ようき【揚棄】
読者カード 用例 2021年09月14日 公開
用例: | 無産者階級は、其の所謂有産者社会の下に事物化せる意識(略)を既に或る程度に於て揚棄(略)することなくして、ーー換言すれば、真実の無産者階級的意識を戦ひとることなくしてはこの「転換」をとげることはできないと思ふのであります。〔一・序論-一〕 |
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『社会の構成=並に変革の過程』 1926年02月 福本和夫 | |
語釈: | 〔名〕(ドイツ Aufheben の訳語)ヘーゲル弁証法で、二つの矛盾対立する概念または事物が、争うことによってそれらの形が改められるが、内容は新しい段階で新しい秩序のもとに組み込まれて、いっそう高い概念や事物を生みだすこと。止揚。 |
コメント:2版の例よりも古い。2番目の(略)には、(弁証法に所謂Aufheben. これは普通に「止揚」と訳されてゐますが、私はむしろ揚げる(高める)といふ方を、すてる(止める)といふより第一次的に、主要的に考へる方が弁証法的だと考へるのであります。)とあり、揚棄の説明になっていますが、別途、「止揚」の例としてもさかのぼるので、この部分は後日そちらに投稿します。
編集部:第2版では、勝本清一郎『芸術運動に於ける前衛性と大衆性』(1929)の例が早いのですが、さらに、3年さかのぼることになります。
著書・作品名:社会の構成=並に変革の過程
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1926年02月
著者・作者:福本和夫
掲載ページなど:18ぺージ下段、後ろから4行目〔『福本和夫著作集 第一巻』、2010.07.30〕
発行元:こぶし書房