たいざんめいどうしてねずみいっぴき【泰山鳴動して鼠一匹】
読者カード 用例 2018年04月22日 公開
用例: | 「赤耀館(せきようかん)事件」と言えば、昨年起った泰山鳴動して鼠一匹といった風の、一見詰らない事件であった。 |
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『赤耀館事件の真相』 1929年 海野十三 | |
語釈: | 「たいざん(大山)鳴動(めいどう)して鼠一匹(ねずみいっぴき)」に同じ。 |
コメント:2版には、「泰山鳴動…」の用例がないので。青空文庫の書誌によれば、初出は、「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号とある。ほかに、中里介山『大菩薩峠』(1913−41)に、「なんだ、泰山鳴動(たいざんめいどう)もせずに鼠一匹」という例があり、下村湖人『次郎物語』(1947)に「泰山鳴動して鼠一疋も出なかったね」などがある。むかし、新宿区役所の近くに国語・国文の先生方がよく顔を出したスナック「泰山木」があるが、これはアメリカ原産の植物に由来するので、中国の「泰山」とは直接の関係はない。この植物は「大山木」とも書くようです。
編集部:第2版では、「大山鳴動して鼠一匹」の補注に〈「大山」を「泰山」とも書く〉としてありますが、「泰山鳴動…」の例を添えることができませんでした。
著書・作品名:赤耀館事件の真相
媒体形式:その他
刊行年(月日):1929年
著者・作者:海野十三
掲載ページなど:青空文庫〔『海野十三全集 第1巻 遺言状放送』、1990〕
発行元:三一書房