『AERA』(11/10号)で池上彰と佐藤優(まさる)が『資本論』について語り合っている。池上は「リーマン・ショックに派遣切りなどが問題になってきて、『あれ? マルクスが「資本論」で書いていたことと同じようなことが起こっているんじゃないか』と思った人たちがあらためて出てきた」ため、再び読まれているのではないかと言っている。
資本主義経済が発展し過ぎると社会主義革命が起こるかどうかはともかく、
社会が豊かになるにつれて労働者は貧困に追いやられるという考え方は間違っていなかった。
『AERA』は“貧困の象徴”としてネットカフェ難民歴6年の男性(51)のインタビューを載せている。
埼玉県南部にある街のネットカフェを記者が6年ぶりに訪ねる。ビルの2階と3階を占めるネットカフェは総部屋数が約70。6年前より部屋数は倍近くに増えていた。店の棚には漫画が置かれ、飲み物は無料で、シャワーも完備している。
一見、普通のネットカフェだが、夜ここで過ごす人たちが「住民登録」できる、日本で数少ない店である。定職に就きたくても住所不定だと面接すら受けられないが、そんな人たちを支援するため店舗側が市役所と協議し、ネットカフェで1か月以上長期滞在すれば住民登録することができるようにした。
店長によれば、現在の「住民」は約30人。30代後半から50代後半の男性が中心だ。件の男性は東京出身。高校卒業後に都内で大手居酒屋チェーンに就職し、いつか自分の店を持つのが夢だった。しかし必死で働いたがお金は貯まらない。
10年近く経った時、知り合いに「儲かる」と誘われ、北陸の都市で派遣社員として工場の製造現場で働くようになったが、ここでもやはり貯金もできない生活が続いた。そんな日々が嫌になり6年ほど前、当てもないまま東京に戻ってきた。
「それからがこの人生です」と男性は言う。両親はすでに亡くなった。ネットカフェで暮らしながら派遣会社に登録し、倉庫での荷物の仕分け作業などをして生計を立てている。年収は150万円ほど。
ここでは安倍第二次政権が誕生し、アベノミクスで2億円近いマンションが完売したり、資産が1億円以上ある「富裕層」が増加しているという話は、全くの他人事だ。
宿泊代は3月まで1泊2400円だったが、4月に消費税がアップした影響で1日72円上がり、1泊2472円になった。1か月2160円の出費増は死活問題。彼は「全財産は、財布の中の1500円だけ」だと打ち明け、こう続けた。
「先のことですか? 恐ろしくなるので、考えないようにしています」
安倍首相を始めとする新自由主義派は、この男性の境遇を「自己責任」のひと言で片付けてしまうのだろう。
だが、日本社会のブラック化は人材育成や国際交流を支援することを謳っている
「外国人技能実習制度」で、日本に来る発展途上国の若者たちにも及んでいることを知っているのだろうか。
『G2vol.17』(講談社MOOK)でジャーナリスト・安田浩一が中国から来た「実習生」たちの悲惨な実態をルポしている。
22歳の王洪婷は中国黒竜江省出身。彼女は地元の人材輸出会社の「3年間日本で頑張れば30万元(日本円にして約500万円)を持って帰ることができる」という甘言に乗せられ、渡航費や手数料の名目で請求された4万元を借金して払って、2011年に日本へ渡ってきた。
勤めた先は福井県坂井市の縫製工場。勤務時間は朝8時から夕方5時まで。休みは週に1日。基本給は11万2300円だが、ここから寮の家賃と水光熱費や社会保険料を引かれて手取り7万円程度。後は残業をして稼ぐしかなかった。
生活を楽しむゆとりなどなかった彼女に、地元に住む中国残留孤児2世の彼氏ができ、ときどき彼の家に泊まるようになった。それを工場の幹部や管理団体(実習生を受け入れ企業に派遣する団体)の職員らに「規則違反」だと咎められ、即刻解雇、帰国せよと告げられてしまうのだ。
この規則というのが
「奴隷契約」と思われるほど酷いものだ。「日本側の会社の許可を取らず、勝手に外出し情状酌量の余地なき者は即刻強制帰国、併せ賠償違約金50万円」のほか、恋愛禁止、期間中の携帯電話の購入禁止、病歴を隠していた者や期間中に妊娠した者には罰金80万円と即刻強制帰国、その上往復の航空運賃を自己負担させるのである。
王洪婷の場合、彼氏の機転で、実習生の権利を守る市民団体に救われるが、彼女のようなケースは希だ。法務省の入国管理局の調べによると、昨年1年間で実習期間中に帰国した実習生は約1万3000人にも上る。現在、約15万人の実習生が滞在しているから、
12人に1人が途中帰国していることになる。
安田によれば、アメリカ国務省が毎年発表している「世界の人身売買の実態に関する報告書」では、2007年度版から日本の研修・実習制度が「人身売買の一形態」「強制労働」であると指摘されるようになったという。
そのため、2012年に厚生労働省の労働基準局が実習生受け入れ企業2776社の調査を実施したが、
