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じこそがい【自己疎外】

読者カード 用例 2021年09月14日 公開

2021年09月14日 ぽんちさん投稿

用例:人間的自己疎外(die menshliche Selbstentfremdung)の神像が、仮面をぬぎ去られたのち、自己疎外を、ーーその神聖ならぬ形像に於ける自己疎外の仮面を去ることが、まづ歴史に仕ふる哲学の任務である。〔六・五-4〕
『社会の構成=並に変革の過程』 1926年02月 福本和夫
語釈:〔名〕(ドイツ Selbstentfremdung の訳語)人間の個性や人格が社会関係の中に埋没して主体性を失ってしまう結果、他人や他の事柄に対してだけでなく、自分自身に対してさえも疎遠な感じにとらわれてしまう状態。たとえば、技術革新、高度分業、情報過多といったような激動する社会関係の中において、自己の主体性を失い、個人が何事に対しても索漠とした違和感をもち、親密さも愛も喜びも喪失してしまう状態。元来ヘーゲルの用語で、マルクスを経て、現在一般的に用いられる。

コメント:2版の例よりも古い。マルクスの文章を訳して引用している一文で、まさに、著者が自らの訳語としていることを裏付けるもの。初出は同名のタイトルで白揚社から1926年の2月に出ているが、解題によれば、1925年の11月初旬に京都帝国大学学友会主催「進化論講座第二部ーー社会進化論講座」で行われた講演ノートに「若干の推敲」を加えたものという。

編集部:第2版では、新井格・木村毅『国民百科新語辞典』(1934)の例が早いのですが、さらに、8年さかのぼることになります。

著書・作品名:社会の構成=並に変革の過程

媒体形式:単行本

刊行年(月日):1926年02月

著者・作者:福本和夫

掲載ページなど:77ページ上段、後ろから5行目〔『福本和夫著作集 第一巻』、2010.07.30〕

発行元:こぶし書房