1:A○B48をはじめとする劇場型アイドルが行なう、ファン密着スタイルのセールスプロモーションの一環である握手会で、お目当てのアイドルの手を握ったまま、制限時間を過ぎても(通常は一握手5秒ほど。全国レベルの売れっ子アイドルだと2秒ほどだとも言われている)、なかなかその場を離れようとしない、粘着質で未練がましいファンをやんわり強引に引きはがすこと。そして、その「はがし」を担当する握手会運営側のスタッフのことを「はがし屋」と呼ぶ。

2:合コンなどで、男子が盛り上がった勢いで撮影した相手女子とのツーショット写メを見て、「この子、メイク盛りすぎ!」だとか「この子の谷間、ヌーブラ。実際はBカップの貧乳!」といった、女子が自身に施す合コン仕様の“鎧(よろい)”を引きはがして素っ裸にするような冷静な判断をくだすこと。そして、そんな身も蓋もない審査結果を容赦なく男子にレクチャーしてくれる女友達のことを「はがし屋」と呼ぶ。
 性格の悪さは否めないが、原則として薄暗い小洒落た店で行なわれることの多い合コンで、相手に本来の素材を大幅に上回る容姿評価の得点を付けてしまいがちな純朴男子にとっては救世主的な存在といえる。

 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 京都の通りは、碁盤の目のように整然と交差した道である。マルタケエベスは、東西に抜ける通りの名前のおぼえ唄で、漢字で書くと「丸竹夷」となる。夷は京都風に「エベス」と訛らせて読む。おぼえ唄はわらべ唄特有の節回しで、京都御所の南側の丸太町から竹屋町、夷川と、北から南に続いていく。

 「丸竹夷二押御池、姉三六角蛸錦、四綾仏高松万五条」
 (マル タケ エベス ニ オシ オイケ、アネ サン ロッカク タコ ニシキ、シ アヤ ブッ タカ マツ マン ゴジョウ)

 と、この五条通までは、京都育ちなら子どもでも歌えるところ。そして、唄はさらに続く。

 「雪駄 ちゃらちゃら 魚の棚 六条 三哲とおりすぎ 七条こえれば 八 九条 十条 東寺でとどめさす」
 (セキダ チャラチャラ ウオノタナ ロクジョウ サンテツ トオリスギ ヒッチョウコエレバ ハチ クジョウ ジュウジョウ トウジデ トドメサス)

 前半に比べると、後半は気さくな印象である。チャラチャラとは鍵屋町のことで、三哲は塩小路の旧名である。三哲とは、人の名前に由来する名称であったらしい。七条をヒッチョウ(ヒッチョ)と発音するあたりが京都人らしいといえようか。

 南北に抜ける通り名のおぼえ唄「寺御幸」(てらごこ)もある。京都で受け継がれている唄は昔の人のいろんな歴史が詰まっている。例えば、以下の「洛陽観音巡り」は、昔の信仰あつき人々の名所巡りがおぼえ唄になっている。

 「六角や誓願寺図子(ずし)、下御霊(しもごりょう)、革堂(こうどう)過ぎて吉田、黒谷(くろだに)、長楽寺から壹(いち)二ヶ所、清水に五ヶ所、六波羅、さて愛宕寺 大仏や泉涌寺(せんにゅうじ)二ヶ所、今熊を伏見街道九条へぞ出る 東寺より松(松原)西東蛸薬師、出水(でみず)、下立売(しもだちうり)二ヶ所、かい川 東向観音過ぎて天皇寺、清和院にて札ぞ納る」

 この唄に沿って京都散策ができるようなら、かなりの京都通といえそうである。


京都のソウルフードの一つ、錦市場・冨美家のうどん。商品を入れる紙袋には通り唄がかわいらしく印刷されている。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 キャロライン・ケネディ第29代駐日米国大使、55歳。彼女が5歳の時に父親のジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスで凶弾に斃(たお)れてしまう。葬儀で、母親・ジャクリーンの手を握り気丈に振る舞う彼女の姿は、米国民だけではなく、世界中の涙を誘った。

 ちょうど50年前の1963年11月23日(アメリカ現地時間では11月22日)。高校生だった私は、友人たちと山に登るため、朝早く起きてテレビをつけたときの衝撃を今でも覚えている。