実に8割に当たる2196社で法令違反が見つかり、以来、より巧妙かつ悪質化しているそうだ。
こうしたことがなぜまかり通っているのか。不況業種、3K職場と呼ばれる農業、畜産、水産、縫製、食品加工などでは人件費削減を迫られ、人材不足にも悩まされている。これを解決する手段として、3年間の期限付き、低賃金で雇用できる実習生に飛びつき、何とか生きながらえてきたという背景があるのだ。
岐阜で縫製工場を営む男性の話がそれをよく表している。
「安い給与で朝から晩までミシンを踏んでくれる日本人がいますか? (中略)たとえ、搾取だ、外国人差別だ、低賃金労働だと指摘されても、外国の実習生の存在は私たちにとっては命綱みたいなものなんです」
だからといって奴隷制のような働かせ方が許されるはずは絶対にない。だが、日本は2020年の東京五輪に向けた建設需要への対応として、今年の4月に
「実習制度の活用」「実習生受け入れ枠の拡大」を政府の関係閣僚会議によって決定したのである。
「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」事務局長の鳥井一平は「結局、国が求めているのは本当の意味での人材ではなく、使い勝手のいい働き手だけなんですよ」と、実習制度の本質を衝いている。
いまや格差社会などという悠長なものではなく、
ごくごく一部の富裕層を太らすために、この日本は「総ブラック社会化」しているのだ。こうした資本主義の終焉と思える日本社会の歪みきった現実を週刊誌を含めたメディアはもっと追及するべきである。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
今週は週刊誌を読む楽しさを味わわせてくれる記事を3本選んでみた。熟読玩味を!
第1位 「衝撃スクープ 巨人阿部慎之助が堕ちた“アイドル女優”不倫地獄」(『週刊文春』11/6号)
第2位 「海猿は陸でもスゴかった! 伊藤英明 ハワイでナンパ→乱痴気3P」(『フライデー』11/14号)
第3位 「47都道府県おっぱいランキング」(『週刊ポスト』11/14号)
第3位。調査したのは老舗下着メーカー「ダイアナ」である。
サンプル数は約50万人。トップ(乳首)を基準に測った胸囲と、アンダー(バストの付け根)で測った胸囲の差が約10センチならAカップ。そこから2.5センチ刻みで大きなカップになり、12.5センチならBカップ、15センチならCカップ、17.5センチならDカップとなる。
トップとアンダーの差が最大だったのは
香川県で15.602センチだったという。これは、少し大きめのCカップだそうだ。
一方、最小は
和歌山県の11.326センチでBカップに近いAカップ。2つの県の差は2カップも違うのだ。
「ダイアナ」の広報も「女性の体型と向き合ってきた弊社内でも“地域によってこんなに差があったとは”と驚きをもって受け止められています」と話している。
1位から10位までを見てみよう。順に香川県、島根県、高知県、栃木県、愛媛県、滋賀県、福島県、茨城県、青森県、宮城県。
おっぱいが大きいのは食べ物(大豆)や睡眠、それにセックスとの関連があるのではないかといろいろ調べたが、これといった根拠はないようである。
4位の栃木県は別だが、1位の香川県、2位の島根県、3位の高知県、5位の愛媛県は海に面している土地である。おおらかな大海原を眺めているとおっぱいが大きくなるのだろうか?
第2位。『フライデー』の袋とじ「伊藤英明 ハワイでナンパ→乱痴気3P」は迫力がある。
伊藤(39)は映画『海猿』で有名な俳優で
新婚ホヤホヤだそうだが、この写真が撮られたのは約2年半前のこと。
休暇でハワイのオアフ島を訪ねたとき。アラモアナショッピングセンターで女性グループをナンパした後、そのうちの2人と彼が泊まっている高級コンドミニアムで飲むことになったという。
気がつくと部屋には女性二人と伊藤だけになっていた。酔ってハイテンションになった伊藤が、彼女たちのオッパイにタッチを開始。
ここまではよくある話の運びである。最初彼女たちは伊藤の行為を拒否していたらしいが、そのうち伊藤が「君とヤリたいんだ!」と雄叫びを上げ、服を脱ぎ始めたというのだ。
「しばらく『ヤラせて』『ヤラせない』の押し問答があったそうですが、女性の体調の問題もあり、最終的に一人は口で奉仕、もう一人とは合体ということになったそうです。合間を置かずの2連発でした」(芸能関係者)
この袋とじの凄いのは、伊藤のお尻が丸出しの向こう側に女性らしきものがいて、何やらご奉仕しているような写真や、伊藤が女性に抱きついてキスしている写真など
迫力満点なのだ。
3人しかいない部屋で、写真を撮ったとすれば、代わりばんこに女性が撮ったのであろう。伊藤も撮られていることを知っているのは間違いない。
