思いから、観劇することを決めたそうです。

幕が開いたそのとき、指揮者の方が観客に向かって静かに語り始めました。イタリア語があまりわからない牧村さんですが、そこに「ジャッポーネ」という言葉をはっきり聞いたそうです。観客は全員そっと立ち上がり、黙とうをささげました。そう、東日本大震災で亡くなった方々への祈りです。

遠く離れたイタリアで、しかも「蝶々夫人」のような日本を扱った内容ならともかく、「カルメン」を見に来ている人が、こんなにも真剣に祈ってくれることに胸が熱くなったそうです。同じ地震国だからこそ、「他人事ではない」という気持ちが背景にあったということもあるでしょう。牧村さんにとって、この「カルメン」は旅のいちばんの思い出となりました。

原発問題で、日本は世界中に不信感を与えています。観光客が急激に減少し、多くの在留外国人の方々も帰国したり、関西へ移動したりしていると聞きます。でもこの遠く離れた土地からの「トモダチ」への鎮魂の祈りには、まったく嘘はないと思います。

先週末、新緑の代々木公園を散策して、たくさんの外国の方々とすれちがいました。日本にも希望の光が少し射してきたかな。暖かな春を感じました。

2011-04-19 written by かおるん
いまいちばん注目しているのはSUNTORYのCM。近所にあったビール工場に醸造所──昔住んでいた町を思いながら聴く、「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」は、グッときます。あ、お酒があれば、よりgoodですね。のんべえ、かおるんでした。