 その日は日米間で初めての「宇宙中継」が開始される日だった。真っ先に飛び込んできたのが「ケネディ暗殺」の大ニュースだったのである。

 犯人として逮捕されたのは、ソ連に亡命経験のある元海兵隊員オズワルドだが、拘置所に移送中に射殺されてしまったため、この事件は「20世紀最大の謎」として残り、未だに真相は明らかになっていない。

 『週刊ポスト』(11/29号)で国際政治ジャーナリストの落合信彦氏が、この事件の多くの謎について書いている。「後継大統領のジョンソンが、この事件を検証する『ウォーレン委員会』の証拠資料を75年後まで非公表にしたこと」「急遽変更されたパレードの道筋」「遺体を違法に連邦政府が持ち去ってしまった」「ウォーレン委員会の報告書と矛盾する証言をした証人たちの連続変死」などをあげて、オズワルドの単独犯行などではなく、アメリカの戦争を商売にする巨大な既得権勢力の犯行だとしている。

 この見方は新しいものではない。アメリカでは今でもケネディ暗殺の真相を謳う本が次々に出版されている。

 話をキャロラインに戻そう。『週刊新潮』(11/28号、以下『新潮』)によれば、彼女はハーバード大学でアートを学んだ後、コロンビア大学のロースクールを修了し、弁護士資格を取る。メトロポリタン美術館で勤務していたとき、デザイナーと恋に落ち、28歳で結婚。1男2女をもうけ慈善活動に携わってきた。

 その間政治にはタッチしてこなかったが、2000年の大統領選で民主党からゴア元副大統領の応援メッセージを請われて引き受けたのが始まりで、08年には彼女自ら「私の父のようだ」と熱烈なオバマ支持を表明し、ヒラリー有利だった予備選の状況が一変したといわれる。

 今回、オバマ大統領の抜擢で大使に就任したわけだが、政治には素人の彼女は「シンボル的な存在。実質的な日米交渉は、大使館ナンバー2の首席公使がこなすことになるでしょう」と『新潮』で春名幹男早大大学院客員教授が話している。

 だが、彼女は上院議員選挙に意欲を見せたこともあるから、「今回は、ケネディ家の栄光を取り戻すべく、キャロラインが立ち上がったと見るべきです」(城西国際大学国際人文学部の土田宏教授)と分析する向きもある。

 実際、アメリカの超名門ケネディ家の政治的復活を託す逸材が、キャロラインのそばにいるのである。長男のジョンがそれだ。 

 「キャロラインは、長女に祖母の名であるローズ、そして長男にはジョンと名付けている。ここからも、名門の復興へ向けた意気込みが見てとれます。ゆくゆくはジョンを大統領に、と考えているのでしょう」(作家の井上篤夫氏)

 ジョンは現在20歳。エール大学の2年生で、高校時代にはケリー国務長官のもとでインターンをしていた経験もある。昨年“将来は政治に携わりたい”と発言し、周囲を大いに喜ばせたという。

 しかもすこぶるいい男である。祖父の上を行く大統領になるかもしれないと、ケネディ家では期待が膨らむのだろう。

 実は「08年の予備選では当初、ケネディ一族はヒラリーを支持していたのです」と話すのは明治大学の越智道雄名誉教授である。

 「当時15歳だったジョンが、オバマを支持するようキャロラインを説得、あわせてヒラリーの同志だった叔父のエドワード・ケネディ上院議員も翻意させ、勝利へと導いたのです」

 ジョンは、さしあたり2018年に行われる下院議員選挙への出馬が予想されているという。

 「(キャロラインの=筆者注)次の狙いは、一度は断念した上院議員のポスト。年齢を考慮すれば最短で2020年の大統領選を視野に入れている可能性もあります。そのためにもミスを犯さないよう、大使の任務は慎重な姿勢で取り組むことでしょう」(土田教授)

 彼女には駐日大使を踏み台にして大統領に駆け上がる「野心」があるというのだが、それはどうだろうか。だが、息子のジョンが“無事”に政治家として成長していけば、大統領の座も夢ではない。なにしろ有り余る財力とJFKの孫という輝ける七光りを持っているのだから。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 いささか悪趣味なユーモアを好むイギリスには、「醜い動物保存協会(Ugly Animal Preservation Society)」という団体がある。だが、単にふざけているわけではない。愛らしい生物は手厚く保護されるのに、醜いと見向きもされないのが世の常。それが種の絶滅につながっては困るということで、「醜い」をウリに認知度を高める活動をしているのだ。

