屋外で茶を入れ、茶会を楽しむこと。茶の湯では、野点(のだて)や野懸茶(のがけちゃ)ともいう。春や秋の心地よい日に屋外でお茶を楽しむ、野懸(のがけ、現代のハイキングの意味)の一種である。山野で薪の柴を集めて穴を掘り、火を焚いて行なう茶会であることから、「柴火の会」ともいわれている。

 江戸末期の大老・井伊直弼(いい・なおすけ)は、『茶湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)』の「一期一会」で「柴火会(ふすべ茶)」に触れ、「是は、野懸の茶事也。山野にて土をほり、松などのえだに釜を釣りて、茶を点ずること、定まり足る事はなしと云へども、根元の格は一つにそなはらずしては成しがたし」(灯影撰書「一期一会」より)と言及している。漢字では「燻茶」と書く。こちらは江戸期の色合いの繊細な美意識を表す「四十八茶百鼠」(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)にある色名の一つでもある。

 ふすべ茶の発祥は、1587(天正15)年に豊臣秀吉が九州での島津征伐を終えた帰路のことで、千利休が箱崎松原(福岡市東区)で振る舞った茶会であるとされている。このときの利休は、松の木から下げた鎖に雲龍を模した茶釜をかけ、白砂のうえに積んだ松葉で火をおこして茶を点て、秀吉をもてなしたという。当時はこのような侘数寄(わびすき)が極まりつつあった時期であり、同じ年の秋には、もう一つの興味深い茶会が催されている。それは京都北野天満宮の境内で行なわれた北野大茶会(きたのだいさのえ)でのこと。一風変わった侘数寄の茶人として有名なノ貫(へちかん)が、直径一間半(約2.73メートル)もの大きな朱塗りの傘を茶室に見立てて「ふすべ茶」を演出し、秀吉を驚喜させたと伝えられている。


春はわらび餅とほうじ茶だけで、気軽にふすべ茶気分が楽しめる。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 第4代ロシア連邦大統領。61歳。子どものころから憧れていたスパイになるため、ソ連国家保安委員会(KGB)に就職したことがある。そうした経歴から、陰謀好きな“強権”政治家として知られる。

 プーチン大統領が今年3月、クリミア半島を強引に併合したため、欧米諸国が反発して経済制裁やG8からの除名を警告した。

 このことによって米ロ冷戦時代の再来か、第三次世界大戦の引き金になるのではないかとの不安が広がっている。プーチンの真意はどこにあるのか、週刊誌報道から読み解いてみよう。

 『ニューズウィーク日本版』(4/1号、以下『ニューズ』)はプーチンの今回の行動には2つの前提があると報じている。第1は「プーチンを突き動かしているのは『欧米は弱い』という確信よりも『ロシアは弱い』という自覚」。第2は「彼が大ロシア帝国の復活を夢見ていることだ」という。

 ソ連崩壊後、ロシアを侮辱した欧米諸国への恨みは深く、ロシア帝国復活の第一段階として、EUに接近するウクライナを牽制するためにもクリミア併合はロシアにとっての「核心的利益」で絶対に譲れなかった。

 したがって、今回の制裁措置でクリミアにいるロシア軍が撤退したり、クリミアを返還するという幻想を抱いてはいけないという。「クリミア半島の運命は変えられない」が、もしプーチンがさらにウクライナ領内に兵を進めるならば、欧米は世界全体の秩序を守るために、ロシアをすべての国際協議の場から外し、ロシアの銀行や有力企業の資産も凍結することまで考えるべきだとしている。

 しかし、そうした可能性は低いという。なぜなら今のロシアには国際的な影響力も経済力もないからだ。

 だが『週刊現代』(4/5号)でロシアにくわしい佐藤優(まさる)氏は「プーチンは戦争覚悟だ」と警鐘を鳴らしている。

 「アメリカに対する挑発的な言辞にはっきりと表れています。プーチンは『アメリカ人よ、あなたがたはアメリカ建国の時、民族自決権にもとづいて独立を宣言したのではないか』『同じことをクリミア人が言うと、文句をつけるのか』、さらには『東西ドイツの統一のときも、アメリカは民族統合を認めたではないか』と述べている。
 つまり、『クリミアで行った住民投票は、お前たちアメリカ人と同じ民主主義という価値観に拠って立つものだ。どこが悪いのか』というわけです。非常に挑発的であり、また一言で言えば、露骨に帝国主義的な発想です。
 現在の状況は、ちょうど100年前、第一次世界大戦直前の1914年によく似ている。ハンドリングを誤ると、戦争になりかねません」

