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文春、中吊り、やめるってよ

2021-08-17

「週刊文春」の電車の中吊り広告がこの8/26号で終わるという。私自身、満員電車で新聞も本もろくに読めないときとか、読みふけっていた本から顔を上げてちょっとひと息つくときとかに、見上げるとそこに中吊り広告があった。「あ、あんな記事が載ってんだ」とか「あ、●●デパートで北海道市がやってんだ」とか、中吊りをきっかけに雑誌を買ってみたり、買い物に出かけてみたり、よくしてたっけ。

しかしスマホを持ってからは、手元を見る時間が圧倒的に増えた。電車が混んでようが、手のひらに目を落とせばいい。新聞みたいにスペースは取らない。上を見上げなくても、下から自分に合った情報を選び出せばいい。雑多な情報に用はない。

そしてこのコロナだ。東京は2021年に入ってからここまでほぼ緊急事態宣言下と言っても、過言ではない。弊社も週半分以上はテレワークだし、出勤したとしても以前より電車は混んでいない。たまに見る広告は側面に貼っているものや出口の動画。コロナ禍に入ってから中吊りを見上げたこと、どれくらいあったっけ? 最近週刊誌がすっぱ抜いたあの人のスキャンダルだって、あの事件だって、みんなスマホから情報を得て知ったことだ。

以前勤めていた情報誌の編集部。中吊り広告のゲラを前にして、編集長がいろんな表情をしていたことを思い出す。「これは売れる!」と手応えがあるときは満面の笑みでゴーサイン出して、「これ、どっかなあ」ってときはちょっと困ったような表情をしてたような気がする(すべてうろ覚え)。「新潮」の中吊りを「文春」が盗み見していたとか、そんな話もあったっけ。雑誌の形態はどうあれ、中吊り広告にはそれぞれの編集部の、それぞれの強い思いがあった。

デジタル後進国の日本だが、コロナになって変化の速度がどんどん速くなっている。そしてここにきて「文春」の、中吊りやめます報告。地方の地下鉄に乗ると中吊り広告が歯抜け状態になっていることもある。もしかしたら日本全国から中吊り広告自体が消えるかもしれない。

全部が全部サイネージってのは目がクラクラしそうでちょっと勘弁だけど、地下鉄乗ってウキウキする!とか、電車乗って気持ち和らぐーとか、車両ごとにイメージ変えちゃうって世界もありかもしれない(ラッピング広告とか得意だしね)。あ、それとも欧米の地下鉄的な感じで日本の車両も無機質な空間になっていくんだろうか、といろいろ妄想してしまった。

2021-08-17 written by かおるん
コロナ禍で満員電車が苦手になったけれど、忘年会のあととか、花火やコンサートのあととか……朝は勘弁ですが、わりと満員電車、好きだったなあ。