 2013年9月、この協会の新しいマスコットに選出された生物が、ぶよぶよした顔を持つ魚・ブロブフィッシュ。これが「世界で最も醜い動物が決定した」と報道されたが、あくまで「人気投票」なので、記事としては不正確かもしれない(ちなみに得票数で3位は、あのウーパールーパー。決して醜くはないような……)。ブロブフィッシュは和名を「ニュウドウカジカ」といい、オーストラリア、ニュージーランドなどの深海に棲息する。海の底のカニなどを獲るトロール漁業の網に引っかかってしまうため、保護が期待されている。陸に上がると寒天質の顔がつぶれて、ヘタウマのマンガのようなユーモラスな顔になってしまうが、そのインパクト大の写真はネット上のあちこちで散見される。まさに協会の思惑通り、醜さを逆手にとって保護への道が歩み出されたわけである。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 乳幼児の肺炎のおもな原因とされるRSウィルス(respiratory syncytial virus infection)が流行の兆しを見せている。

 国立感染症研究所感染症疫学センターの報告では、今年10月28日~11月3日の間の患者報告数は4195人。過去最多だった昨年を約1000人上回っている。

 RSウィルスには、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が感染すると言われている。呼吸器に障害をもたらすウィルスで、感染から2~8日すると、発熱、鼻汁などの症状が数日続く。

 多くの場合は軽症で済み、風邪のような症状で終わるが、重くなると咳がひどくなったり、呼吸困難になったりすることもある。

 とくに、乳児期に感染すると、細気管支炎、肺炎を引き起こすこともあるので注意が必要だ。乳幼児の重篤な合併症としては、無呼吸発作、急性脳症などがあり、生後1か月未満の赤ちゃんが感染すると診断が難しく、突然死につながる危険性も心配される。

 低出生体重児、心臓や肺に基礎疾患がある赤ちゃん、神経や筋肉に疾患のある赤ちゃんは重症化のリスクが高まるが、RSウィルスにはワクチンはない。かかった場合の特効薬もなく、治療は基本的に症状を和らげる対症療法となる。

 感染は、咳やくしゃみなどの飛沫、接触によって起こる。RSウィルスの流行の兆しがあるこの冬は、0~1歳児をむやみに人混みに連れて行かないなどの配慮が必要だ。また、大人が感染していても気がつかないこともあるので、咳が出るなどの症状のある大人はマスクをしたり、こまめに手洗いをするなどして、感染を広げない配慮をする必要があるだろう。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 まがい物だと思われた作品を鑑定したところ、じつに1928年以来となるゴッホの「新発見」であることが判明した……。2013年9月、まるで小説のストーリーのような報道があった。オランダ・アムステルダムのファン・ゴッホ美術館に持ち込まれた『モンマジュールの夕暮れ』が、ゴッホ本人の筆によるものと認定されたのだ。別の画家の作品と考えられていたため、これまでコレクターによって屋根裏にひっそりと保管されていた。9月24日から一年のあいだ、同美術館で一般公開される予定だ。

 美術の世界は門外漢にとってミステリーだ。日本では有名な美術館でゴッホの贋作が展示された例がある。また2007年のこと、ゴッホ美術館はビクトリア州立美術館(オーストラリア・メルボルン)所蔵の『ある男の肖像画』に対して、今回とは逆に偽物の鑑定を下している。約20億円とされる価値が失われたこわい話だが、じつは美術館というものは偽物を疑うことなく(あるいは大人の事情で「疑うことが許されず」)、展示していることがままあるという。真贋の世界はかように難しい。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 酒は百薬の長ともいわれる。だが、酒量の度が過ぎると健康障害はもちろん、家庭内暴力や虐待、飲酒運転、自殺といった社会問題を引き起こす。

 わが国のアルコール依存症患者は約80万人といわれており、その救済に向けてようやく政治が動いた。

 自民、民主、公明など超党派議員で作る「アルコール問題議員連盟」(会長 中谷元・自民党副幹事長 )が、「アルコール健康障害対策基本法案」をまとめた。議員立法の形で国会に提出される。

 法案は、アルコールの有害な使用の低減をめざすとともに、 国や地方公共団体の責務として、健康障害対策を策定・実施することを明記している。また、酒類メーカーや販売業者にも健康障害対策への協力や防止への配慮を要請している。たばこの包装には健康被害の警告が印刷されているが、お酒のラベルにも同じような注意喚起の文面が載ることだろう。

 その分、酒が少しまずくなるご仁もいるかもしれない。


 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


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