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江戸検が終わってしまう!

2020-10-30

嘉永6年(1853)、アメリカ海軍の東インド艦隊が浦賀に来航したとき、司令長官ペリーの乗船するサスケハナ号に、日本側から小船に乗った浦賀奉行所与力中島三郎助らが近づき、第一声を英語で呼びかけました。これを日本語に訳すとどうなるでしょう?


(い)私は敵ではありません
(ろ)私は話し合いをしたい
(は)私を撃たないでください
(に)私はオランダ語を話します


第5回江戸文化歴史検定1級1問目である。テーマは幕末だっただろうか。中島三郎助って誰だっけ? まったく手がかりがない。1問目から度肝を抜かれた問題だった。

さて江戸文化歴史検定(通称:江戸検)は、2006年にスタート。検定を通して江戸の文化と歴史を学ぼう、といったコンセプトのご当地検定である。その江戸検が来週11月3日の15回をもってついに終了するのである。

スタート時は検定ブームだった。なかでもご当地検定の分野では、博多っ子検定や京都検定(京都・観光文化検定)を皮切りに、各地域名を冠にした検定が乱立した。境港妖怪検定とか明石・タコ検定とかユニークなものもたくさん生まれた。

元上司が江戸検立ち上げスタッフだったこともあり、自然にかおるんも巻き込まれた。京都という土地に生まれながら、日本史にまったく興味がなかった私(なんともったいない!)にとって、受検することは苦行以外の何ものでもなかったが、テキストがとても面白く、周りに受検仲間もたくさんいたので、えい!と受けたら3級をギリギリ合格。以来、習慣というものはおそろしいもので、江戸検が年中行事の一つとなり、ほぼ毎年受検している(途中2回くらい参加できなかったのは仕事が理由ってすごくないか!)。日本史アレルギーの私にとって、本当にこれはとても感慨深いことなのだ。

初回は青学(青山学院大学)だったな、明治(大学)で開催されたときはちょうど神保町がブックフェアとかカレーフェスティバルで人が賑わってたな、一時つなよしというマスコットの柴犬がいたな、元上司と受検仲間たちと勉強会のあとカラオケしたな、試験後、学友の清川妙さんと山の上ホテルで答え合わせしたな……いろいろな思い出が蘇ってくる。

お江戸ルほーりーこと堀口茉純さんと出会い、講演会やFacebookをご一緒できているのも江戸検のおかげだ。時代劇も歴史小説も歴史背景を知っているからこそ、深く楽しめるようになった。間違いなくこの15年、江戸検は私の生活に彩りを与えてくれた。

そして冒頭の問題である。この問題がとても印象に残っているのは、1級に初挑戦したときの1問目だったからかもしれない。3級、2級はなんとかなったけど、そう易々と1級なんてもんは受からないんだよ、って思い知らされた瞬間だった。あれから10年。いまだ一夜漬け体質が治らない私は、いまごろ分厚いテキストを開き、過去問を見ている。きっと今回の1級の問題たちにも歯が立たないんだろうなと思いつつ、このほぼ一夜漬けの受検勉強ができなくなることがいちばんさみしいのかもしれない。

2020-10-30 written by かおるん
さて冒頭の問題の答えは(に)。中島三郎助を知らなければわからない問題です。