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パースペクティブ

読者カード 用例 2022年05月30日 公開

2021年06月11日 ubiAさん投稿

用例:地震といふものゝ槪念は人々によつて隨分著しくちがつて居る。理學者以外の世人に取つては、一地震現象の心像は凡て自己の感覺を中心として見た展望圖(パースペクティブ)に過ぎない。〔一 地震の槪念〕
『地震雜感』 1924年5月 寺田寅彦
語釈:〔名〕(英 pespective)《パースペクチーブ・パースペクチブ》(4)物の見方。視野。

コメント:(4)の意味のようにも思えるのですが、「展望図」にルビとしてふられているという、(3)の投稿例や(4)の第二版の用例にはない例であるということもあり、投稿例(1918)よりも新しいですが、(3)で投稿します。ルビでの例です。初出(大正十三年五月、中央公論)とあります。

編集部:3か4か微妙なところですが、「展望」という言葉にとらわれると3のように思われ、意味からとらえると、「自己の感覚を中心とした」という文脈からもっと根本的な物事の見方というようにも考えられます。ここは意味から考えて4の例ということにすれば、第2版の初出例、寺田寅彦『映画時代』(1930)よりも、6年さかのぼることになります。

著書・作品名:地震雜感

媒体形式:単行本

刊行年(月日):1924年5月

著者・作者:寺田寅彦

掲載ページなど:403ページ本文2行目〔『寺田寅彦全随筆二』、一九九二年一月七日第一刷発行〕

発行元:岩波書店