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エンゼルフィッシュ

読者カード 用例 2020年09月15日 公開

2020年08月15日 ubiAさん投稿

用例:エンゼルフィッシの子が數尾同じ槽に居るのを見てゐると、〈十〉
『破片』 1934年11月 寺田寅彦
語釈:〔名〕(英 angelfish)《エンジェルフィッシュ》カワスズメ科の代表的な熱帯淡水魚。この仲間は数種いるといわれている。また、観賞用品種が多数つくられている。一般に体長一〇~一五センチメートル。体は側扁し、背びれ、しりびれ、腹びれが長くのびる。淡灰色に黒色の太い横じまが数本あるのが特徴。付着卵を産み、雌雄とも子魚を守る習性がある。南米アマゾン川流域およびギアナ原産。観賞魚として広く家庭で飼われる。てんにんいしだい。学名はPterophyllum altum, p. scalare など。また、キンチャクダイ科、チョウチョウウオ科、ツバメウオ科などの海産魚の一部をさすこともある。

コメント:初出(昭和九年十一月、中央公論)とあります。投稿されている例(『柿の種』、1933)は、ルビの例ですが、寺田寅彦全随筆六(1992年5月7日第1刷発行)159ページ本文7行目と橡の實(吉村冬彦、小山書店、昭和十一年五月二十日第二刷発行六ページ本文一行目)ではルビが確認できなかったので(渋柿(昭和八年六月)は未見)、本文の例および表記の異表記の例として投稿しました。

編集部:2018年3月4日付けの用例について、確かに、岩波文庫版『柿の種』(1996)には「天使魚」に「エンゼルフィッシュ」とルビがついているのですが、念のためにそれが底本にしたという『寺田寅彦全集第十一巻』(1961、岩波書店)で同じ箇所にあたったところ、ルビはありませんでした。かといって、1933年に発行されている『柿の種』(小山書店)には、「曙町より(十四)」は収められていません。収められている『橡の実』(小山書店、1936)も確認しましたがこちらにもルビはありませんでした。大元の雑誌『渋柿』の該当するバックナンバーは国会図書館でもチェックできなかったので、判断は留保せざるを得ませんが、こちらの例は間違いなく確例と言えますね。井上友一郎『横断歩道』(1956)よりも22年さかのぼることになります。

著書・作品名:破片

媒体形式:雑誌

刊行年(月日):1934年11月

著者・作者:寺田寅彦

掲載ページなど:寺田寅彦全随筆五 1992年4月3日第1刷発行 170ページ本文6行目

発行元:岩波書店