いい【好・善・良】
読者カード 用例 2024年04月14日 公開
用例: | 貴方の室から見た景色は相變らず好うがすね、ことに今日は好(イ)い。あの洗ひ落したやうな空の裾に、色づいた樹が、所々暖(あつ)たかく塊まつてゐる間から赤い煉瓦が見える樣子は、慥かに畫になりさうですね(ルビは一部省略)〔風呂の後・六〕 |
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『彼岸過迄』 1912年 夏目漱石 | |
語釈: | 〔形口〕(「よい」の変化した語)くだけた言い方で、終止形、連体形でしか用いられない。よい。 |
コメント:第二版の多くの用例より新しいですが、「好」の漢字表記の例がないので。「漱石全集 第十五卷 續書簡集 昭和四十二年二月十八日 第一刷發行 昭和五十一年二月九日 第二刷發行 156ページ6行目」の林原(当時岡田)耕三宛夏目漱石書簡-明治四十五年(1912)七月二十九日に、この例のことではないですが「「それで好(よ)い」は東京語ならず東京ではいつでも「それで好(い)い」といふ。」とあります。
編集部:第2版では、「能」「美」「可」が当てられた例はありますが、「好」を当てた例は見当たりませんね。
著書・作品名:彼岸過迄
媒体形式:単行本
刊行年(月日):1912年
著者・作者:夏目漱石
掲載ページなど:319ページ5行目〔『漱石全集 第6巻 (門・彼岸過迄)』、昭11(国会図書館デジタル)〕
発行元:漱石全集刊行会