きんてんぐ【金天狗】
読者カード 用例 2022年09月09日 公開
用例: | 今の朝日敷島の先祖と思はれる天狗煙草の榮えたのは日淸戰爭以後ではなかつたかと思ふ。赤天狗⾭天狗銀天狗金天狗といふ順序で煙草の品位が上がつて行つたが、その包裝紙の意匠も名に相應しい俗惡なものであつた。 |
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『喫煙四十年』 1934年8月 寺田寅彦 | |
語釈: | 天狗煙草(てんぐタバコ)のこと。 |
コメント:第二版の用例(1911~13)より新しいですが、他の銘柄もそろっている例なので、とりあえず。ちなみに、朝日【一】(6)(1904)、敷島【一】〔四〕(1904、1912)、天狗煙草(1901、1909)は、用例とともに立項されていますが、赤天狗、⾭天狗、銀天狗は立項されていないようです。初出(昭和九年八月、中央公論)とあります。
編集部:第2版では、森鴎外『雁』(1911-13)の例が添えられています。ちなみに、「天狗煙草」の語釈は「日本で最初の紙巻タバコの商品名。明治一〇年(一八七七)から専売制施行の明治三七年(一九〇四)まで、岩谷商会が天狗印の商標をつけて発売したもの」となっています。
著書・作品名:喫煙四十年
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1934年8月
著者・作者:寺田寅彦
掲載ページなど:28ページ本文1行目〔『寺田寅彦全随筆五』、一九九二年四月三日 第一刷発行〕
発行元:岩波書店