春と夏の真ん中にあたる立夏。5月5日の端午の節句には、粽(ちまき)を食べたり、菖蒲(しょうぶ)湯に入ったり、日本人は昔から神秘的な力を借りて邪気を払う風習を守ってきた。薬玉はもっとも古くから宮中で行なわれてきたまじないの一つで、菖蒲、蓬(よもぎ)、麝香(じゃこう)、沈香(じんこう)、丁字(ちょうじ)などの薬草や香料を丸めて錦の袋に入れ、季節の花や造花を挿して飾り、五色の糸を長く垂らしたものである。これを柱などにかけて魔除けとし、招福や長寿のめでたいしるしとした。このような風習は、室町時代には武家や一般の人にも広まっていたと伝えられており、薬玉を文様化した薬玉文(くすだまもん)は、端午の節句を代表する文様の一つになっている。また、お祝いの席などで、頭上の玉を割って華々しい紙吹雪を散らす「くす玉」は、この薬玉が原型になったといわれている。

 薬玉と関連するのか詳しくわからないが、旧暦5月5日には薬日(くすりび)という異称がある。日本古代の神話や歌には、この日に野山で薬草や鹿の角を採集する薬猟(くすりがり)を行なったという記録が残されており、時代と共に、摘み草から山遊びなどの行楽へと移り変わっていったという。


1921年(大正10)に発行された「南天荘蔵幅写真帖(井上通泰編、日本巧芸社)」に掲載された薬玉の図。(国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」より)


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 4月14日に福井地裁で出された関西電力高浜原発3、4号機の「再稼働差し止め仮処分」を認めるという判決が注目を集めている。

 『週刊朝日』(5/1号、以下『朝日』)が報じているように、担当判事が昨年5月にも大飯(おおい)原発運転差し止め判決(関電控訴で高裁で審理中)を出した樋口英明裁判長だったから、弁護団側にも勝算はあったようだ。

 樋口裁判長は審尋を2回で打ちきり、3月には関電の意見書提出も認めず結審した。

 福井地裁の決定文は、「各原発が想定する最大級の地震の大きさを示す『基準値振動』について検討。この10年で国内の四つの原発に想定を超える地震が5回も来たことから、高浜原発の地震想定だけに信頼性があるとはいえないと指摘した。さらに、基準値振動を700ガルまで引き上げても根本的な耐震補強工事がされていないため、それ以下の規模の地震で外部電源が停止し、主給水ポンプが破損する可能性があるとし、これらを『現実的で切迫した危険』と表現した」(『朝日』)

 さらに新規制基準のあり方にも踏み込み、深刻な災害を起こす可能性が万が一にもないといえる厳格な内容であるべきなのに、緩やかすぎると断定し、住民らの人格権が侵害される恐れありと認めたのである。

 仮処分が出た場合は、関電側が不服申し立てをした上で仮処分を覆すか、本訴の提起が必要となるから、どちらにしても今秋に想定していた再稼働はずれ込むことが確実になったのである。

 司法から再稼働の安全性の不備を突かれた安倍晋三首相だが、それを意に介さず、衆院本会議でこうまくし立てた。

 「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると(原子力規制委員会が)認めた原発について、その判断を尊重し、再稼働を進めていくのが政府の一貫した方針だ」

 自分に都合のいい判断を下した規制委員会は尊重して、司法は尊重しないという理屈はどこから出てくるのであろう。

 だが、『週刊現代』(5/2号、『現代』)が報じているように、樋口氏は判決直前に「定期異動」という名目で、名古屋家裁に異動になってしまったのだ。

 「これは左遷以外の何ものでもありませんよ。定年まで3年の裁判官を家裁に送るなんて、誰が見ても窓際人事。定期異動にかこつけて、厄介払いしたということでしょう。最高裁を頂点とする裁判所全体は、基本的に政府の歩調に合わせ、原発再稼働を是とする立場を取っている。その方針に反した樋口氏は、報復人事を食らったんですよ」(ある司法関係者)

 したがって、本来であれば樋口氏は今回の仮処分を決定することはできなかったのである。

 だが、樋口氏は裁判事務の取扱上さし迫った必要があるときは、同じ管轄内の裁判官であれば、当該審理での裁判官の職務を代理で行うことができるという「職務代行」というものを行使して「最後にして最大の抵抗を行い、意地を示したのだ」(『現代』)

