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痛快がすごすぎる、132分!

2020-01-21

ネタバレしたら殺す──衝撃的なコピーを掲げる、この映画のタイトルは?

答えは日本で目下公開中の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。コピーはフランス公開時のもの。韓国映画界の鬼才、ポン・ジュノ監督、『タクシー運転手』の演技がほんと素晴らしかったソン・ガンホ主演の韓国映画(二人がタッグを組むのは4度目)。半地下で暮らす“全員失業中”のキム一家とIT企業を経営し高台の豪邸で暮らすパク一家を描いた作品です。

かおるん、ポン作品はまったく見たことがなかったので、単に格差社会を描いたドロドロしたお話なのかと思って見に行ったら、いやいや違う違う! 終わった瞬間、涙があふれ出てしまったほど感激しました。ほんとうに痛快すぎる132分でした。

ストーリーは「ネタバレ厳禁」なんで、「何も言えねー」状態なんですが、コメディあり、サスペンスあり、ドラマあり、ちょこっとラブストーリーあり、ひょっこりホラーあり……いろんな要素があいまった、まさしくこれぞ究極のエンタテインメント。「映画ってほんとっ、たっかいよなあ」って普段ぶうたれている私ですが、「もう倍払ってもいいわ」って心の底から思いましたもん(とか言いながらレディスデーきっかけで見に行ったんだった)。

プロダクション・デザイナー、イ・ハジュンが生み出した美術面もすばらしい。臭ってくるような半地下のおうちも、約550坪の開放感あふれる大豪邸も、そして雨が印象的な街並みも……なんと90%はセットなんだとか。その世界観を堪能するという見方も全然アリです。

韓国国内では昨年の5月公開後、累計観客動員数1000万人を突破。フランスでも動員数170万人、アメリカでは昨年10月公開だったにもかかわらず2019年外国映画興行収入ランキング1位(歴代興行収入7位)となる大ヒット。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝くなど世界各国の映画祭で120以上の賞を受賞し席巻。米・アカデミー賞では国際長編映画賞(旧外国語映画賞)はもちろん、作品賞、監督賞、脚本賞、美術賞、編集賞にノミネート。オスカー前哨戦、ゴールデングローブ賞ではポン監督が監督賞を、第70回ACE(アメリカ映画編集者協会)エディ賞(長編映画ドラマ部門)を、第26回SAGアワード(全米映画俳優組合賞)では最高賞のキャスト賞を獲得。そして第24回アメリカ美術監督組合賞にもノミネート(2月1日発表)されています。

東アジア初のオスカー作品賞受賞となるのか? 2月10日が楽しみになってきました。

2020-01-21 written by かおるん
ポン監督とソン・ガンホが初めて組んだ『殺人の追憶』、そしてあんなに怖くて手が出せなかった『グエムル 漢江の怪物』(こちらもソン・ガンホ主演)も見て、いま私はポン・ジュノ症候群。好きな監督ができたという幸せ、久しぶりに味わっています