日国友の会



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ミディアム

読者カード 用例 2022年06月07日 公開

2021年06月13日 ubiAさん投稿

用例:私は云はゞ偶然にセリストになつた。事によつては、ヴァイオリニストにも又トロンボニストにもなつたかも知れない。音樂が第一に來るもので特別な樂器ではない。しかし自分のメディアムとして或る特別な樂器を選んだ以上は〔三〕
『人の言葉——自分の言葉』 1927年11月 寺田寅彦
語釈:〔名〕(英 medium)《メディアム・メヂアム・ミディヤム》(3)美術で、絵の具の溶剤。広義には、絵画、彫刻など表現方法、表現手段のことをいい、さらに、それに用いられる素材、道具などをいう。

コメント:(2)かなとも思いますが、(3)の語釈の「絵画、彫刻など表現方法、表現手段」の「音楽」版とも思うので、(3)で投稿します。投稿例(1965)よりもさかのぼります。パブロ・カサルスの言葉。マルテンスの「ストリングマスタリー」より拙譯)と書かれている文章中からですが。初出(昭和二年十二月、理學部會誌)とあります。

編集部:(3)の語釈は美術に限定されていますが、「表現方法」「表現手段」という意味をコアとして書き直した方がいいかもしれません。2009年4月14日付けで、ぽんちさんに、吉本隆明『言語にとって美とは何か(I)』(1965)から「メジュム」の例をご紹介いただいていますが、さらに、38年さかのぼることになります。

著書・作品名:人の言葉——自分の言葉

媒体形式:単行本

刊行年(月日):1927年11月

著者・作者:寺田寅彦

掲載ページなど:549ページ本文6行目〔『寺田寅彦全随筆二』、一九九二年一月七日第一刷発行〕

発行元:岩波書店