はすは【蓮葉】
読者カード 語釈 2018年03月24日 公開
用例: | 風流はすはなることあたりも輝くばかりなり。 |
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『童唄古実今物語』 1761(『江戸怪談文芸名作選』第三巻に活字化予定)年 清涼井蘇来 | |
語釈: | 〔名〕(「はすば」「はすわ」とも)(4)(形動)服装、つくりなどが軽薄なまでに派手であること。また、そのさま。 |
コメント:現語釈は否定的な意に捉えるが、本用例は肯定的な意。本用例は貞淑な女性についてのものであり、この直後に登場人物の評として、悪女が西施のひそみに倣った話を引いており、これでも肯定的であることがわかる。なお、すぐあとにも同人物に対し「いとど風流はすはにて」とする同様用例あり。
編集部:(4)の語義は、評判記『色道大鏡』(1678)の「はすはといふは、女にかぎらず風流過てばしなるかたちを、はすはなる躰などいふ」によるものと思われます。「ばしな」は『日葡辞書』に、「落ち着きがない、浅薄で軽率な」とあります。ただし、「ばしなる」の意味が肯定的に使われるような例も見えますので、両義的に使われる事が多かったのかもしれません。語釈を工夫するか、あるいは用例を分類できるものであればブランチを別立てするか一考の余地がありますね。
著書・作品名:童唄古実今物語
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1761(『江戸怪談文芸名作選』第三巻に活字化予定)年
著者・作者:清涼井蘇来
掲載ページなど:東大国文蔵書の巻二、一四丁オモテ
発行元:国書刊行会