あいこしゅぎ【愛己主義】
読者カード 用例 2017年12月16日 公開
用例: | 他のためにせんとする衝動若もしくは本能を認めて、これを利他主義といい、己れのためにせんとする衝動若しくは本能を主張してこれを利己主義というのなら、その用語は正鵠を失している。それは当然愛他主義愛己主義という言葉で書き改められなければならないものだ。 |
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『惜みなく愛は奪う』 1920年 有島武郎 | |
語釈: | 〔名〕(英 egoism の訳語)自分だけの快楽、利益などを追求、主張する考え方。利己主義。エゴイズム。←→愛他主義(あいたしゅぎ)。 |
コメント:同年の辞典例はあるが、散文からの例として。「愛己主義」=「利己主義」という考え方に異義を唱えている文章なので、有島武郎の独自の考え方はそれとして、すくなくとも当時は一般にそのように思われていたことを証するかと。
編集部:第2版では、小林鶯里『現代日用新語辞典』(1920)からの例が添えられていますが、当時、エゴイズムの訳語をめぐって解釈が分かれていたのでしょうか。
著書・作品名:惜みなく愛は奪う
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1920年
著者・作者:有島武郎
掲載ページなど:青空文庫〔新潮文庫『惜みなく愛は奪う』、1955〕
発行元:新潮社