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杉並方丈記

2022-02-08

「方丈記」をご存知だろうか。JapanKnowledge搭載コンテンツ「日本大百科全書(ニッポニカ)」で検索すると、下記の通り。鎌倉初期の随筆。一巻。鴨長明 (かものちょうめい) 作。1212年(建暦2)3月成立。書名は長明が晩年に居住した日野の方丈(一丈四方、すなわち約3.3メートル四方)の草庵 (そうあん) にちなんだもの。

長明が「方丈記」を著して約800年。杉並区にある方丈ほどの広さの部屋で、私はこの文章を書いている。長明と大きく異なるのは、墨ではなくパソコンで字を打っていることくらいか。「ゆく川の流れはたへずして、しかももとの水にあらず」と言わんばかりに、目前の善福寺川は水をたたえる。

昨年末、私は而立を前にして一人暮らしなるものを始めた。当初は寂しさもあったが、今は誰の目も気にすることなく悠々自適な独身ライフを満喫している。終電がなくなってから帰宅しても、何時に何を食べても、誰にも迷惑はかけず気を遣う必要もない。趣味のプロ野球観戦も好きなだけ行くことができるし、実家にいたときは口うるさく感じていた、母の小言さえ懐かしくなるくらいだ。

そういえば、長明が住んだのは日野山の草庵だった。現代の東京23区とは比較にならないくらい、鎌倉時代の京のはずれは山深くうら寂しい場所だったろう。折々の不遇に耐えかねて隠棲していたといわれる長明だが、亡くなるまで山を下りなかったところを見ると、山奥での悠々自適なお一人様ライフはきっとそれなりに楽しいものだったのではないだろうか。

長明が生きていた時代に思いをはせていると、ぐうと腹が鳴った。今が夜中であることを一旦忘れ、私は友人から京都土産にもらった生八つ橋に手を伸ばした。

2022-02-08 written by ゲスト
今回は、「枕草子」と「大鏡」を愛する日本文学専攻出身の超フッ軽女子、hehemeijiがお届けしました。埼玉西武ライオンズが好きすぎて、年間50試合ほど所沢の西武ドームに試合を見に行っています。あまりに球場に通いまくったので、最近仲間内で「西荻窪のトトロ」と呼ばれていることが発覚しました。好きな選手は今井達也、好きな筋肉は胸鎖乳突筋。