 佐藤氏は、プーチンが「領土不拡張」という戦後の国際社会のルールを変えてしまったため、北方領土問題も仕切り直しするしかないという。

 「日本にとってこれからの課題は、ロシアと中国の接近をどうやって止めるかということになるでしょう。今回ロシアがクリミアで行ったような『力による現状変更』を、クリミアとは違い無人島である尖閣諸島で、中国が仕掛けてくる可能性もあるということです。
 中東・東欧の二正面作戦を強いられたアメリカが東アジアまで手が回らなくなり、中国が尖閣の実効支配へ動けば、日本も東シナ海の防衛を強化することになるでしょう。日本の先制を恐れた中国が、逆に先手を打つ形で尖閣に上陸するといったシナリオが考えられます。
 こればかりは、今のところいい解決策は見当たりません。やはり中国との対話を絶やさないということに尽きるでしょう」

 『ニューズ』によれば、武器の75%をロシアから輸入しているインドは、ロシアの今回の行動を受け入れる姿勢を見せているという。プーチンのロシアが中国、インドと手を組めば、冷戦時代以上の大「非米・反日圏」ができあがり、アメリカ頼みの日本はアジアの中で孤立することは間違いない。

 そうならないために日本は、周辺諸国との良好な関係を維持しなくてはいけないのに、安倍首相のやっていることは、それとは真逆であることが心配である。


元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週はいよいよ春爛漫、それにふさわしい女性たちの話題を3本選んでみた。ご覧あれ。

第1位 「共産党アイドル『吉良佳子』議員の革命的接吻 証拠写真付き」(『週刊新潮』4/3号)
第2位 「三浦友和 妻・山口百恵との『愛しい日常』」(『週刊文春』4/3号)
第3位 「テレビ各局 女の抗争 女子アナ派閥の『領袖』は誰だ」(『週刊ポスト』4/4・11号)

 第3位は女子アナの勢力争いが激化しているというお話。フジテレビはなんといっても“カトパン”こと加藤綾子率いる「カトパン会」が有名だ。高島彩、中野美奈子、山崎夕貴、三田友梨佳など錚々たるメンバー。TBSはマラソン好きな久保田智子が音頭をとっている「マラソン会」。日テレは女子アナを束ねてきた馬場典子が経費疑惑で失脚して無政府状態。テレビ東京は小谷真生子(まおこ)の次の『WBS』のキャスターに就任した大江麻理子が台頭してきているという。
 女の嫉妬は隣の火事より怖い!

 第2位はお生まれあそばして55周年になる山口百恵様の夫君・三浦友和様がお二人の結婚生活を初めて話された2時間のインタビュー。その中の「お言葉」を引用させていただく。
長い夫婦生活の中で百恵夫人に最も感謝していることはという問いに対して。

 「不平不満を言わずに一緒にずっといてくれることじゃないですか。仕事だって浮き沈みがあることだと全部わかっているし、良いとか悪いとかいちいち反応しない。良い時に浮かれない、悪い時に落ち込まないということをずっとできるのは、すごいと思うんです。とてもありがたいですよ」

 いやはやご馳走様です。百恵が家で待っていてくれたらオレも早く帰るのに。

 第1位は「ブラック企業を許さない」という公約を掲げて初当選した共産党の星・吉良佳子(きら・よしこ)参院議員(31)が、人目をはばからず男とキスをしまくっていると『新潮』が嫌味たっぷりに報じている記事。
 まずは3月21日、春分の日。午後10時30分、東京池袋駅の地下鉄ホームでのこと。

