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清少納言も味わった幻の甘味料

2021-03-09

何かの目的を達成するのために、インターネットを通じ不特定多数の人から資金を集めるクラウドファンディング。
最近はさまざまなクラウドファンディングがあり注目されている企画も多いですが、ちょっと興味深いプロジェクトを発見しました。
『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『枕草子』などの古典籍にたびたび登場する「甘葛(あまづら)」という幻の甘味料があるのですが、その「甘葛」を復元し古代のスイーツを再現しようという試み。

もちろんジャパンナレッジにも「甘葛」は立項されており、『世界大百科事典』には・・・
「古代から用いられた日本の甘味料。中世後期に砂糖の輸入がはじまり,近世になってその国内生産が増大するとともに,位置をゆずって消滅した。アマズラと呼ぶ植物からとった汁を煮つめたもので,甘葛煎(あまずらせん),味煎(みせん)とも呼ばれた。原料植物のアマズラについては諸説があり,ツタの1種とかアマチャとかいわれるが,ツタが正しいようである。」
とあります。

このプロジェクトに取り組まれているのが立命館グローバル・イノベーション研究機構の神松幸弘助教で、これまで国文学研究資料館との共同研究によって「甘葛」の原料の究明を進めてこられたそう。
古文書を紐解き古代の料理や宮廷料理に精通したプロの料理人と調理実験を重ね、古代スイーツを再現するための資金をクラウドファンディングによって募られています。
支援者にはリターンがあり、「甘葛」で作った飴やシロップ、そして「甘葛」で煮た芋粥などを味わえます。

『枕草子』にも「あてなるもの(上品で雅なもの)」として登場した「甘葛」。
清少納言も口にした世界中どこにも売っていない甘味料、いちど味わって平安貴族気分に浸りたいものです。

2021-03-09 written by マツオカ
さて、実際に「甘葛」を味わった人の感想はというと・・・
蜂蜜のような、べっこう飴のような、「上品でさっぱりした甘味」とのこと。美味しそう!