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我が愛しの「おちょやん」

2021-04-20

このメルマガでもよく書いているのだが、かおるんは朝ドラ(NHKの連続テレビ小説)ファンである。なかでも(といっても2つしかないが)、秋のBK(NHK大阪、ちなみに春担当の東京のNHKはAK)制作が大好物なのだ。前回の「スカーレット」もこちらで熱弁したような気がするが、今回の「おちょやん」は好き度合がさらに倍増。これはもう「スカーレット」も、宝物の「カーネーション」も、そして伝説の「ふたりっ子」をも抜くかもしれない。いつまでも布団に入っていたい寒い冬の朝も、この15分のためになんとか踏ん張って起きた。コロナコロナでしんどい時代にええもん見られて、ほんま有難いなあと思う。

「おちょやん」は“大阪のお母さん”と親しまれた女優、浪花千栄子の生涯を描いたお話だ。主演の竹井千代を演じるのは杉咲花。そしてパートナーの天海一平(2代目渋谷天外がモデル)を演じるのが成田凌。この二人、こんなに芝居うまかったっけ?って思って当初は見てたけど、いやいや、この二人は前からうまかったでしょ、オメーはいったい今まで何見てたんだよって、ほんと反省してます。

とにかく二人とも20代なのに肝が据わってる。マジで浪花さんや天外さんの人生を観察してるみたい(二人の現役時代は知らんけど)。泣かされ笑かされたあとで、「今日の花ちゃんもすごかったなあ。成田くんもさすがやなあ」とうなる。ほぼ毎朝、この繰り返し。ほんま、かなわんなあと思う。俳優としても役の上でも二人はライバル。メキメキメキメキ音立てて、どっちの芝居も日々上昇してる気がする。こういう切磋琢磨を毎朝見られるんも、ほんま幸せなことやなあと思う。

ドラマは千代がトータス松本演じる朝ドラ史上最悪な父親、テルヲに捨てられる子ども時代から始まり、奉公先の道頓堀の芝居茶屋で芝居と出会い、一平と出会い、京都のカフェーで女給をしながら鶴亀映画撮影所の大部屋女優となり、一平が立ち上げた鶴亀家庭劇で舞台女優の道を歩み、一平と夫婦になる。悲しくつらい太平洋戦争が終わり、先週からは戦後スタートした鶴亀新喜劇に舞台が移った。

そして今週はこのドラマでいちばんしんどいであろう、夫婦別れのパートとなる。なにしろ子どもの時から二人は一緒に過ごしてきたのだ。いったいどういう別れになるのだろう。でもこのドラマの脚本は決して裏切らない。きっと想像以上の、いい別れを描いてくれるんじゃないだろうか。

ところで、ジャパンナレッジに鶴亀新喜劇のモデル、「松竹新喜劇」を調べてみたところ、「ニッポニカ」と「世大」の二大百科にありました!(ってそりゃ当然よな)

関西喜劇の喜劇団。松竹傘下。旗揚げは1948年12月,大阪の中座で,以後もそこを本拠として活動し現在に至っている。(略)参加メンバーには渋谷天外,曾我廼家十吾,浪花千栄子,藤山寛美,曾我廼家大磯,曾我廼家明蝶,曾我廼家五郎八,曾我廼家鶴蝶らがいる。(「松竹新喜劇」「世界大百科事典」より)

2代目天外を知らないかおるんも、できることなら藤山寛美の芝居をもう一度見てみたいと思う。子どものころは、週末の関西のテレビ番組には舞台中継がたくさんあった。土日のお昼は吉本新喜劇、日曜の夕方は松竹新喜劇をやっていた(気がする)。タカラヅカもやってたな。なかでも藤山寛美の汗と涙と笑いあふれる芝居は、子どもながらに強烈に印象に残っている。寛美が亡くなって、松竹新喜劇の番組がなくなって、かおるんも大人になって、「サザエさん」くらいしか土日はテレビを見なくなった。そして日常から芝居が遠のいた。

10数年前、亡くなった父といっしょに寛美の娘、藤山直美とジュリー(沢田研二)の舞台を大阪の松竹座に観に行った。おそらく父はあんまり興味がなかっただろうが(いや、松竹新喜劇は父も真剣に見ていた記憶がある)、帰郷して藤山直美の芝居を見てみたいという娘のわがままに付き合ってくれた。父との観劇は初めてで、それにわざわざ大阪に出てきたのだから、このあと何食べようかだの考えて、肝心な芝居の内容を忘れてしまった。テルヲとは正反対のええお父ちゃんやったなあ(いや、テルヲも最後はええ人やった)。「おちょやん」で道頓堀の灯を見ると、あの晩、父と歩いた光景が蘇ってくる。

2021-04-20 written by かおるん
「おちょやん」は5月15日に最終回を迎える。その日の朝のことを思うと、早くも「ロス」で目頭が熱くなる。