 「電車がホームへと滑り込んでくる。別れの時が近付いていた。2人の距離は、電車が速度を落とすのと反比例して急速に縮まっていく。70センチ、30センチ、10センチ。あたかも強力な磁石のように引き寄せられる2人。(中略)
 先ほどまで吉良議員が着けていたマスクは外されていた。そして次の瞬間、2人の距離は0センチとなり、公衆の面前で唇が重なり合ったのである。(グラビアページにこのときのシーンがばっちり“特写”されている=筆者注)
 清廉潔白を旨とする共産党の吉良議員が繰り広げた、めくるめく官能の世界。同党のジャンヌ・ダルクとして『ブラック企業』を舌鋒鋭く追及してきた彼女が、あろうことか妖しく『ピンク』に染まっていた。
 男性が電車に乗り込もうとしても、吉良議員は左手を最後まで彼の右手から離そうとしない。片時たりとも離れ難く、『永遠の0センチ』を求めているといった様子で……」

 どれもこれも春うららかな日差しの下で読むと、ほのぼのとしていいですね~。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 新入学や花見の季節になると語られるのが、「イッキ飲み」の危険性だ。日本では1980年代以降、飲酒をめぐる若者の悲劇がよく報道されるようになった。急性アルコール中毒で我が子を失った遺族たちの動きもあって、教育現場がこの問題に真剣に取り組むようになり、現在では状況はいくぶん改善されてきたように思える。「イッキ」に格好良さを感じる若者は、もはや少数派だろう。

 若者と酒との関係をめぐるトラブルは、海外でも注視されているようだ。イギリスでいま、「ネックノミネート」というチャレンジゲームが問題になっている。ネック(neck)とはイッキ飲みすること。体質的にはアルコールに強い外国人であっても、とても遊びではすまないような代物だ。参加者はまず、イッキ飲みの様子を動画サイトやSNSに上げてから、別の誰かを「ノミネート」する。指名された者は、24時間以内に同様の行為を繰り返さなくてはならない。相手を打ち負かすのにどんどん強い酒にエスカレートしていくため、しまいには「死のゲーム」に至る危険性が高い。実際、イギリスではすでに数件の死亡事故が起きている。

 ネット上に動画をアップすることは、若者にとって気軽な自己表現の場になりつつある。だが、「視聴者がいる」というプライドや興奮が、若気の至りというにはあまりに深刻な事態をもたらすこともある。子を持つ親は危惧しておくべきだろう。

   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 4月1日、消費税率が8%に改定された。しかし、増税はこれで終わりではない。来年10月には10%への引き上げが控えており、1年半という短い期間に2回の改定が行なわれる。 

 消費税は、製造業、卸売業、小売業などすべての取引の段階で課税され、最終的に小売価格に転嫁されて消費者が負担する。しかし、力関係によって中小零細の製造業などは大きなメーカーに対して消費税を転嫁できないことも多く、実際の取引の場面では強制的な値引きや買い叩きが行なわれることもある。

 そこで、今回の税率改定では、取引の各段階で中小零細企業がきちんと価格転嫁できることをおもな目的とした「消費税転嫁対策特別措置法」が作られた。これは2017年3月までの時限立法で、今年4月以降、消費税の転嫁拒否などを行なった場合は取り締まりの対象となる。具体的に禁止されているのは、次の4つ。

(1)減額、買い叩き
(2)購入強制、役務の利用強制、不当な利益提供強制
(3)税抜き価格での交渉拒否
(4)報復行為

 大手メーカーなどによる中小零細企業への価格転嫁拒否は法律違反となり、悪質なケースは公正取引委員会が勧告・公表を行なうことになっている。

 今回の時限立法は事業者の取り締まりだけではなく、消費者にも影響を及ぼす変更が見られるが、とくに注意したいのは価格の表示方法の見直しだ。

 これまで商品の価格を提示するときは、消費税を含めた「総額表示」が義務付けられていたが、本体価格の値段が変わらないことを消費者に意識づけるために、2017年3月まで「外税表示」が認められるようになった。たとえば、これまで1万800円(税込)と総額表示されていたものが、1万円(税抜)といった外税表示も認められるようになっている。そのため、これまでと同じ感覚で買い物をしていると、実際に支払う段階になって消費税込の金額を知って慌てることにもなりかねない。

 また、「消費税還元セール」「消費税分値引きします」など、消費税に関連する形で安売りをアピールする広告・宣伝は取り締まりの対象になった。

 今回の消費税引き上げは、たんに税率が改定されただけではなく、価格表示方法や広告宣伝など周辺事項にも変化が見られる。こうした法律の変化にも気を配り、生活防衛に役立てよう。

