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意外に知られていないタヌキの理由(ワケ)

2019-11-12

今秋から始まったNHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」。
女性陶芸家の半生を描いた今回の朝ドラの舞台は、日本六古窯の一つでもある滋賀県の信楽。実家に近く親戚も住んでいるマツオカは、身近な場所が取り上げられ嬉しい次第です。

室町時代、茶の湯の流行とともに雑器や茶道具や茶器などが作られていた信楽焼ですが、近年ではやはり狸(たぬき)の置物が有名。信楽を車で走ると、膨大な数の大小さまざまな狸の焼き物が置かれた窯元や陶器店を目にします。また、地元では一家にひとつ信楽焼の狸があるといっても大げさではないでしょう。

しかし、なぜ信楽焼といえば狸なのか?

これが調べてみると意外に歴史が浅く、昭和26年に昭和天皇が信楽行幸の際、沿道に天皇を歓迎する信楽焼の狸を並べたことがマスコミに大々的に取り上げられ全国に広まったそうです。
また、この時に歓迎されたことに感銘を受けた昭和天皇が、「をさなどき あつめしからに なつかしも しがらきやきの たぬきをみれば」という和歌を詠んだことも全国に広まった一因となったそうです。

「他(た)を抜く」という商売の縁起物でもある信楽焼の狸ですが、クリっとした大きな丸い目をした愛嬌のある笑顔にも「愛想よく周囲を見渡し気配りと正しい判断ができるように」という意味が込められているそう。
近江商人を生んだ土地ならではの焼き物だったんですね。

2019-11-12 written by マツオカ
ちなみに日本六古窯のあと五つは、愛知県の瀬戸・常滑、福井県の越前、兵庫県の丹波、岡山県の備前。日本古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な窯です。