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川のまち、橋のまち

2013-10-23

どんより&ひんやりの東京。10月下旬に入ったというのに、また台風が来るなんて……。伊豆大島、大雨が心配です。かおるんです。

先週の土曜日、ジャパンナレッジ連載記事の著者のお二方と「第68回神田川船の会」に参加してきました。この会は“甦れ神田川!”をテーマに、1979年に発足。ベテランリバーガイドさんが勢ぞろいし、春と秋の年二回、神田川~日本橋川~小名木川~隅田川をめぐる船旅を案内してくれます。

当日、東京は夕方から雨の予報でしたが、会長さんは過去2回しか雨を降らせたことがないという晴れ男! 確かに雲が多いながらも雨はまったく降らず。30人乗りの船、計5艘で出発。私たちはいちばん最後尾の「大江戸号」に乗り込みました。

船は隅田川の両国船着き場を出発し、神田川へ。大きな隅田川と違って川幅が狭い神田川。柳橋~浅草橋は風情ある船宿が並び、屋形船も浮かんでいます。「かぐや姫の『神田川』の舞台はもっと上流なんですよ」という言葉を皮切りに、ガイドさんは神田川の歴史について話してくれました。

ハイカラな万世橋をくぐれば、ニコライ堂と湯島聖堂の2つの聖堂を結ぶ聖橋、JRの駅が真横にある御茶ノ水橋、古くは吉祥寺橋と呼ばれていた水道橋など知っている橋が続々。とくに下から見上げる聖橋、そして御茶ノ水駅は新鮮。岸には木々や草が生い茂り、緑いっぱいで癒したっぷり。

東京ドームに続く後楽橋を過ぎ、船は日本橋川へ。見上げれば高速道路が屋根のように覆っています。どんどん進むと、わが社近くにある俎(まないた)橋。名前の由来は御台所町が近くにあったからだそう。宝田橋を越えるといかにも人の手で積み上げられた石垣が出現。江戸城外濠のものだそうで、ところどころに大名家をあらわした刻印があり、江戸の名残が味わえます。一ツ橋、神田橋、東京駅へ続く線路、常盤橋、一石橋などを経て、いよいよ日本橋。地上から見るよりも下から見上げるほうが、いまの日本橋は麗しい。麒麟像も堂々としています。

日本銀行や兜町を横目に鎧橋、茅場橋、湊橋、そして日本橋川最下流の橋、豊海(とよみ)橋。くぐると隅田川が広がります。隅田川大橋を越えて、ケルンのつり橋を模した清洲橋を越え、小名木川へ。徳川家康が江戸に入府後すぐに作らせたといわれる人工河川。行徳(千葉)の塩を運ぶための“塩の道”。ガイドさんはしきりに「家康はえらい」とほめていました。

ずんずん進めば、この船旅の見せ場の一つ、扇橋閘門(こうもん)。西側(隅田川方面)と東側(荒川方面)では水位が違う(西側が高い)ので、船を航行させるためにここで調整します。行きは水を抜き、帰りは水を入れる、まさに“ミニパナマ運河”。水のエレベーターをじわじわ体感できました。

小名木川をユーターンして、船はふたたび隅田川へ。新大橋に両国橋、蔵前橋に厩橋、駒形橋に吾妻橋、そして言問橋。赤や黄色、緑に青、アーチ型に逆アーチ。一つひとつ表情の違う橋を堪能すれば、スカイツリーがすぐそこに。「ここがシャッターチャンスですよ!」とガイドさん。金色のビールジョッキを模したアサヒビール本社ビルに映り込むスカイツリーを写真に撮れば、金運がUPする(!?)のだそう。みんなこぞってカメラやケータイを取り出し、バシャバシャ撮影。両国の船着き場へ戻り、第68回神田川船の会、約2時間半の船旅は無事終了。その後、私たちはちゃんこ屋に流れて冷えた体を温めたのでした。

東京は川のまち、橋のまち──実感できた素敵な船の旅でした。

神田川船の会

2013-10-23 written by かおるん
「アンパンマン」のやなせたかしさん、『広告批評』の天野祐吉さん。お二人ともご高齢ではありましたが、軽やかにしっかりした意見の言えるオトナたちが亡くなったこと、ほんとうに残念です。