 今回仮処分が出たことで、あちこちの裁判所で仮処分申請を起こすことができるようにはなったが、関電側にはこんな脅しがあると『朝日』は書いている。

 「仮処分の後の本訴で原告側が敗訴した場合、電力会社から再稼働できなかったことによる損害賠償を求められる恐れもあり、川内(せんだい)原発差し止めの仮処分申請では1月に原告住民の一部が申し立てを取り下げている。仮に電力会社にこうした手段に出られたら、原告住民側には大きな痛手になるだろう」

 権力とピッタリの電力会社ならやりそうなことだ。

 『朝日』、『現代』の論調とは違って『週刊新潮』(4/30号)は「“あの人だから”と指呼される『高浜原発』差し止め裁判官」、『週刊文春』(4/30号)は「高浜原発『差し止め裁判長』に京大地震学の権威も呆れた」と、樋口裁判官を揶揄する内容を掲載しているが、どれほどの覚悟がこの判決には必要だったのかを考えれば、私には、このような記事は書けない。

 4月22日には川内原発の仮処分申請に対する決定が出たが、案の定、申請を鹿児島地裁は却下した。一人の孤高の裁判官が自分の人生を賭けて出した判決に、われもと続く者はいないようである。これを司法の劣化と言わずして何と言おう。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 今週も大メディア批判、NHK連ドラ・ヒロインのヘアヌード、神の手といわれる名医の腕も疑って見ろと警鐘を鳴らす週刊誌ならではの3本を選んでみた。
 連休中の「緑陰読書」に最適。ただしヌードは人前では広げて見ないこと!

第1位 「『名医』を疑え!」(『週刊文春』4/30号)
第2位 「独占掲載『マッサン』のエリー 衝撃の全裸ヘアヌード*見えなかったら、お代はお返しします」(『週刊現代』5/9・16号)
第3位 「安倍官邸と大メディア 弾圧と癒着の全記録」(『週刊ポスト』5/8・15号)

 第3位。『ポスト』が毎週のように追及している大メディアと安倍官邸との「癒着」ともいえる馴れ合い関係批判を、私は支持している。
 『ポスト』は第2次安倍内閣発足から、安倍首相と新聞とテレビ局幹部らとの「夜の会食」は2年半で50回に上るという。
 田崎史郎時事通信解説委員なども足繁く通っているし、ここには出てきていないのは「会食」ではないからかもしれないが、田原総一朗氏などもよく安倍首相と会っている。
 メディア論では「権力のメディア操縦」は3段階で進むという。第1段階は圧力で政権に不利な報道を規制する。第2段階はメディアのトップを懐柔することで政権批判を自主規制させ、第3段階では現場の記者たちが問題意識さえ持たなくなって権力監視機能を完全マヒさせる。
 安倍はこれを忠実に実行し、ほぼ第3段階まで来ているのではないだろうか。もともと新聞というのは戦時中やGHQ占領時代を見てみればよくわかるように、強い者にはひたすら弱く、相手がそれほど強くないと見るや「われわれはウオッチドッグ(番犬)でなければならない」と言い出すメディアなのである。
 もちろんテレビは言うまでもない。

 「昨年来、『日本の外務官僚たちが、批判的な記事を大っぴらに攻撃しているようだ』」

 独紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)のカルステン・ゲルミス記者が日本外国特派員協会の機関誌にこう書いて、話題になっていると 4月28日のasahi.comが報じている。

 「ゲルミス氏は2010年1月から今月上旬まで東京に5年余り滞在した。発端となる記事をFAZ紙に掲載したのは昨年8月14日のこと。『漁夫の利』と題し、『安倍政権が歴史の修正を試み、韓国との関係を悪化させているうちに、中韓が接近して日本は孤立化する』という内容の記事だった。(中略)
 記事が出た直後に、在フランクフルト日本総領事がFAZ本社を訪れ、海外担当の編集者に1時間半にわたり抗議したという」

 その結果、中根猛・駐ベルリン大使による反論記事が9月1日付のFAZ誌に掲載された。

 「寄稿によると、総領事は、中国が、ゲルミス氏の記事を反日プロパガンダに利用していると強調。さらに、総領事は『金が絡んでいると疑い始めざるを得ない』と指摘した」(同)

