こうもり【蝙蝠】
読者カード 用例 2023年01月19日 公開
用例: | 母さん切れを遣つても宜う御座んすかと尋ねて、針箱の引出しから友仙ちりめんの切れ端をつかみ出し、庭下駄はくも鈍(もど)かしきやうに、馳せ出でて緣先の洋傘 (カウモリ) さすより早く、庭石の上を傳ふて急ぎ足に來たりぬ。 |
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『たけくらべ』 1896年 樋口一葉 | |
語釈: | 〔名〕(3)「こうもりがさ(蝙蝠傘)(1)」の略。 |
コメント:
編集部:「洋傘」あてた例として貴重ですね。第2版では、坪内逍遥『当世書生気質』(1885-86)から「蝠傘」の例、森鴎外『雁』(1911-13)から「蝙蝠」の例が添えられています。ちなみに、「蝙蝠傘」の語釈は「(ひろげたとき、蝙蝠の翼をひろげた形に似ているところからいう)西洋から伝わった雨よけ、または日よけの傘。鉄の骨に、布を張って、金属、竹、木などの柄をつけたもの。こうもり。洋傘」となっています。
著書・作品名:たけくらべ
媒体形式:雑誌
刊行年(月日):1896年
著者・作者:樋口一葉
掲載ページなど:444ページ後ろから2行目〔『一葉全集』、1897〕
発行元:博文館