2年以上も経ってからこの写真を『フライデー』に出したのは、どういう意図があるのだろう。彼女たちはこの日をきっかけに伊藤のことが好きになってしまった。そのため伊藤が結婚したことが許せないと怒ってのことだろうか。
写真を眺めながらそんなことを考えた。こんな写真を新妻に見られたら伊藤はどうなるのだろう。心配である。
第1位。今週の『文春』の巻頭スキャンダルは巨人の阿部慎之助(35)と女優・小泉麻耶(26)の
複雑な不倫関係を報じている。
今年の巨人はリーグ優勝しながら、CSでは阪神に全く歯が立たなかった。そんな不甲斐ない負け方をした巨人の「戦犯」は原監督と主力の阿部だったと、私は思っている。
なかでもシーズンを通して精彩を欠いた阿部の責任は重いはずだ。2012年は捕手史上最高となる打率3割4分をマークし、首位打者に輝いたが、今季の通算打率は2割4分8厘。4月には26打席無安打という不名誉な自己ワーストも記録し、4番の定位置どころか正捕手のポジションすら脅かされる始末だった。
その理由を、首の故障がさらに悪化してバットを振りきれなかったと本人は言っているが、それだけではないと『文春』は追及する。
次のコメントはこの間の事情を知る関係者の話だ。
「実は、阿部はいま私生活で大きなトラブルを抱えています。シーズン中には『野球に集中できない』などと口走ることもあった。二年前から深い関係になった女優が、阿部に金銭トラブルや、警察沙汰の相談を持ちかけ、結果的に彼を巻き込んでしまっているのです。いくら周囲が忠告しても、阿部は聞く耳を持たず、今もズルズルと関係を引きずっています」
阿部には06年に結婚した元タレントの夫人との間に幼い3人の子どもまでおり、子煩悩な父親としても知られていた。だが、女が阿部を変えてしまったようである。
小泉麻耶との仲は2年前の夏に、『週刊ポスト』(12年8月17・24日号)が、段ボールを抱え宅配便業者に扮して小泉の自宅マンションを訪れる様子をスクープしているが、まだ続いていたのだ。
9月26日、巨人が3年連続、36度目のリーグ優勝を決めたその日、小泉は巨人軍がDeNA との試合の時の宿舎にしていたホテル「横浜ベイシェラトン」へと向かった。
小泉の存在は巨人の番記者の間でも有名で、陰では第二夫人と呼ばれているそうだ。実際、今年正月のグアムキャンプでは、阿部は前半、家族を呼び寄せて一緒に過ごし、後半は入れ替わりで小泉と過ごしていたという。
阿部は試合後人目を避けて彼女の部屋に入り、28日までホテルに泊まっていたそうである。先のコメントの中にある「金銭トラブルや、警察沙汰」についても小泉は阿部に相談していたというのだが、これが超弩級のスキャンダルなのだ。
発端は昨年の冬。小泉にまつわる
「黒すぎる噂」が芸能界で飛び交い、大手の芸能プロダクションの幹部が震え上がる大騒動が持ち上がったという。有名女優や人気モデルを多数手がける大手芸能プロのA氏が、あろうことか所属タレントだった小泉と性行為に及んだビデオが存在するというのである。テレビ局関係者がこう話す。
「小泉はA氏からたびたび性行為を求められ、仕事のために応じていたが、その後も待遇が良くなることはなく、ろくな仕事を与えてはもらえなかった。いわゆる“枕営業”ですが、性奴隷のように扱われたことに怒り狂った小泉が、復讐のために部屋に隠しカメラを仕掛けた、というのです」
その後A氏との間でいろいろあり、彼女が警察に被害届を出す事態になった(後に小泉が取り下げた)。そんなトラブルを小泉から聞かされた阿部は、彼女から遠ざかるようになったというのだが、男と女の関係はそう簡単には切れない。
取材しているうちに『文春』は、小泉スキャンダルの真相にたどり着いたという。『文春』によれば「入手した数枚の写真──そこには衝撃的な光景が収められていた」そうだ。
「雑居ビルの一室のような殺風景な部屋。白いベッドの上に横たわっているのは、胸元も露わなキャミソール姿の小泉。隣に腰掛けているスーツ姿の男性は、間違いなく件のA氏だ。(中略)
写真が撮影されたのは昨年の春から秋にかけての時期だと言う。そこには、これまで噂の域を出なかった“性接待”の現場がはっきりと写されていた」(『文春』)
さすがに阿部も懲りたのか、「今では『もう(不倫は)終わった。これからは、まっとうな生活を取り戻したい』と話して」いると先の関係者が語っている。
だが、不思議な記事である。阿部と小泉の不倫を暴くだけの記事ではない。芸能界でこれまでも言われてきた「枕営業」の証拠写真入手は大スクープである。写真もぼかしてはあるが3枚載っている。こっちのほうがニュースバリューは大きいと思うのだが、『文春』はこっちのほうはさほど追っていない。小泉側は取材に対してA氏と性的な関係はないと否定している。
阿部が小泉と手を切りたくて写真を渡したとも思えない。この記事が出たことで一番ダメージを受けるのは阿部だろうか、それとも大手芸能プロのA氏だろうか。
この記事にはまだまだ裏があるように思えてならない。