 批判的な記事を書いた記者のことを、こともあろうに「中国から金が出ている」と誹謗するなど、言語道断である。
 トップがトップなら、下の役人どもも身の程をわきまえないということか。外国メディアの笑いものだが、日本のメディアでこれを笑えるところはどこにもないのではないか。

 第2位。お次は『現代』の袋とじ。合併号らしい派手なグラビアである。NHKの朝ドラ『マッサン』で一躍知名度を上げ人気者になったシャーロット・ケイト・フォックスだが、元々彼女はアメリカで売れない女優だった。
 日本でがぜん売れっ子になったのだが、その彼女がだいぶ前に出演していたインディーズレーベルの映画『誘惑のジェラシー』で、濃厚なセックスシーンも厭わず、ヘアを晒しながら熱演していたというのだ。
 映画ではたしかにアンダーヘアも見える。男とのセックスシーンもある。『マッサン』人気で注目を浴びているからであろう、この映画がDVDで近々発売になるというパブではあるが、テレビドラマの清楚な役との乖離がなかなかそそるのである。是非一見を。

 第1位。「医は仁術なり」といわれる。『広辞苑』によれば「医は、人命を救う博愛の道である」ことを意味する格言。
 だが、このところテレビなどで取り上げられる「名医」たちは、難しい手術をこなせる“技術”にばかりスポットライトが当てられ、患者に対する“博愛”の精神が欠如している医者が多いのではないかと『文春』が特集を組んでいる。
 トップに挙げられたのは、人工血管「ステントグラフト」の第一人者とされ“神の手”を持つとNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも特集を組まれた慈恵医大・大木隆生(たかお)教授(52)である。
 慈恵医大を卒業した大木氏は、渡米して学んだ医科大学でステントグラフト治療(大動脈瘤などの手術で、折りたたんだ人工血管を足の付け根から通して血管を補強することで、瘤の拡大や破裂を回避する)により名を挙げて、06年に帰国して慈恵医大の教授に就任した。  『文春』によれば、その名医が、手術した患者(死亡・当時74歳)の遺族から、8700万円の損害賠償請求訴訟を起こされているというのである。
 当該の患者の手術は10時間半にも及んだというから、相当な難手術であったようだ。その結果、右下肢は血液の循環不全となり、2週間後に余儀なくされた右大腿切断の手術の2日後に患者は亡くなっている。
 訴訟に至ったのは、術前の説明「インフォームド・コンセント」が十分ではないというものだ。遺族側は、手術死亡率について、開胸手術では20%、ステントでは2~3%だと説明されていたという。しかも「未承認の機器」を使ったのでリスクが高いはずなのに、そのリスクに対する開示はなかったと主張しているそうである。
 遺族側は、特注のステントグラフトを作製したメーカーが大木氏に再三、「この特注品は試験をしておらず、予期せぬ危険が生じる可能性があることを、患者に対して必ず忠告しなければならない」と書いてある文書を入手しているという。
 これだけでも大木氏の“博愛精神”に疑問があるが、これまでも手術室で大木氏はゴルフのクラブを振り回して、レントゲン写真などを見るためのシャーカステンというディスプレイ機器を割って、全身麻酔の患者に破片が飛べば大惨事になっていた非常識な“事件”も起こしていたという。
 大木氏は『文春』の取材に対して、訴訟の事実は認めたが、こう言っている。

 「患者が亡くなった場合、全員が全員納得する医療を提供するのは至難の業です」

 このほかにも群馬大学病院第二外科助教・須納瀬豊(すのせ・ゆたか)医師が腹腔鏡下肝切除術で8人が死亡したケースでは、群大病院側が「全ての事例において、過失があったと判断された」という最終報告書を出したが、『文春』は、第二外科の責任者である診療科長の責任も問われなければならないのではと追及している。
 腹腔鏡手術を受けた患者11人が死亡した千葉県がんセンター、生体肝移植で4人が死亡した消化器疾患専門病院「神戸国際フロンティアメディカルセンター」なども取り上げている。
 医療に詳しいジャーナリストの鳥集徹(とりだまり・とおる)氏は「ダメな名医」の見抜き方をこう話す。

 「名医と呼ばれながら事故を起こしてしまう医師に共通するのは、患者に『簡単な手術』などと説明して手術に誘導していることです。(中略)私がほんとうに名医だと思う医師は、必ず『他の医者にセカンドオピニオンを聞くべきだ』と口を揃えます」

