ジャパンナレッジNEWS

辞書に関係あることも ないことも ごった煮でお届けする 公式だけどオフィシャル感のない スタッフブログ的サイト。登録いただければ メールでもお送りします。
ジャパンナレッジ会員ならナレッジサーチャー(ジャパンナレッジ簡易検索)使えます。

「おっさんずラブ」沼へようこそ。

2018-11-16

辞書の日の10月16日に発売された『三省堂現代新国語辞典 第六版』が話題、というネットニュースを見た。「恋」や「性」に異性といった限定する言葉がなくなったとか、「草」という項目に「笑う」という意味が追加されたとか。多様性社会やネット語を大いに反映した内容となっているという。

ここでかおるんが注目したのは、「沼」という言葉である。「くぼ地に自然に水がたまってできた、どろの深い所」という従来のものに、「趣味などに、引きずりこまれるほどのめり込んでいる状態のたとえ」という説明が書き加えられたのだそうだ。

そう、まさにかおるんもこの「沼」とやらに現在はまっている。ここ半年、「おっさんずラブ」沼(通称:OL沼)から這い上がれない状態が続いている。

ロリで巨乳の女性が大好きだけどひたすらモテない春田創一(33歳)に突然、モテ期が訪れる。告白されたのはなんと同じ職場の上司と後輩。そう、どちらも男性だったのだ──このドラマの核となるのは、男性どうしのラブストーリーなのである。

目下恋人たちのメッカとなっている豊洲で愛の絶叫告白をしたり、夜の公園で目に涙をいっぱい溜めながらデコチューしたり、去っていこうとする後輩をあすなろ抱き(これは古いか! バックハグ)で引き止めたり……90年代に月9で繰り広げられたような王道のラブシーンを男優たちが真剣に演じるのだ。

最高視聴率は最終話の5.7%。数字的には全く振るわない印象を受けるが、「ザテレビジョン」ウェブがSNSの反響など独自に集計しポイント化した「視聴熱」では、放送終了後、半年近く経っているというのにいまだ10位以内をキープ。“海外で売れる”ドラマを選出する「東京ドラマアウォード2018」では連続ドラマ部門でグランプリに輝き、主演男優賞、助演男優賞も獲得。主演の田中圭は、日経トレンディの「今年の顔」を受賞するなど、「おっさんずラブ」終了後も、ドラマだけでなくバラエティ番組に出まくり、雑誌の取材を受けまくり、出演映画も公開され、まさに「2018年の顔」となった。

沼にはまったかおるんはというと、放送終了後、LINEスタンプを皮切りに公式ブック、シナリオ本にサントラ、カレンダー、キーホルダー、ネームプレート、ランチトートなどといった公式グッズを買い漁り、ドラマで使われたメモ帳やらマグカップなど公式グッズではないものまで手に入れ、テレ朝夏祭りや渋谷パルコの「おっさんずラブ」展にも足を運んだ。10月のDVD&Blue-ray発売(もちろん買いました)で落ち着くかと思いきや、田中圭や後輩役の林遣都を取り上げる雑誌が出るわ出るわでとにかくそれらを書店で回収し(おそらくここ10年くらい、こんなに雑誌を買ったことがない)、彼ら+部長役の吉田鋼太郎の出ている秋ドラマは全部録画してチェックをし、彼らが出る2月の舞台のチケットの先行予約をポチポチしている今日このごろなのである。

11/9付の日経新聞「ヒットのくすり」では、「おっさんずラブ」を成熟消費社会の成功パターンの一つと紹介。女性を中心としたコア客が継続的な消費をしているとし、「常識、定型から解放された女性エネルギーが作るイマドキ消費は損得重視の経済学では読み解けない」とまとめていた。

最終話終了後、こんな素晴らしいドラマをタダで見せてくれるなんて、ぜひぜひ課金したい、という声がツイッター上に氾濫したことを覚えている。だからこそのいま、なのだ。多様性の大切さをうたいながらも年々生きづらさを増すニッポンに、オリジナル脚本という強み、キャストとスタッフのチームワークが相まって生まれた奇跡のようなラブストーリー。悪い人が一人もいないというのもこの作品の醍醐味だった。まさに現場の愛がお茶の間(昭和かよ!)に届いたゆえ生まれた経済効果。「女性エネルギーが作るイマドキ消費」でくくられるのはちょっと違う気がします。

次は続編? 映画化? スペシャル版? テレビ朝日の上層部は会見でにおわせてはいるものの、一方であんな終わり方だとやっぱり続編って相当難しいんじゃないかなと思いつつ……スタッフ&キャストのみなさん、全然急がなくていいです。深い沼で待ってます。

2018-11-16 written by かおるん
「おっさんずラブ」もノミネートされた、平成最後の「第35回新語・流行語大賞」は12月3日(月)にトップ10が発表。年間大賞は「そだねー」が有力だろうなと思いつつ……神様、「おっさんずラブ」にもなんかあげてくださーーーいっ!