「なにかにつけて行動が遅い」と見えても、見方を変えれば、「ジックリ考えて、丁寧に行動している」とも言える。また、「空気が読めない」のは、もしかしたら「周りに左右されない信念の持ち主」なのかもしれない。

 人やモノに対して発せられるネガティブな言葉をプラス思考に転換して、価値を再発見する「ほめ達!」検定が話題となっている。

 「ほめ達!」検定を主催するのは、一般社団法人「日本ほめる達人協会」だ。

 検定を始めたきっかけは、客を装い接客態度を調べる覆面調査の経験から、あら探しをするより、よいところを探して、ほめながら長所を伸ばすと人は成長することに気づいたことだったという。

 そして、ほめる達人を増やすために、2010年に「ほめ達!」検定を開始。約6年間で約2万4500人のほめる達人が誕生した(3級合格者数)。

 「ほめ達!」検定は、ほめる力を学びながら、同時に資格取得もできる講座で、入門編の3級から、上級者編の1級までの3段階がある。

 たとえば、3級では、ほめる達人としての基本を学ぶセミナーと検定試験で約3時間のコース。まず、講義を受けたあとで、参加者同士がほめあうワークショップを行ない、その後、検定試験を受ければ誰でも「ほめ達!」3級に合格できる。

 検定内容は、思いつくほめ言葉を書き出したり、「気が弱い」「ケチである」など一般的な短所を、長所に言い換えたりするといったもの。

 たしかに「気が弱い」のは、人に強く言えない優しい性格だからなのかもしれないし、「ケチである」のは堅実だから無駄遣いしないのかもしれない。ふだんから、ほめる言葉を意識して使っていれば、人やモノの見方は変わって、物事をポジティブに捉える訓練ができそうだ。

 同協会HPによれば、「『ほめ達!』は、目の前の人や物・商品やサービス、起きる出来事などに独自の切り口で価値を見つけ出す『価値発見の達人』」だという。

 ひとりの人のなかには、良い面もあれば、悪い面もある。あら探しをするのではなく、プラスの面を探して、そこに光を当ててほめることで、人は成長を遂げるという発想だ。

 人はほめられると、「この人は自分のことをきちんと見ていてくれる」と信頼を寄せやすくなり、その後のコミュニケーションもスムーズになる。

 日常生活においても、「でも」「だって」「いや、それは…」と、なんでも否定から入ると、聞く耳をもってもらいにくくなる。たとえ、意見の異なる相手だろうと、いったんは受け入れる態度を示さなければ、コミュニケーションを始めることすら難しい。

 「ほめる」ことは、まずは相手を受け入れることにもつながる。ふだん、コミュニケーションで悩むことが多い人は、あら探しをやめ、周りをプラス思考で眺めてみてはどうだろうか。そこには、これまでとは違う価値ある存在がたくさん見つかるかもしれない。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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