 私の友人の外科医が「手術なんてさして難しくはない。大工仕事と同じだよ」と私に言ったことがある。大工仕事を易しいと言っているのではない。神の手などなくても一生懸命手術し、それでも助けられない命があるということである。
 自分は名医などとふんぞり返っている医者にろくな者はいないのだが、そうした連中を、ラーメンランキングの如く、名医のいる病院などと特集を組んだり、それを売りにする単行本を出すから、つけあがらせるのだ。
 『文春』は「失敗しない病院選び最新5カ条」をあげている。①外科医は“エンジニア”(これは私の知人の外科医が言っていたことと同じ)、②セカンドオピニオンに紹介状は不要(まったく違うクラスの病院やその地域と離れた病院へ行く)、③質問・資料請求は遠慮せずに(これに応じない病院は?)、④病院内の“空気”を読む、⑤通える範囲に「かかりつけ医」を。人生持つべき友は医者と弁護士ですぞ。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 ある一つの趣味を存分に楽しめる居住空間、「コンセプト型賃貸住宅」が話題になっている。入居はワイン好き、バイク好き、ペット好きといったライフスタイルへのこだわりがある希望者に絞られ、共用の設備が用意されている。たとえば東京都渋谷区の「ワインアパートメント」では、本格的なカーヴ(貯蔵庫)など充実した環境が整えられ、管理人までもがソムリエである。

 首都圏では最近、バイカー向けの物件も増えているという。バイクの販売店・レッドバロンがプロデュースした「ライダーズマンション練馬」は、専用ガレージつきで、かつ部屋からガラス越しに愛車が見られるという間取りがうれしい。こうした物件は、たいせつな愛車の盗難対策としての側面もあるという。

 「ペット共生型」と称される賃貸も注目されている。専用の空気清浄器や換気扇、扉のくぐり戸、足洗い場など、そもそもの作りがペットとの暮らしを前提にしている。「ペット可」の物件は、要するに入居者が気をつけるということでしかなく、隣人とのトラブルに気をもむことが少なくない。皆が動物を飼っている状況は気楽であり、互いの飼育マナーの向上にもつながるらしい。

 コンセプト型賃貸住宅の多くは、その性質上、賃料は高めに設定されていることが多い。それでも選択肢が少ないからか、短期間での退去が少ない傾向にある。ゆえに理想の物件を見つけても、なかなか部屋が空かないことも多いとか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 「こんにちは、憲法です。姓は日本国、名は憲法。日本国憲法です」

 コメディアンの松元ヒロ(62)が、日本国憲法を擬人化して演じるコント「憲法くん」は、こんなふうに始まる。

 憲法をわかりやすく伝えるために、弁護士と一緒に考えたもので、18年間続くロングコントとなっている。

 松元ヒロは、政治家のパロディや時事ネタを得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」の立ち上げに参加。1999年にソロ活動を始め、現在は風刺の効いたコントで全国あちこちを飛び回っている。その活動の根底にあるのは、平和への願いだ。

 憲法くんは、時の総理大臣の物真似、年金や貧困など時事ネタで観客を大いに笑わせたあとで、毎回、公演の終盤に演じられる。

 「最近、私をリストラするって聞いたんですけど、本当ですか?」

 ここ数年、憲法改正が声高に叫ばれ、憲法くんには逆風が吹き荒れている。だが、彼はこう言うのだ。

 「ひとつ自慢させてください。(憲法くんは)戦争の名のもとで、日本国民が他国の人を殺したり、殺されたりするようなことは一回もさせませんでした」

 そして、観客に問いかける。

 「(憲法くんは)みんなの理想だったじゃないですか。それが現実に合わないからって、簡単に引き下げちゃっていいんですか? 理想に向かって努力していくべきじゃないんですか?」と。

 それは、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、平和憲法を改正しようとする時の政権、安倍晋三内閣への痛烈な批判でもある。

 日本国憲法は、イギリスのマグナ・カルタ、アメリカ独立宣言、フランス革命と人権宣言など、世界中の英知を集めたものだ。先の戦争を深く反省し、先人たちが68年前に掲げたその理想を、今の世に生きる私たちが簡単に下ろしていいものなのか。

 憲法くんは、公演の最後に、彼自身(日本国憲法)の理想の高さ、崇高さを表す「前文」を暗唱し、こう宣言する。

 《日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。……中略……国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ》