   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 いまどきのスポーツ選手にとって厄介なのはマスコミ対応である。試合前の集中したいときや、手痛い敗北を喫したときにまで、無神経にマイクは向けられる。それで少しでも態度を硬化させようものなら、理不尽に噛み付かれてしまう。いかがなものかと、さすがに批判の声もあるが、それは諦観を持ってネット上につぶやかれるぐらいのものであろう。

 そんな中、2014年のソチ冬季オリンピックでは、わずか15歳の少女がなんとも挑発的な態度を見せた。女子フィギュアスケートの団体で、ロシアを金メダルに導いたユリア・リプニツカヤである。ニュース番組において練習後の様子が伝えられた際に、「良い練習ができました。メディアが邪魔でしたけど」とピリ辛なコメントを残した。「邪魔」が影響したか、シングルショートプログラムでは思うような演技ができず5位に。ただ実力は誰もが認めるところで、そのうえで物怖じしない発言をする様子は、日本では好感を持って迎えられたようだ。一方で、おとなりの韓国では、キム・ヨナに対する無関心的な態度から多少嫌われた向きもある。

 愛らしいルックスからくり出される、マスコミにおもねらない発言。「尊敬する人間はチェ・ゲバラ」など、出てくるエピソードがいちいち“男前”で格好良い。そこからネット上でついたアダ名が「リプニツカヤ兄貴」。さらに「略しすぎ」て「プニキ」と称されることもある。キティなどの日本文化も好むという「兄貴」。今後ますます日本人からの注目を浴びていきそうだ。

   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 安倍晋三首相が2月に行なった答弁が注目を集めている。将来的に、海外からの移民を受け入れるかどうかについて「国民的な議論を経た上で、多様な角度から検討していく必要があるものと認識している」と述べたからだ。その後、答弁と歩調を合わせるように、政府の経済財政諮問会議の専門委員会(「選択する未来」委員会)でも検討項目に「女性、高齢者、外国人(労働者)」の活用とともに「移民」が掲げられた。内閣府が同専門委に提示した資料には「技能者、技術者中心に受け入れ(例えば、年間20万人)」と、具体的な数字の記述もある。

 移民受け入れには「人口減少への対策」という側面があるのはいうまでもない。

 このままだと日本の人口は2012年の1億2752万人から2110年には4300万人に、生産年齢人口(15~64歳)も同じく8017万人から2126万人にまで激減するという。人口減少は労働人口の減少であり、経済の縮小や国力の低下につながる。これに対し、移民を受け入れた場合、2110年の人口は1億1000万人台を維持するという。

 ただ問題は、年間20万人もの大量の移民を受け入れた場合、それに伴う「摩擦」を日本社会が受け入れられるかだ。保守層を中心に「治安悪化や日本の伝統文化が破壊される」との指摘もあるほか、「労働力不足を言うなら女性や高齢者の活用が先だ」との声もある。

 移民の受け入れは将来の日本のあり方を大きく左右する問題だ。今後の専門委の議論 を注意深く見守りたい。

   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 肉食率や喫煙率などにつづく、若い世代の男女逆転現象のひとつ。

 一昔前だと、混ぜモノ系、いわゆる“カクテル”は、どちらかと言えば女子用のアルコール飲料とされていたが、最近は、たとえば宅飲み(=自宅での飲み会のこと)での最初の乾杯は、女子が缶ビールで男子は缶チューハイというケースが、わりと多かったりする。

 合コンあたりでも同様で、女子がワインや日本酒や焼酎といったストレートをガンガン注文しまくっているのを横目に、男子は緑茶ハイやハイボールやカシスウーロンやよくわからない複雑なカクテルをチビチビやっている光景も、けっこう見かける。これが「女子を早めに酔わせて、どーにかしてやろう」といった戦略的な裏があるならまだしも、観察すれば観察するほど、そのような奸計(かんけい)の匂いはまったく感じられず、単に「好きだから飲んでるだけ」であるフシが強いので、筆者としては情けないかぎりである。

 ちなみに筆者は、ビールもしくはシャンパンを延々と飲み続ける女子こそが一番酒に強く、お持ち帰りが困難なタイプだと考える。とくに後者の場合は、高額な出費だけがどんどんかさんでいって結末はトンヅラ、なんて最悪のパターンを迎えることも珍しくない。

   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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