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「いだてん」と『文藝春秋』で知る近現代史

2019-08-08

さてみなさん、大河ドラマ「いだてん」、観てますか? 「イッテQ!」とか「ポツンと一軒家」とかウラがかなりの高視聴率番組だし、大河なのに時代劇でもないし……で、食わず嫌いでチェックできていない方も多いかもしれませんね。

日本で初めてオリンピックに参加した男、中村勘九郎さん演じる金栗四三(かなくり・しそう)と日本にオリンピックを招致した男、阿部サダヲさん演じる田畑政治(たばた・まさじ)が物語の主人公。1912年のストックホルムオリンピックから1964年の東京オリンピックまでの半世紀を描く、クドカンこと脚本家宮藤官九郎さんのオリジナルストーリーです。

朝ドラ「あまちゃん」が大好きだったかおるん。1回目は意気込んでオンタイムで観たんですが、以降、録画に手を伸ばしたがために、ハードディスクにたまりにたまって……「やっぱ大河って苦手だわー」って、観るのをすっかりあきらめかけていました。

しかーし! 6月末からの田畑メインの二部からはもう、一話も欠かさず、毎週、胸を躍らせ躍らせ観ております。

かおるんは8月1日にリリースした、JKBooks「文藝春秋アーカイブズ」のパンフレットの編集を担当。アーカイブズは大正12(1923)年1月の創刊号から昭和25(1950)年12月号まで全323巻を完全収録。つまり大正デモクラシー末期に産声を上げ、関東大震災、満州事変、日中戦争、太平洋戦争を経て、今に続く文春ジャーナリズムを確立するまでの『文藝春秋』を読めるばかりか、『文藝春秋』を通して近現代史が手に取るようにわかるという素晴らしい作品なのです(法人様向けの商品です)。
https://japanknowledge.com/contents/bungeishunju/index.html

パンフを作るにあたり、6月はほぼ1か月のあいだ『文藝春秋』と格闘していたため、この時代が身に沁みついてしまったというわけなんです。編集作業が終わると同時に「いだてん」二部がスタート。これが「文藝春秋アーカイブズ」の時代とどんぴしゃり。かおるんも元水泳部という経歴もあいまって、ようやく見始めたというわけなんです。

じゃあ、田畑政治ってどんな人? ジャパンナレッジには「日本人名大辞典」でしか立項されていませんでした。

大正-昭和時代の新聞記者,水泳界の指導者。
明治31年12月1日生まれ。大正13年東京朝日新聞社にはいり,政治経済部長などをへて昭和24年常務。この間,昭和7年のロス五輪をはじめおおくの大会の水泳総監督や選手団団長をつとめる。21年日本水泳連盟会長,34年東京五輪組織委員会事務総長,48年JOC委員長。昭和59年8月25日死去。85歳。静岡県出身。東京帝大卒。

河童のまーちゃんこと田畑政治。病気のため、幼いころ泳ぐことをあきらめたものの、大人になっても水泳に対する情熱はやむことなく、朝日新聞の政治記者という職につきながらも、総監督やら連盟の会長になるやらして日本水泳界を引っ張っていきます。そして昭和39(1964)年の東京オリンピック招致に奔走、日本のスポーツ界をも切り拓いていきます。

時の大蔵大臣、高橋是清(萩原健一さんが好演。そう、これが彼の遺作となりました)にアムステルダムオリンピックの資金を援助してもらいに直談判に行ったとか、犬養毅首相を招いたロサンゼルスオリンピック応援歌のお披露目式が五・一五事件の日だったとか、政治記者ならではのエピソードも盛りだくさん。
ダンサー菅原小春さん演じる、人見絹枝さんの回も素晴らしかった。役所広司さん演じる嘉納治五郎をはじめとする体協のメンバーも一部に引き続き元気だし、森山未來さん演じる志ん生はまだ芽が出ないけど、昭和36(1961)年のビートたけしさん演じる志ん生ファミリーはパワー全開です。

先日放送された第29回「夢のカリフォルニア」は昭和7(1932)年のロサンゼルスオリンピックがテーマ。「一種目モ失フナ」と全種目制覇を目標とする総監督田畑と、斎藤工さん演じるキャプテン高石勝男ら選手との間で出場メンバー選考の際、軋轢が生じます。
なぜ田畑がメダルにこだわったのか? 満州事変、五・一五事件直後の言論統制が強まるなか、「日本を明るくするため」「新聞の一面に明るいニュースを載せるため」だったのです。このときすでに国際社会で孤立化が始まっていた日本。「スポーツで国を変えることができるじゃんね」──田畑の熱い思いが選手たちを動かします。

さてこれから幻に終わった東京オリンピック、太平洋戦争開戦から敗戦、戦後の復興、そしてオリンピック招致へと物語は動いていきます。2020東京大会へどうつないでくれるのか。クドカンはすでに「いだてん」を書き終えたそうですが(執筆期間はなんと2年4か月!)、このドラマの行く先に待っているのはもう、希望という二文字しかありえない。毎回奇跡を見せてくれる、そんな素敵なドラマです。

2019-08-08 written by かおるん
ちなみにかおるん、中学時代水泳部で、大会では400メートルと800メートルの自由形にエントリー。いつもベベ(最下位)かべべから二番くらいのスロースイマーでした。