 5月3日は、68回目の憲法くんの誕生日だ。
 憲法くんがいつまでも元気で、長生きできるように。前文に込められた崇高な理念の実現に向けた努力を、諦めずに続けたい。


日本国憲法
前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 2015年3月14日に北陸新幹線(長野~金沢間)が開業、富山県と石川県の情報をマスコミがこぞって取り上げる状況になっている。特に旅番組全盛のテレビ界は、北陸のご当地グルメネタがお気に入りのご様子。おかげで、この数か月に一気に知名度を増したと思われるグルメが多い。

 もとより海の幸には恵まれた地域である。富山県はホタルイカ・シロエビ・ブリが、石川県は春のサヨリ・カレイ、夏のイカ、秋の甘エビ、冬のブリ・ズワイガニ・コウバコガニが「県の魚」(魚でないものも、こう言うのである)になっている。特に石川産のズワイガニは、「加賀」と「能登」の頭文字をとり「加能ガニ」とブランド化し、話題になった。このような魚介類だけでなく、伝統的な「加賀野菜(金沢産のブランド野菜)」も改めて脚光を浴びている。

 いわゆる「B級グルメ」も負けてはいない。ラーメンマニアにはすでに人気の「富山ブラック」は、真っ黒い醤油スープが特徴。富山県には「入善(にゅうぜん)ブラウンラーメン」「おやべホワイトラーメン」「高岡グリーンラーメン」と、なぜか「カラーものラーメン」が多い。これらもブレイクすることができるか。また、ケチャップ味のバターライスに薄焼き卵と(白身魚やエビの)フライをのせたオムレツ風料理「ハントンライス」は、金沢市の名物。その注目度たるや、先に人気となった「金沢カレー」に追いつきそうな勢いである。

 この機会をまたとないチャンスとして、首都圏のイベントなどでも北陸グルメの猛プッシュが続いている。今年度のヒット商品として、「北陸グルメ」の名が挙がりそうなところだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 絶滅が危惧されるニホンウナギ。農林水産省はこれまで「届け出制」だったニホンウナギの養殖業者を6月から「許可制」に変更する。ウナギの稚魚(シラスウナギ)の乱獲を防止し、養殖池への投入量をより厳しく規制することで資源回復につなげる狙いがある。無許可で養殖した業者には「3年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられるという。

 水産庁の資料によると、国内のシラスウナギの年間漁獲量はかつて200トンを超すこともあった。ところが2013年には約5トンまでに激減した。乱獲や生息環境の悪化などが要因とされる。1キロ当たりの平均取引価格も2003年に16万円だったものが2013年は248万円にまで高騰している。まさにウナギ登りである。2014年は漁獲量が約17トンに回復したが、減少傾向に歯止めがかかったとは言い難い。

 ウナギなんて高くて年に1、2度しか口にしなくなったが、土用の丑の日にウナギのかば焼きを食べるという日本食の文化を守るためにも許可制はやむを得ない措置だろう。卵から孵化させる完全養殖の実用化にも力を入れてほしい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



1:漢字では「織姫」。七夕の伝説『牛郎織女』に登場する天女。西王母の外孫娘であり、天帝の娘・七仙女と同一視されることもある。
2:広島東洋カープを熱狂的に応援する女性を指す「カープ女子」に続いて生まれた造語で、オリックス・バファローズを熱狂的に応援する女性のことを「オリ姫」と呼ぶ。

 誰が考え出したのかは知らないが、なかなか洒落の効いた秀逸なネーミングだと筆者は思う。

 しかし一方で、

・そのまんまのベタベタな「カープ女子」と比べてわかりづらい
・今年は優勝候補の筆頭に挙げられていたオリックスの予想外な開幕ダッシュ失敗
・人気球団・阪神タイガースのお膝元である関西に、はたしてオリ姫は本当に多数実在するのだろうか?
・カープの赤は女子に映えるが、オリックスの紺は地味すぎ

……などの理由で、今ひとつ浸透しきっていないのが現状だ。

 とは言え、昨今の若者の野球離れ対策の一環として、不人気球団(失礼!)を応援する若い女性にこのようなネーミングを施して盛り上げる戦略は大いに評価したい。さしづめ次は千葉ロッテマリーンズを応援する「マリンガール」といったところか? パチンコ『海物語』のマスコットキャラ・マリンちゃんと勘違いされてしまいそうなのが唯一の難点ではあるけれど……。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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