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私の年の瀬

2012-12-27

いやあ、ほんとうにこの冬は寒いっ。冬晴れ、カラッカラッの東京から、今年最後のメルマガをお届けします。かおるんです!

さて先日、私は社会人のいまや定番となっている「朝活」(朝活動)とやらを初体験してきました。朝活で挑戦するのはなんと「狂言入門」! そう、あの伝統芸能の「狂言」です。

能同様、奈良時代に中国から渡ってきた「散楽」(平安時代以降は猿楽と呼ぶ)がルーツの狂言。能が幽玄の世界を表現しているのに対し、狂言は現実を表す“コメディ”で、この二つは表裏一体なのです(だから能舞台を見に行くと、能と能の間に狂言があるんですね)。そして現在、狂言は、室町後期に大和でおこった大藏流と、江戸前期におこった和泉流の二つの流派があります(ちなみに映画『のぼうの城』など俳優としても人気の野村萬斎さんは和泉流)。

かおるんが朝活で教わったのは“狂言界のプリンス”こと大藏(おおくら)流の大藏基誠(もとなり)先生。プリンスというだけあって、若くてかっくいいっ! 生徒は幼稚園の保母さん以外はみんな、アラサー&アラフォーの出勤前の会社員!

朝の1時間、前半は座学、後半はミニ稽古。ミニ稽古では発音や立ち方、「笑い」「泣き」といった感情表現を習い、そして最後のクラスで披露する謡「泰山府君(たいざんふくん)」を練習。頭だけでなく全身を使うといったたっぷりな内容。早起きは相当つらかったのですが、おかげでクラスのある日は、「早寝早起き」の規則正しい一日を送ることができました。

3回のクラス日程が終わり、最終回はフィールドワーク。渋谷のセルリアンタワー能楽堂を見学した後、授業で覚えた謡を披露するのです。

見学は舞台だけでなく、楽屋や鏡の間(役者が登場を待つところ)など舞台裏も見ることができ、揚幕(あげまく)の上げ下ろしも体験。橋掛かりや切戸口、四つの柱や鏡板、白洲梯子(きざはし)に貴人口……実際見て触れることで、人に教えられるほどの知識をすんなり身につけることができました。

そしていよいよフィナーレ。私たちの謡に合わせて、先生が舞うという、まさに夢舞台。当然お客さんはいませんが、ピンとはりつめた緊張感たるや、すさまじいものでした。謡は大成功! 先生の優雅な舞に感動。そしてみんなで一つのことをやり遂げ、感激。まさしく「檜舞台を踏む」。2012年の年の瀬、貴重な体験ができました。

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2012-12-27 written by かおるん
総選挙にノロウィルス大流行、勘三郎さんら著名人の死に度重なる寒波の到来など、たいへん慌ただしいこの年末。2012年、みなさんにとってどんな年でしたか? 2013年が少しでも幸多き年となりますように。年末年始、元気にお過ごしくださいね。